一般社団法人日本障がい者就労支援協会(JDWSA)

「たより」大賞

古語で「たより」とは、現代語に訳すると、①頼れるもの。よりどころ。②縁故。③手紙。④便宜。⑤機会。等の意味となります。そこで、「たより」大賞とは、支援者が障がい者の支援をして就労に結びついた、もしくは障がい者が支援をしてくれた人に手紙でお礼を伝えるという意味を込めて、「たより」大賞と命名されました。


第1回「たより」大賞応募要項

応募資格①障がい者の就労支援に携わっている方どなたでも。
②障がい者で就労に結び付いた方どなたでも。
(会員の方でなくても応募可能です)
応募内容①(支援者)支援対象者を就労に結びつけることができたエピソード。
②(当事者)就労に結び付くまでのエピソード。
応募期間令和3年1月1日~令和3年2月28日
応募方法下記の「応募する」から応募して下さい。内容はWord文書、テキスト文書のどちらかを添付ファイル(10MB以内)として送信して下さい。
発表時期令和3年4月頃
発表場所当ホームページ内で「最優秀賞」「優秀賞」を発表させて頂きます。
賞品[最優秀賞] 賞状、副賞:QUOカード(10,000円分)
[優秀賞]    賞状、副賞:QUOカード(3,000円分)
注意事項応募された作品の著作権は応募者に帰属しますが、当協会が応募作品を使用することを許可することとします。また、協会誌に掲載させて頂くことがあります。


第1回「たより」大賞結果発表

支援者部門最優秀賞:該当者無し
優秀賞:三宅 隆吉 様(福岡県)
当事者部門最優秀賞:波上カケル 様(神奈川県)
優秀賞:ゆいみょん 様(埼玉県)

(令和3年1月1日~令和3年2月28日)



支援者部門
優秀賞

支援者部門 優秀賞 賞状

三宅 隆吉 様(福岡県)

[誰かに必要とされている]

「両親には迷惑をかけた。親孝行をしたい。」
小さな会社の採用担当であった私は彼の言葉に胸を打たれた。20年前のことだ。
彼は交通事故を起こし、下半身がマヒしご両親に大変なご苦労をかけていたのだった。
面接官の多数は採用に反対であった。20年前には差別意識は未だ強く濃厚であった。私は説得した。同じ人間だ。個人として尊重し、同じ職場の同僚として一緒に働きたい。私も下半身に障害を持つ者である。彼をどうしても採用したかった。
障害者は障害があっても残された機能は研ぎ澄まされ、一般の人よりも成果を残されることが多い。皆の納得は得なかったが、私は彼を採用した。
 彼は期待に応えてくれた。人一倍努力し、ホームページの作成その他事務関係に変化をもたらした、他の職場から指導を願われるまでになった。
「わたしがやらねばだれがやる。」という使命感を支えに頑張っている。
「だれかに必要とされている。」という自覚。
こそが人に自信を持たせ長生きさせる一番の栄養素なのであろう。
 障害者も同じだ。
彼はいつも相手のことを思いやり、人のために働いているような人に成長していった。
このときの感動は言葉にできない。
彼はハンデ―を乗り越え、人間としての生き方を見事に示してくれた。
皆様から示される信頼と期待。これが彼を育てたのであろうと私は思っている。
彼のように、欲を捨て、怒りや妬みや奢りなど、心に纏わりついた垢のようなものを剥ぎ取ることで生命の逞しさは輝きだすのではないでしょうか。
彼の生き方を心に留め、私も自分自身の人生を、謙虚に、たくましく丁寧に生きたいと思っている。


当事者部門
最優秀賞

当事者部門 最優秀賞 賞状

波上カケル 様(神奈川県)

妻という一番近い存在が最大のサポーターだったというお話です。
発達障害の中でも、アスペルガー症候群という人一倍こだわりが強い特性のため、どんな仕事に就いても続かず、入っては辞めての繰り返しでした。私の気持ちを尊重しつつも、非常に上手く適職に誘導してくれました。

実際には、このような感じです。

妻「プログラミングとかやってみない?」
私「えーっ!パソコンすら触ったこともないのに!」
妻「もし、出来るようになったらフリーランスとして自宅で仕事できるよ。」
私「そうか!満員電車で通勤したり、人が大勢集まる会議に出席したりしなくていいんだね!」
妻「やってみる気があるなら、このノートパソコンを使っていいよ。」

といった具合です。アスペルガー障害のわたしにとって、業務内容そのものよりも重要なのが職場環境なのです。逆の言い方をすれば、環境さえ整えばいかんなく力を発揮することが出来るのです。妻は、私の障害に対する基本的な理解があっただけではなく、私自身も気がつかなかった特性を見抜きました。

とてもマイペースですが、プログラミングに必要なアイデアと集中力を持って産まれていたことです。自分でいうのもなんですが、IT系の仕事に就いているとは言い辛い見た目風貌です。これまでに誰もプログラマーと言う職種を勧めてこなかった理由はこの見た目にあったのかもしれません。

しかし、妻は違いました。具体的に案件までちらつかせ、まるで人参をぶら下げられた馬が一生懸命走ろうとするかのように仕向けたのです。そして、妻の戦略にまんまとハマった私は、エンジニアとして独立し、今なおフリーランスとして多くのクライアント様と契約させて頂いています。

妻は時折、目を細め、20年前を懐かしむようにこう言います。

「家に帰った時に、上半身裸で無心にノートパソコンに向かうアナタを見た時は本当に笑った。」

何を隠そう、未だにキーボードを入力するのに、両手の人差し指しか使えないわたしは、何を言われても、こと仕事に関しては、妻に頭が上がりません。

納得のいく就労に結びつかず、モヤモヤしている方がいましたら、灯台下暗し、まずは、一番身近にいる家族に客観的に自分を診断してもらうのもいいかもしれません。


優秀賞

当事者部門 優秀賞 賞状

ゆいみょん 様(埼玉県)

「私を支えてくれた人、そして病気へ」

美容師として働いていたある日、異変は起きた。どういうわけか手にチカラが入らない。それどころか扉も、ペットボトルの蓋すら開けられない。すぐに病院を受診したものの、原因は不明。やっと診断が下りたのは一年後。私は指定難病である筋萎縮性側索硬化症ALSだった。
仕事を辞めたあと、しばらく自宅に引きこもっていた。だが病気はみるみるうちに進行し、昨日できていたことが今日はできない。そんなことが来る日も続いた。仕事を探そうにも前途多難。「何がしたいか」を問う前に「何ができるのか」すらわからない。いっそこのまま死んだら楽になれるのに。そう考えては自殺防止ダイヤルに電話をし、朝まで泣き明かした。今ならわかる。私は死にたかったんじゃなく、生きたかったのだと。
だが転機は訪れた。ハローワークの方から難病支援センターを紹介されたのだ。そこで出会った支援員さん達は本当に素晴らしい方々だった。明るいうえに、とにかく親身になってくれる。
「どんなことが好きなの?どんな仕事がしてみたい?」
私は最初何も言えなかった。何せこの病気は日に日に身体の筋肉が固まって、動かなくなってゆくのだから。それでも彼女たちは私の可能性を信じてくれた。私の「やりたい」に寄り添ってくれた。

「もともと指先を動かすのが好きでピアノもパソコンも得意です。」

「それなら在宅でできる仕事なんてどうかしら。訓練を積んで条件に見合った仕事を探しませんか。」

こうして在宅訓練が始まった。最初はExcelを中心に事務系のスキルをとにかく練習した。すると意外にも指先がよく動くではないか。何だかパソコンに打ち込んでいる時だけは病気のことを忘れられた。

「さすがですね。そうしたら資格も取ってみませんか。」

私は耳を疑った。病気の私がさらに資格を取るなんて。だけど支援員さんは「大丈夫。一緒にやりましょう。」と言った。何だかその言葉が耳ではなく、胸に響いた。
こうして私はマイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)の資格を取得した。eラーニングのおかげで何度も復習ができて、少し調子が良くない日でも自分のペースで学習ができた。さらに遠隔でも支援員さんがすぐに相談に乗ってくれたことは精神的にも大きい。

訓練をはじめて五カ月。多くの支援のおかげで私は自宅でデータ入力をする仕事に就いた。自分のペースで、しかも自宅でできるというのは、点滴治療のため月に10日通院しなければならない私には好都合。何より自分が得意なことだから苦にもならない。
現在は手で入力をしているが、症状が進行すればそうはいかなくなる。この病気は最後、寝たきりになり、自分ひとりでは本当に何もできなくなる。同じ病気の方が言うには、手足が縛り付けられて、頭だけはしっかり働いている感覚だとか。だからこそ今は音声入力や視線入力についても情報収集をして、残された感覚をフル活用したいと思っている。
それでも手が動くうちにどうしてもやっておきたいことがある。それが同じ病気で苦しむ人の役に立つこと。そんな思いで最近e-ラーニングでライティングスキルを学び、ブログを始めた。
「負けちゃダメだよ。」
「生きるんだよ。」
かつて私がかけられた言葉を、今度は誰かにかける。そうやって発信することで実は自分を奮い立たせている部分もある。だから今は病気を憎んでも、病気がつないでくれた縁には感謝。もはや自力で立てなくなった今、「大丈夫。ひとりじゃないよ」とかけられた言葉が身に沁みて仕方ない。

今なら言えるだろうか。私を支えてくれた支援員さん、家族、そしてこの病気にも。

私を生かしてくれてありがとう。
笑顔にしてくれて、本当に、ありがとう。


第1回「たより」大賞 全作品集

応募全作品集は、正/賛助会員専用ページ で見ることができます。正会員および賛助会員でない方は、寄付のお願い から、500円以上寄付して頂いた方に送付させていただきます。お問い合せ欄に【第1回「たより」大賞 全作品集 希望】とお書きください。


「TEAM EXPO 2025」プログラム/共創チャレンジ

この大賞は、「TEAM EXPO 2025」プログラム/共創チャレンジ のプロジェクトとして参加しています。