障がい者のための制度
知りたい項目をクリックしてください。
[注意] 制度は毎年変更されています。内容的に古い内容のものも含まれている場合もありますので、必ず担当窓口等で確認するようにしてください。
障がい手帳
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障がい者の手帳制度とは、どのようなものですか。
障がいを持つ人が「一定の障がいがある」という証明がされると、手帳が発行されます。手帳があることで、いろいろなサービスを受けることができます。
[精神障害者保健福祉手帳]
精神疾患により、日常生活や社会生活に制約がある方
・統合失調症
・うつ病
・そううつ病などの気分障害
・非定型精神病
・てんかん
・薬物やアルコールによる急性中毒またはその依存症
・高次脳機能障害
・発達障害
などの精神疾患
[身体障害者手帳]
身体に障がいがある方
・視覚障がい
・聴覚または平衡機能の障がい
・音声機能、言語機能またはそしゃく機能の障がい
・肢体不自由
・心臓、腎臓または呼吸器の機能の障がい
・小腸の機能の障がい
・ぼうこうまたは直腸の機能の障がい
・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障がい
・肝臓の機能の障がい
[療育手帳]
知的障がいがある方
・児童相談所または知的障害者更生相談所で「知的障がい者」と判定された方
※判定基準は自治体によって異なる場合があります。
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手帳でどのようなサービスが受けることができるのですか。
等級により、受けれるサービスが違ってきますが、
・税金(所得税、住民税、相続税、贈与税、自動車税など)の控除
・生活保護費の障がい者加算
・精神通院医療費公費負担制度の申請用の診断書の免除
等が挙げられます。その他は居住地の都道府県、市区町村によって変わってきますが、いくつか挙げてみますと、
・公営交通や民営交通の割引ないしは無料化
・公営住宅の家賃の減免や優先入居
・医療費の無料化および通院医療費の助成
・水道料金の減免
・入浴無料券の配布
・無料タクシー券の配布
・タクシー料金の割引
・福祉バスや福祉タクシーの利用
・社会復帰施設の通所者交通費の割引
・公共施設利用料の無料化
・映画館・民間観光施設などの利用割引
・携帯電話利用割引
・雇用保険の失業給付期間の延長(たくさんもらえます)
などが挙げられます。詳しくは手帳交付時に居住地での受けることができるサービスの資料がもらえます。
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手帳のもらえる人は、どのような人なのですか (精神障がい)。
「精神障害者保健福祉手帳」の場合は、精神疾患のために長期にわたって、日常生活または社会生活への制約がある方とあり、「長期にわたり」ということであるので、初診日から6ヶ月以降でなければ申請はできません。(申請から交付まで、1~2ヶ月かかります。)
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どの程度の障がいなら手帳がもらえるのですか。
[精神障害者保健福祉手帳]
1級:「精神障がいであって日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」。
具体的には入院中の人とか、通院中であっても、他人の援助なしには日常生活(食事、掃除等)が出来ない人などです。
2級:「精神障がいであって日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」。
具体的には、デイケアや福祉施設に通うことはできても、ときどき他人の助言や援助がないと日常生活がうまく過ごせない人などです。
3級:「精神障がいであって日常生活もしくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの」。
一般事業所で就労している人も含まれ、ほぼ一人で日常生活を送ることはできるのですが、ストレスがかかると不安定になる人が対象になります。
[身体障害者手帳]
身体障害者障害程度等級表によって、1~6級に区分されます。
[療育手帳]
療育手帳の制度は法律ではなく、政府の通知にもとづいているため、全国一律の基準がありません。障がい等級の区分方法は自治体により異なります。手帳の名称も自治体によって異なります。
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判定は、どのように行われるのですか (精神障がい)。
申請時に提出しなければならない医師の診断書にもとづいて、都道府県知事や政令指定都市市長が精神保健福祉センターの意見を聞いた上で判定を行います。既に、障がい年金を受給している場合は、その年金証書の写しがあれば、判定無しに交付されます。その場合、等級は年金の等級に合わせられます。
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申請先はどこですか。
申請者の居住地の役所になります。申請用紙も役所にあります。
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申請は本人でないとできませんか。
基本的には、本人が申請することになっていますが、家族、医療機関の職員が申請手続きの代行をすることができます。また、費用はかかりますが、行政書士や社会保険労務士へ依頼する方法もあります。
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申請に必要な書類はなんですか。
[精神障害者保健福祉手帳]
・精神障がい者保健福祉手帳申請書:市区町村窓口で入手します。
・主治医の診断書:市区町村窓口で入手した用紙に医師に書いてもらいます(役所から医療機関に送付してくれる場合もあります)。
※診断書は精神障がいに係る初診日から6ヶ月を経過した日以後に作成され、かつ診断書作成日から3ヶ月以内に申請する必要があります。
[身体障害者手帳]
・身体障がい者(児)手帳交付申請書(印鑑の押印が必要)。
・身体障がい者診断書・意見書(身体障害者福祉法第15条にもとづく指定医師が記載したもの)。
・写真(上半身 縦4cm×横3cm)。
・マイナンバーに係る確認書類。
[療育手帳]
・申請書 :市区町村窓口でもらえます。
・印鑑。
・本人の写真:縦4cm×横3cm。
・母子手帳や幼少期の様子がわかる資料:自治体によっては求められるところもあります。
(必要書類は都道府県によって異なる場合があるので確認が必要です。)
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手帳の有効期限はありますか。
[精神障害者保健福祉手帳]
・2年間ですので、2年ごとに更新の手続きが必要です。
[身体障害者手帳]
・基本的に有効期限はありません(障害部位により手帳に有効期限や再認定の時期が記載されている人は、更新の申請を行ってください)。
[療育手帳]
・年齢に応じて2年から10年に一度再判定し、更新の手続きが必要です。手帳に次期判定年月日が記載されていますので、期限内に再判定申請書を提出して判定を受けてください。
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申請に費用はかかりますか。
申請自体には、費用はかかりませんが、申請に必要な医師の診断書に費用がかかります。診断書には健康保険が適用されませんので、自己負担となります。金額は医療機関によって違ってきますが、だいたい、5千円~1万円ぐらいになります。
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手帳をとることによる不利益はありますか。
特にありません。ただ、手帳をとることによって、自分が障がい者であるということを認めることに対して不安があるという人もいるようです。ただ、手帳を持っているからといって、提示(利用)が義務となるわけではなく、提示(利用)したくなければ、しなければいいだけのことですので、交付してもらうことによる不利益はありません。
生活保護制度
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生活保護制度とはなんですか。
病気やケガなどで働けなくなったり、高齢や障害のために生活に困った時に、憲法で定められた最低限の暮らしを保障する制度のことです。だから、生活保護を受けることで負い目を感じたり、受けることを遠慮する必要は全くなく、私たちが、当然利用することができる権利として考えることが必要です。
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役所の対応が冷たく、申請までがしんどいと聞きますが。
理由として考えられることは、国や自治体が生活保護を受ける人を減らしたいと考えているため、現場の職員に対して締めつけを行っていることが考えられます。申請がなければ、受給者は確実に減るので、申請前の段階で、いろいろと突っ込んでくるからです。また、役所の人事異動により、生活保護制度に詳しくない職員が対応しなければならないといったこともあるかも知れません。ただ、大切なことは、申請しなければ受給はできないということです。申請までに、役所の職員にいろいろ言われたとしても、「お金をもらうことは、しんどいこと。」と考えて、あきらめないことが大切です。そのためには、自分ひとりではなく、保健婦さん、病院職員、相談支援専門員、福祉施設職員、相談者などと一緒にすすめていくことも必要になってきます。
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具体的に、どのような援助があるのですか。
・生活扶助:食べるもの、着るものなど、普段の生活にかかる費用。
・住宅扶助:家賃や地代、家の補修などにかかる費用。
・教育扶助:義務教育に必要な学用品代、教材費、通学用品、給食費などの費用。
・医療扶助:入院、通院費、治療に必要な補装具、入院のための移送費や通院交通費などの費用。
・出産扶助:出産にかかる費用。
・生業扶助:小規模な事業を始めるのに必要な資金や手に職をつけるための費用。および、仕事に就くために直接必要な費用(服などを買う費用)。
・葬祭扶助:葬式の費用。
・介助扶助:介護保険の対象になっている65歳以上の人に、介護サービスが給付されます(通常の1割負担分が支給されます)。
収入によって違ってくることもありますが、基本的には、この中でその人に必要な扶助を組み合わせて支給されます。
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一時扶助とは、なんのことですか。
初めて保護を受けた時、入退院の時や出産、入学の時は一時的に、まとまった生活用品が必要になる場合があります。そのような場合に支給されるもので、金銭給付(費用限度額があります)や現物給付があります。また、毎年年末に全員に給付される期末一時扶助があります。
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生活保護費は、住んでいる場所で違ってくるのですか。
違ってきます。各地域の生活実態(地価・物価など)に応じて、厚生労働大臣が最低生活費の基準(保護基準)を決めています。この基準は、保護を受ける人の年齢別、世帯構成別、所在地別に分けて決められています。
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生活保護費は、結局いくらぐらいになるのですか。
詳しくは、保護基準で決められていますが、基準額は、だいたい一般勤労者世帯の70%弱程度となっています。
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障がい者加算とは、どの程度の障がいであればもらえるのですか。
① 障害等級表の1級、2級(身体障害者手帳1~2級、精神障害者保健福祉手帳1級)、および障がい年金の1級
② 障害等級表の3級(身体障害者手帳3級、精神障害者保健福祉手帳2級)、および障がい年金の2級
の人に支給されます。障がい者手帳等を持っているだけで支給要件は満たしますが、申請しなければ受給権は発生しません。また、障がい手帳や障がい年金を受けてなくても、それと同じ程度の状態であるという診断書があれば、障がい者加算をつけられる場合があるので、主治医か医療機関のソーシャルワーカー等に相談してみて下さい。
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税金や保険料はどうなるのですか。
生活保護を受けていると、税金や公的料金は免除になります。具体的には、住民税、固定資産税、清掃手数料、保育料、国民年金保険料、NHK受信料などが免除になります。また、都道府県・市区町村によっては、バス乗車料、無料入浴券、夏冬の慰問金(見舞金)などの、生活保護法以外のサービスの制度もある場合があるので、生活保護窓口で尋ねてみて下さい。
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手続きは、どうしたらいいのですか。
原則は、本人の申請により開始されます。ただ、入院などにより本人が申請に行くことができない場合は、本人の家族や親戚の人でも構いませんが、それ以外の全くの他人に申請してもらうことはできません。ただ、病院や民生委員などからの連絡があれば、福祉事務所から申請者のところまで出向いてくれますので、連絡してもらうように頼んでみるといいと思います。また、「職権保護」という制度もあり、動けないほど衰弱しているなど、申請できない事情がある場合は、福祉事務所の権限で保護を行うこともできますが、この場合は、衰弱のために餓死することのないようになど特別な場合に限られます。
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生活保護の基本原理を教えて下さい。
【無差別平等の原理】
以前は、勤労怠慢、素行不良などの理由で保護を受けることができないことがありましたが、現在は、保護の用件さえみたせば、人種、信条、性別、社会的地位、身分などで差別してはならないという原理。
【最低生活の原理】
憲法に定められているように「健康で文化的な生活水準を維持できるもの」として、一般国民の生活水準と関連して「ある程度の生活水準」は確保されなければいけないという原理。
【補足性の原理】
各自が最善の努力をして、なおかつ生活に困ったときに、はじめて保護が行われるという原理。つまり、利用できる自己の能力や資産、家族の援助、他の法律や制度を利用(他法優先の原理)したとしても、なおかつ最低生活ができないときに、はじめて受けることができるという原理。
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申請に行くと、細部にわたって聞かれるとのことで嫌なのですが。
申請に行くと、これまでの生活のこと、家族のことなどを根ほり葉ほり聞かれ、嫌な思いをすることが多いようです。資産や収入があるのに、不正に受給しようとしていないかとか、受給しなくてもよい手段が他にないかということを強調されて、結局、申請書類をもらえなかったということがあるようですが、申請しなければ、受給はできません。そこは、忍耐強く対応していかなければいけません。例え、権利であったとしても「お金をもらうことは、しんどいこと。」と考えて堂々と申請していく必要があります。申請すれば、審査結果で、保護が受けれないという結果がでたとしても、不服申し立てを行うこともできるため、申請手続きをするということは重要になってきます。保健婦さんや医療機関のケースワーカー、精神保健福祉士、相談支援専門員、福祉施設職員などに相談し、一緒に行ってもらうということも考えてみて下さい。
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福祉事務所の担当者の質問には、すべて答えないといけないですか。
申請の段階よりも、保護決定の「調査」段階では、かなりつっこんだ内容の質問をされます。生活の様子や収入、資産など過去から現在に至るまでのプライバシーに関わる質問もされます。すべての質問に答えなければいけないということはありません。分からないことは、「分からない。」でいいのですが、収入に関してなど、保護決定の重要な判断基準となるものに関しては、きちんと答えなければ、却下されることになるので注意して下さい。ただ、質問の内容や答に関しては、役所は守秘義務がありますので、他に知られるということは、絶対にありませんので、安心して答えるようにして下さい。
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申請手続き後の流れを教えてください。
申請後は、担当の職員が申請者の家庭や、病院を訪問して、申請事項に間違いがないかどうか調査します。また、必要に応じて資産などの調査もしますが、保護決定は、原則として14日以内(長くても30日以内)と期限が決められています。保護が決定されると、「保護決定通知書」が送られてきて、その中に扶助金の金額や支払日なども記載されています。支給は、申請日にさかのぼって計算されています。また、保護が受けられない場合は、「却下通知書」が送られてきて、却下理由が書かれてあります。この決定に不服のある場合は、決定があったことを知った日の翌日から、60日以内に、知事に対して、審査請求をすることができます。さらに、その知事の裁決(審査結果)に不服がある場合は、厚生労働大臣に対して、30日以内に再審査請求をすることができます。
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保護費の受け取り方は、どうなりますか。
保護費は、原則として毎月、月初めに福祉事務所が指定した銀行か、福祉事務所の窓口で受け取ることになります。ただし、生活保護の開始時や、福祉事務所の職員と面接時など特別の場合は、福祉事務所で直接受け取る場合もあります。
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生活保護の担当者は何をしてくれるのですか。
生活保護が決定されると、福祉事務所の担当職員(ケースワーカー)が決まりますが、その人を信頼して、生活で困っていることや心配事、自立に向けての援助をしてもらうことも大切なことです。生活保護を受けると、正当な理由がない限り、保護を止められたり、減らされたりすることはありませんので、担当職員が受給者を無視して画一的な指導や対応(処遇)をしてはならないことになっていますので、安心していろいろ相談してみて下さい。
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ひとり暮らしがしたいのですが、生活保護はどうなりますか。
生活保護は世帯を単位として援助される制度(世帯単位の原則)なので、ひとり暮らしで世帯分離をすると保護を受けることは可能となります。未成年であれば、親に扶養の義務がありますが、成人していれば、ひとり暮らしで保護を受けることが可能となります。また、長期入院の患者さんの場合、世帯分離していかなければ、その世帯全部が自立できないという問題がありますので、世帯分離の制度が適用される場合があります。条件としては、配偶者がいる場合は、1年以上の入院で、さらに半年以上の入院が必要とされること、配偶者がいない場合は、半年以上の入院を要することが条件となってきます。
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親、兄弟、親戚の援助は絶対義務なのですか。
扶養義務の取り扱いは、最近、厳しくなった部分でありますが、現在の法律では、民法上の扶養義務者(未成年の親)であっても、住まいや家計を一緒にしていない家族や親戚にまで、扶養義務を強要していません。特に兄弟などは、独立して別世帯を作っているのあれば、その人なりの生活があるわけで、その世帯の生活の余力の範囲で扶養すればよく、扶養を強制することに関しては断ることができます。
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持ち家などの資産や貯金、住宅ローンがあると保護が受けれないのですか。
かならずしもそうであるとは限りません。例えば、宅地、家屋に関しては、現在、本人が住むために使用しており、処分するよりも保有している方が、その世帯(本人)の生活維持や自立助長に役立っている場合には、所有が認められます。貯金に関しては、世帯の最低生活費の二分の一程度は持っていてもよいということになっています。ただ、貴金属や株券に関しては処分しなければいけませんし、住宅ローンも原則的には認められていません。生命保険に関しては、保険料額が最低生活費(医療扶助を除く)の1割程度、解約時の払戻金に関しては、3ヶ月分程度が目安の基準となっています。
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生活保護になると、車や電化製品はどうなりますか。
(携帯)電話やカラーテレビ、エアコンなどの電気製品は、その地域の普及率が70%を越えるものに関しては処分する必要はありません。車に関しては原則として認められていませんが、障がい者が通勤や通院、通所などに使用する場合には、おおむね認められていますが、精神障がい者に関しては、てんかんが該当となっています。
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アルバイトなど、何か収入があった時、保護費はどうなるのですか。
お祝い金やお見舞金など、社会通念からみて収入とみなすのが適当でないとものは除きますが、働いて稼いだものに関しては収入とみなされます。それには福祉施設などでの給料、工賃も含まれます。それ以外にも、年金や仕送りなども収入とみなされ、そのことを「収入認定」といい、保護費から差し引かれてしまいます。ただし、実費控除といって、社会保険料、所得税、通勤税、労働組合費などは収入から差し引くことができます。また、働くようになると、実際の生活費がかかるようになるために(通勤服など)、基礎控除といって、収入の大きさにより一定金額が収入から控除される制度があります。
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精神科以外の病気で、お医者さんにかかった時はどうなるのでしょうか。
どんな病気でも、生活保護法の指定を受けたお医者さんであれば、無料で治療を受けることができます。その場合、「医療券」で受けることになるのですが、印鑑を持って福祉事務所に行き、「傷病届」を提出すると発行され、それを持って病院に行くことになります。夜間、休日などでも、後から発行してもらえますので安心してください。
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アパートが古くて引っ越したいのですが。
住宅扶助の基準は、だいたい、その地域の第二種公営住宅の家賃を参考にして決められています。また、病気に悪い影響を与えるような環境の住宅であれば、そのために眠れない、抑うつ的になるといったことにもつながるので、主治医に相談し、意見書を書いてもらったうえで、福祉事務所に相談しにいくことも大切です。転居に合理的な理由があれば、「敷金」「移送費(運送費)」などの転居費用は支給されます。
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入院したら、今住んでいるところの家賃はどうなりますか。
6ヶ月以内に退院できる見込みがあるのであれば、住宅費は出してもらうことができます。ただ、6ヶ月で退院できない場合は3ヶ月を限度に期間延長することはできますが、それでも退院できなかった場合は解約となってしまいます。その場合は家財を預かる保管料が認められるのですが、それも入院から1年間迄となります。
障がい年金
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障がい年金ってなんですか。
年金とは、毎月、納めたお金を貯めておき、高齢になった時や障がいを持って生活が苦しくなったときなどに、お金を支給するという制度です。「障がい年金」とは、その中で、病気やケガのために障がいを持ったときに、その人の生活費を部分的に補うものとして支給されるものです。
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どのような病名(障がい)だと障がい年金がもらえるのですか。
[精神障がい]
精神疾患にかかっており、生活や仕事が困難になった場合に、障がい年金の対象となります。具体的には、統合失調症、うつ病、そううつ病、非定型精神病、てんかん、器質性精神病(認知症、頭部外傷、アルコール・薬物による精神及び行動の障害等など)などです。神経症に関しても、その障がいが重い場合には対象となります。本来なら、病名ではなく、その障がいの大きさで判断されるものであるため、病名だけにとらわれるのではなく、その障がいに視点を向けることによって、他の病名の障がいも併発していると考えられる時もあるので、主治医に相談してみてください。
[知的障がい]
・1級:知的障がいがあり、日常生活への適応が困難で、常時介護を要するもの。
・2級:知的障がいがあり、日常生活における身辺処理にも援助が必要なもの。
・3級:知的障がいがあり、労働が著しい制限を受けるもの。
で、判断されます。
[身体障がい]
・国民年金法施行令別表(1級、2級)
・厚生年金保険法施行令別表(3級)
に定められています。
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障がい年金をもらうための条件はなんですか。
発病が20歳前なら、20歳までは保険料を納める義務がないので、保険料を納めてなくても障がい基礎年金がもらえます。それ以外の場合は基本的には、どちらかの年金(国民、厚生)に加入していて、保険料を納めている必要があります。具体的には、
1.病気、ケガで初めて医療機関を受診した日(初診日)に、何らかの年金に加入していること。ただ、初診の診療科は、必ずしも確定診断を受けた診療科でなくてはならないというわけではなく、障がいとの因果関係が証明されれば、他の診療科でもよいとされています。
2.保険料がきちんと納められていること。初診日の前の段階で、保険料の未納が三分の一以上あると要件を満たしません。ただ、経過処置として、初診日の前々月から、1年間分だけ保険料を納めていれば、あとは未納でもよいとされています(初診日において65歳未満の場合)。
3.障がいがあるという診断書が必要です。その障がいの状態が、年金制度に定められた障がいの状態(1級、2級、3級)にあてはまらなくてはいけません。
これらの条件は受給要件といわれ、これらを満たさなくては、年金の支給を受けることはできません。ここで、大切なことは初診日になってきます。精神疾患の場合、いままでに精神科(心療内科)でひとつの病院にしか、かかったことのない場合は、その病気の初診日は、その病院の初診日になるのですが、精神科の場合、医師との相性が治療に大きく影響してくるため、医師との相性が合わず、何回も病院を変えている人も中にはいると思います。その場合は、初診日は現在通院している病院の初診日ではなく、初めて行った病院の初診日が、その病気の初診日となることに注意してください。つまり、一回だけしか行ったことがない病院でも、現在の状態にいたる初めの病院であれば、その日が初診日となります。
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「障害認定日」とはなんですか。
障がい認定日とは、初診日から1年6ヶ月が経過した日、もしくは病気がなおって障がいが固定した日のことです。つまり、「障がいの程度を評価し、障がい年金支給に相当する障がいの状態にあるか」を認定する日のことです。ただし精神障がいの場合、病気が治ったら障がいはなくなる場合が多いと考えられるため、初診日から1年6ヶ月経過した日が、障がい認定日になることが多いです。年金の支給開始は、「障がい認定日」の翌月分からとなります。
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20歳なのですが、学生で年金の保険料を払えそうにないのですが。
働いていると、会社の厚生年金などに加入できるのですが、学生やアルバイトであれば、国民年金に加入することになります。ただ、学生であれば「学生納付特例制度」を申請しておき、就職してから納入するという追納制度がありますので、まずは国民年金に加入しておき、「学生納付特例制度」を申請をしておくことが必要です。「学生納付特例制度」を申請をしておけば、その期間は、保険料を払っていなくても払ったとみなされるので、その期間に初診日があったとしても障がい年金を受けることができます。ただ、その期間はもらえる年金額への反映はされませんので、保険料は追納(過去10年分までできます)しておいた方が、将来、老齢基礎年金をもらうことになった場合もらえる年金額が多くなります。
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障がい年金の種類を教えてください。
・障がい厚生年金(厚生年金):会社員、公務員。
・障がい基礎年金(国民年金):自営業、学生、フリーター、専業主婦(第3号)など。
この中で、初診日に加入していた年金が、受給年金となります。国民年金は、20歳以上であれば加入が義務付けられていますので、原則的には、どれかの年金に当てはまることになります。また、障がい基礎年金には1、2級、障がい厚生年金には1~3級の等級があり、障がいの重さの程度で決められます。
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障がい厚生年金の3級について、もう少し詳しく教えて下さい。
障がい基礎年金や配偶者の加給年金も加算はされませんので、支給額は少なくなるのですが、最低保障額は保障されています。また、3級より軽い障がいの場合は、年金はもらうことはできませんが、一時金として、障がい手当金が支給されます。金額は、年金額と同じように計算した2年分となります。
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年金の等級はどのように決められるのですか。
「障害認定基準」というものが厚生労働省からでており、それによると、認定基準は
[精神障がい]
「精神の障害の程度は、その原因、諸症状、治療およびその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するもの」とされており、
1級:日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。
2級:日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。
3級:働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの、及び労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの。
障害手当金:労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すものに該当するもの。
を認定するとなっています。よって、申請時に提出する医師の診断書が大きな意味を持ってきます。
[身体障がい]
1級:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずる ことを不能ならしめる程度のもの。
2級:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制 限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。
3級:労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度 のもの。
障害手当金:「傷病が治ったもの」であって、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えるこ とを必要とする程度のもの。
を認定するとなっています。国民年金法施行令別表および厚生年金保険法施行令別表によって具体的に決められています。
[知的障がい]
・1級:知的障がいがあり、日常生活への適応が困難で、常時介護を要するもの。
・2級:知的障がいがあり、日常生活における身辺処理にも援助が必要なもの。
・3級:知的障がいがあり、労働が著しい制限を受けるもの。
で、判断されます。
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障がい年金の申請をしたいのですが。
まずは、申請書類をもらうことから始まりますが、その前に協力してくれる人を見つけることも大切です。申請は本人でなくてもできるので、協力してくれる人がいるならば、お願いする方がいいと思います。障がいがあって、しんどい状態であり、生活、労働に困っているので、年金を申請するのですから、その状態でいろいろな手続きをすることで、余計にしんどくなってしまうかもしれません。まずは、かかっている病院のケース(ソーシャル)ワーカーに相談してみてください。申請には医師の診断書が必要になってきますので、かならず相談するようにした方が、スムーズに話が進んでいくはずです。ただ、ケース(ソーシャル)ワーカーのいない病院、診療所もあるので、その場合は保健所や市区町村の保健婦さん、福祉施設の職員、相談支援専門員など、実際に相談にのってくれたり、動いてくれる人の方がいいと思います。また、国民年金と厚生年金では、申請窓口が違ってきますので、間違って違う窓口に行ってしまうと、二度手間になる可能性があります。まず、申請窓口に行って必ず聞かれることは、初診日です。初診日によって、申請窓口が違ってきたり、受給年金の種類が違ってくることがありますので、初診日は確認しておかなければいけません。また、年金手帳も持っていったほうがいいです。これはきちんと保険料を払っており、受給要件を満たしているかの確認が行われるためです。ここで、受給要件が満たされていないとなると、申請書類をもらうことができなくなりますので、事前に、自分は受給要件を満たしているかどうか、協力してくれる人に相談してみることが大切となってきます。窓口で、曖昧な返答をしていると、どんどんと泥沼にはまっていく可能性があり、ただでさえしんどいのに、余計にしんどくなってしまうことも考えられます。ただ、そんな場合でも、受理してもらわなければ、受給はできませんので、「お金をもらうことは、しんどいこと。」と考えて辛抱強く対応していって下さい。
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申請窓口はどこですか。
・障がい基礎年金(国民年金):市区町村の役所の国民年金課。
・障がい厚生年金:もよりの年金事務所。
となります。
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申請書類は何がいるのですか。
1.年金請求書
2.診断書(医師作成による)
3.病歴・就労状況等申立書
4.年金手帳(基礎年金番号通知書)
5.障がい手帳(持っている場合)
6.戸籍謄本(子供がいない時には住民票でも可)
7.年金証書(ある場合)
8.年金支払機関の通帳
1~3までは、用紙を事前に申請窓口でもらってこなければなりません。また必要に応じて、配偶者の年金手帳、配偶者の課税、非課税証明書、源泉徴収票、(現在の病院と初診時の病院が違う時は)受診状況等証明書(初診時証明)なども必要になる時があります。ただ、申請書類をもらいに行ったときに、提出しなければならない必要書類のリストがもらえるはずですので、そのリストにそって、必要書類を集めていけばいいと思います。
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診断書はどうすればいいのですか。
診断書は障がい認定日(初診日から1年6ヶ月目の日)に診療を受けていた医師に頼むのが原則となります。もしも、現在と変わっているならば、当時の病院に行って、診断書を書いてもらわなければなりません。診断書は年金受給のための大切なものになってきます。事前に医師とよく話し合い、納得した上で書いてもらうようにしてください。また、内容的には、ショックを受けるような用語が使われているかもしれませんが、それは、申請上決められている専門用語で、年金受給に必要なものであると考えて、あまり気にしないようにしなければいけません。また、書いてもらった後は、年月日など間違いがないか確認して、納得できなければ確認しておくことも必要です。実際、窓口に申請に行ったときに、うまく答えることができなければ、受理してもらえない場合もあるので、注意が必要です。また、書いてもらった診断書の内容は、家族(本人)がよく知っておき、必ずコピーを取っておくようにして下さい(審査請求の時に必要になってきます)。
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診断書を当時の医師に書いてもらえない場合はどうしたらいいのですか。
原則的には、障がい認定日当時に診療を受けていた医師に頼まなければいけないのですが、その医師が転勤していると書いてもらえない場合がありますが、その場合は、後任の医師に当時のカルテにもとづいて書いてもらうようにしてください。また、病院自体がなくなっている場合や、カルテの保存期間(5年間)をすぎてしまっている場合などで、書いてもらえない場合も考えられますが、その場合は、請求者(本人)が申立書を提出しなければなりません。それは、現在の医師との問診を受けて、できるだけ当時の状態が正確に伝わるように書いて提出します。また、医療機関の証明はなくても、学校、家族、親族の証明で受給された例もありますので、申請窓口とよく相談して、その助言に従うようにしてください。
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さかのぼって請求することができると聞いたのですが。
例えば、年金が請求できるということを知らなくて、申請をしていなかった場合には、支給されなかった年金を、5年前までさかのぼって請求できる制度があります。障がい認定日から1年またはそれ以上経ってから請求をおこなうことを「そ及請求」といいます。この請求を行う時には、障がい認定日と現在の症状を書いた診断書が2枚必要になります。
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障がい年金は毎月支払われるのですか。
障がい年金の支払いは、2ヶ月に1度、偶数月の15日に支払われます(金融機関などが休日の場合はその前の営業日)。ただし初回分やそ及請求の場合などは奇数月に支払われることもあります。
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年金受給されると、それ以後の手続きはどうなるのですか。
年に1回、「現況届け」を出す必要があります。これは、今後も引き続き年金を受ける状況にあるかどうかを確かめるものですので、きちんと出さないと年金を差し止められてしまうこともありますので注意してください。提出の時期になると、本人に書類が送られてきますので、記入してから送り返すようになります。時期は無拠出年金の人(初診が20歳前か昭和36年前の人)は、毎年7月で、拠出年金の人(保険料を払っていた人)は、その人の誕生月になります。また、障がいの程度に応じて、障がいの程度の変化を確認するため(有期認定)に1~5年ごとに診断書を提出する場合があります(精神障がいの場合は、ほとんどが有期認定)。この診断書の内容次第で、年金の等級が下がってしまうこともありますので、診断書を書いてもらう時に、主治医とよく相談してください。
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障がい認定日には軽かったのですが、その後悪くなったのですが。
発病後、何年か経った後(障がい認定日から1年以上)に、状態が悪くなったり、障がいが重くなったりした場合は、「事後重症」ということで、あらためて障がい認定を請求(事後重症請求)することができます。その場合は、申請した翌月から支給されることになります。ただし、受給要件は、あくまで初診日になるので注意してください。
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障がい年金の決定(却下、等級など)に納得がいかないのですが。
障がい年金の決定(裁定)に納得がいかない場合は、不服申し立ての制度があります。審査請求といって審査のやり直しをしてもらう制度です。通知を受け取った翌日から3ヶ月以内に行うことが必要となりますが、それぞれの都道府県庁の社会保険審査官に連絡を取って、審査請求に必要な書類を送ってもらう必要があり、手続きのときに、主治医の意見書や陳述書が必要となりますので、家族、関係者とよく話し合う必要があります。ただ、なかなか決定の変更は難しいと言われています。しかし、これで却下された場合でも、厚生労働省の社会保険審査会に再審査請求をすることもできます。これも、都道府県の却下通知の翌日から2ヶ月となっていますが、協力者(請求代理人)が医師と協力して、よく準備した上で審理に臨む必要があります。請求自体に費用はいらないのですが、東京までの交通費、必要書類のための費用は必要となってきます。また、不服申し立てをする場合に必要な審査請求書を書くときに、診断書と病歴・就労状況等申立書の内容が重要となってきますので、必ずコピーをとるようにしておいてください。
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等級に不服なのですが、申し立て期限の3ヶ月は過ぎているのですが。
3ヶ月を過ぎてしまっていても、等級の変更を請求することはできます。ただし、通知を受け取ってから1年間は待たなければいけません。この場合、有期認定が1年間であれば、その時に診断書を提出することになるのですが、2~5年の場合は、1年が過ぎた時点で、等級の変更請求(年金額改定請求書)を提出することができます。この時も重要な判断材料になるのが、診断書ですので、主治医とよく相談し診断書を書いてもらうことが必要となってきます。申請窓口は、障がい基礎年金(国民年金)なら市区町村の国民年金課、障がい厚生年金なら、最寄の年金事務所となります。また、この申請結果がだめであったら、その通知を受け取った翌日から3ヶ月以内に不服申し立て(審査請求)をすることができます。
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障がい年金を受けると、仕事にはつけないのでしょうか。
そんなことはありません。障がい年金を受けながら仕事に就くことができますし、実際にたくさんの人が年金をもらいながら仕事に就いています。年金の保険料を払っていた場合(拠出)は、所得制限もありません。ただ、無拠出(初診が20歳前か昭和36年前)の人は所得制限があり、前年の年収(所得)によって支給制限があります。ただ、それよりも仕事ができるようになったということは、障がいがなくなったと判断されて、次回の診断書提出時に等級の変更や年金停止になることも考えられるので、その点は主治医とよく相談してください。だからといって、働くと年金停止になるからと、働かないということは考えものです。働くということは、お金を稼ぐという理由が一番大きいとは思いますが、それだけの理由ではありません。人それぞれ、いろいろな理由(目的)を持って働いています。働けるようになるということは、喜ばしいことであると考えてみてください。とはいうものの、実際、働くことになっても、不安定になったりしませんか。仕事が終わると朝まで寝てしまうということはありませんか。どうしても休みがちになってしまっていませんか。そのような生活面での困難さを診断書に書き込んでもらうことが大切です。
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働いて厚生年金に入ると、障がい年金受給のことが知られないでしょうか。
会社に就職したからといって障がい年金を受けていることが、会社に知られるということはありませんので安心してください。ですので障がい年金を打ち切られるということもありません。打ち切られるとしたら、働けるようになって障がいがなくなったという診断書の内容によってであり、それ以外で停止されることはありませんので安心してください。ただ、現実問題として障がい年金を受けているということが、職場に知られてしまうかも知れないという心配があるかも知れないですが、障がい年金を受けることは決して恥ずかしいことではありません。これは、きっと年金を受けているということよりも、「障がい」という部分で、心配しているのだと思います。障がいを持っているということが、引け目に感じなくてもよいような社会が、本来は望ましいのですが、まだまだ、そこまでいっていないというのが現状でしょうか。ただ、障がいも自分の個性なのですから、きちんと仕事をしている以上、堂々としておけばよいと思います。
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一度停止された年金は、再び受給できないのでしょうか。
障がい年金を受けていたのですが、障がいが軽くなり、一定期間仕事に就くことができ、その時に障がい年金も停止になったのですが、再び病気が悪化してしまった場合など、65歳までなら支給停止を解除する(再び年金を受ける)ことができます。その際には、「支給停止事由消滅届」と診断書を窓口に提出しなければなりません。提出窓口は、障がい基礎年金(国民年金)は市区町村の国民年金課、障がい厚生年金は、もよりの年金事務所となります。
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障がい年金を受けていると、国民年金の保険料はどうなるのですか。
障がい年金を受けるようになると、1、2級の人は、国民年金の保険料が免除になります(法定免除)。ただ届出は必要となりますので忘れずに届けていないと、その期間は未納になってしまいますので注意してください。また、3級の人に関しては、申請して審査を受けることで保険料が免除になります(申請免除)ので、忘れずに申請を行って下さい。ただ、免除期間に関しては、その期間分の年金額は、普通に保険料を払っていた場合の1/2になってしまいます。経済的に余裕ができた時に、追納という制度もあります。これは10年以内であれば、さかのぼって保険料を納めることができる制度になります。もし今後、障がいが軽減して、障がい年金をもらわないようになった場合、老齢年金をもらえる歳(65歳)になった時に、免除期間が長いと、もらえる年金額が減ってしまいます。また、配偶者がおり、会社などで厚生年金に加入しているのであれば、3号手続きをしておくことで、国民年金の保険料が免除となります。3号に関しては、年金受給時(障がいが回復し障がい年金を受けなくなって老齢年金がもらえるようになったときなど)の受給額は満額もらえることになっています。
※3号:いわゆる会社員(公務員)の妻と言われているもので、厚生年金加入者の配偶者が働いていない場合(収入が一定額以下の場合)、配偶者の扶養となることで、国民年金の保険料や健康保険料が免除される制度。もちろん会社員(公務員)の夫でも大丈夫です。
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障がい年金と老齢年金を同時にもらうことはできるのでしょうか。
できません。老齢年金をもらえる歳になったら、どちらにするか選ばなければいけません。つまり、有利な方を選んだらよいのですが、だいたいの人は、障がい基礎年金の方が老齢基礎年金よりも有利になるようです(税制面など)。ただ、老齢基礎年金に切り替えたほうが、有利になる場合もあるので、一度、市区町村の役所の窓口で相談してみてください。
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障がい年金を受けるにあたって、注意する点はありますか。
1.障がい年金を受けている人が、労災保険から、同じ理由で障がい保障給付を受けた時は、6年間障がい年金の支給が停止されます。
2.健康保険の傷病手当金を受給中に、同じ理由で障がい厚生年金もしくは障がい手当金が支給されるときは、傷病手当金は支給されなくなります。ただし、障がい厚生年金額を360で割った金額が傷病手当金の日額よりも少ない時は、その差額分は支払われます(支給調整)。また、傷病手当金の支給額が、障がい手当金の額に達した場合は、傷病手当金が支払われるようになります。
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障がい基礎年金(国民年金)と障がい厚生年金では、どちらが有利ですか。
基本的に、どちらの年金になるかは、初診日にどちらの年金に加入していたかで決まりますので、選ぶ余地はなく決まってしまいます。ですが、例えば、国民年金に加入している時に1日だけ病院に行ったことがあり、その後、1~2年は病院に行ったことはなく、その後、就職して厚生年金の加入時に、再発(悪化)して、現在の状態に至っている場合など、初診日をどちらにしたらよいか迷ってしまうことがあります。本来なら、同じ病名でも社会的治癒には、3年程度かかるとみなされるため、最初の病院が初診となりますが、同じ等級であれば、障がい厚生年金の方が支給額が多く、3級に関しても障がい厚生年金にしかないために、障がい厚生年金で申請したいと思ってしまうかもしれません。ただ、国民年金では「日常生活能力」で障がいの認定が行われるのに対して、厚生年金では「労働能力」で認定されます。このため、国民年金では2級に認定されるほどの障がいであっても障がい厚生年金では3級にしか認定されないということもあります。障がい厚生年金の3級であれば、障がい基礎年金は受けとることはできませんので、障がい基礎年金の2級と支給額はさほど変わりません。その上、年金の級によって、障がい手帳の級も決められてしまうために(障がい手帳の申請が障がい年金証書でできるため)、障がい厚生年金だと手帳まで3級になってしまう可能性もあります。この場合に限らず年金の申請では、すべてのことを細かいところまで書いてしまうと、とても複雑になってきます。例えば、自分と相性のよい医者を見つけるために、病院(診療所)を5~6個まわったとしたら、たとえそれが1回のみであったとしても、そのすべてについて書かなくてはいけなくなってきます。複雑になればなるほど、窓口でいろいろ聞かれるようにもなってきますし、ポイントを押さえて書くということも大切なことだと思います。ただ、気をつけておかないといけないことは、診断書にも治療歴を記入する欄があるために、診断書の治療歴と申立書が違っていたら、必ず突っ込まれます(というよりも受け取ってもらえないと思います)。まずは主治医およびその病院のケース(ソーシャル)ワーカーとよく相談する必要があります。
※社会的治癒:薬を飲んでいたり療養所内におらず、一般社会における労働に従事しているような状態のことであり、精神の病気の場合は、この状態がだいたい3年ぐらい続いていたら、社会的治癒していたとみなされます。
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それでもやっぱり、受給できるか心配なのですが。
確かに、年金が受給できるかできないかで経済的に大きく違ってきます。中には、年金の決定が心配で、調子を崩してしまう人もいます。そんな場合は、社会保険労務士に代行を頼んでもいいかもしれません。社会保険労務士は年金申請の代行業のプロですので安心して頼むことができます。また、成功報酬型もありますので、年金が受給にならなかったら費用は発生しません。特に、審査請求の場合は、判例や行政通達、資料等を調べ上げ、社会保険審査官に対して論理的に不服を証明できなければ、まず審査請求人の主張は認めてもらえない(棄却されてしまう)という現状があるために、社会保険労務士にお願いした方がいいかもしれません。
精神通院医療費公費負担制度
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精神障がい者の通院医療費が補助される制度があると聞いたのですが。
あります。通常、健康保険で病院にかかると、自己負担分が3割ですが、この制度を使うと、自己負担分が1割となり、2割は都道府県が負担してくれるようになります。ただ、世帯収入と症状(重度かつ継続に該当か非該当)によって負担額の上限額が定められます。また、7割分は健康保険負担分ですので、健康保険に加入しているということが前提となります。また、自治体によれば、残りの1割も公費で負担してくれるところもありますが、国民健康保険に加入している人のみであるとか、さまざまですので一度かかっている病院で尋ねてみてください。
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どんな人が対象になるのですか。
「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に規定する精神障害者又はてんかんを有する者」と定められています。具体的には、
1.躁および抑うつ状態
2.幻覚妄想状態
3.精神運動興奮及び混迷の状態
4.統合失調症等残存状態
5.情動及び行動の障がい
6.不安および不穏状態
7.痙れんおよび意識障がい
8.精神物質の乱用および意識障がい
9.知能障がい(知的障がいや認知症によってささいなことで異常に怒ったり、場にそぐわない感情表現をしたり、衝動的な暴力や食行異常などの障がいを伴い、継続的な通院、薬物療法を必要とする場合)
これにより、例えば、統合失調症疑いでも精神症状があり、通院による継続的な治療を必要とする症状がある場合や、摂食障害、不安神経症、強迫神経症なども対象になります。
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症状がなくなったら制度の対象ではなくなるのですか。
症状が改善、あるいは安定していても、その状態を維持したり、再発を防ぐために、継続して通院を必要とする場合は対象となります。
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有効期限はあるのですか。
有効期限は1年間です。期限切れが近づいてくると、通院している病院から教えてくれる場合が多いようです。
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病院のデイケアや訪問看護も利用していますが、この制度は使えるのですか。
使えます。デイケア、ナイトケア、訪問看護、往診などの医療費も制度の対象になります。また、最近は院外処方(病院で薬の処方箋をもらい、調剤薬局で薬を受け取ること)がほとんどだと思いますが、それも対象となります。原則として、3ヶ所まで適応の対象となります。例えば、診察は病院、デイケアは診療所、薬は薬局(2ヶ所まで適応)といったような使い方もできます。ただし、違う場所にある同じ形態の施設の組み合わせ(例えば、診察がA病院、デイケアがB病院)とか、診察をA病院とB診療所で受けるという場合には適用されませんので注意してください。引越しや転院などで病院を変わる時は、届出が必要ですので注意してください。
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精神科以外の病気(風邪、ケガ、糖尿病など)も対象となりますか。
原則的にはなりません。ただ、精神障がいにより自分の健康や安全を守る能力が低下していることが原因として医学的に判断できる場合は制度の対象となります。
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申請手続きはどのようにしたらいいのですか。
申請には申請書と診断書が必要となります。申請書と診断書の用紙は市区町村の役所にあります。ただ、病院が申請の代行をしてくれるところも多いですので、実際のところ、病院に印鑑だけもって行けば、手続きができる場合も多いので聞いてみてください。また、精神保健福祉手帳を持っているのであれば、診断書は必要ありませんが、実際のところ、手帳の申請には、初診日から6ヶ月が経っていないと申請できないため、公費負担の申請が先になる場合が多いです。診断書を書いてもらう場合は、保険がききませんので全額実費となります。
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入院治療にも同じような制度はないのですか。
国の制度では、措置入院を除いては入院治療を助成する制度はありません。ただ、自治体によっては独自に助成を行っているところもあります。精神疾患の方も地域で暮らしていけるような制度として、通院に関してのみこのような制度があります。病院のデイケアにいくと、昼食がついているところが多く、その昼食代にもこの制度が適用になりますので、経済力が弱い人にとっては便利な制度となっています。
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この制度を申請すると、職場に知られるということはありませんか。
まず、ありません。あなたの職場が病院で、その病院にかかっているのでなければ、他に知られることはありません。医療機関には守秘義務というものがあり、仕事上で知った個人のプライベートに関することを、勝手に人に教えることは禁じられていますし、どうしても病院外に知らせなければいけない理由があるときは、本人(もしくは家族)の同意が必要となりますので安心してください。また、中にはこの制度を申請することで、自分が精神障がい者であるということを認めてしまうということが嫌で、申請しない人もいるかもしれませんが、その場合は、別に申請をする必要はありません。ただ、利用できる制度があるのであれば、利用していければと思います。制度と病気は別物だと考えてみてはいかがでしょう。この制度があってもなくても、今の自分の状態は同じであるし、それならば、少しでも自分の負担が少なくなる方がいいのではないのでしょうか。
税金等の安くなる制度
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税金を安くする制度にはどんなものがあるのですか。
税金を納める義務のある本人や、もしくはその家族が法律の定める障がい者に当てはまる場合に、国や地方自治体に納める税金が安くなる制度であり、所得税、住民税、相続税、贈与税、自動車税などが対象となります。また、貯金等の利子にかかる税金が一定額まで免除されるマル優制度(障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度)もあります。手続きには、ほとんどの場合、障がい者手帳が必要書類になっています。
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所得税の税金控除について知りたいのですが。
1.「特別障がい者控除」:障害の程度が精神障がい者保健福祉手帳の1級の人、身体障害者手帳1~2級の人は、1人につき40万円の控除を受けることができます。また、家族に特別障がい者がいる場合にも、同様に40万円の控除を受けることができますが、この場合の家族(障がい者)とは、配偶者もしくは納税者が扶養している親族のことになります。ただし、障がい者本人の年間所得が38万円以下であることが条件となります。
2.「障害者控除」:障害の程度が精神障がい者保健福祉手帳の2、3級の人、身体障害者手帳3級~6級の人の場合は、一般障がい者の対象となり、1人につき27万円が控除されます。
3.「同居特別障がい者控除」:納税者の家族が特別障がい者に該当し、なおかつ同居している場合は、特別障がい者控除の40万円に加えて、1人につき同居特別障がい者の控除として35万円が加算されます。
※児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人(一般障がい者)。このうち重度の知的障害者と判定された人は、特別障がい者になります。
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住民税の税金控除について知りたいのですが。
1.本人またはその家族が障がい者で精神障がい者保健福祉手帳の1級の人、身体障害者手帳1級、2級の人の場合は1人につき30万円、精神障がい者保健福祉手帳の2、3級の人、身体障害者手帳3級~6級の人の場合は1人につき26万円が控除されます。
2.同居特別障がい者控除:特別障がい者が同居している場合に、住民税の障がい者控除30万円に加えて、23万円の特別障害者控除を受けることができます。
3.障がい者本人の住民税非課税:障がい者手帳を持っている障がい者本人であって、分離課税とされる退職所得を差し引いた所得が125万円以下の人は住民税が非課税(支払い免除)となります。
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相続税の税金控除について知りたいのですが。
相続人が障がい者かつ法定相続人であるときは、その人が85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障がい者のときは20万円)を相続税額から控除することができます。
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贈与税の税金控除について知りたいのですが。
特別障がい者の親が、子供の将来のために、財産を安全、有利に残す方法として、信託会社などと「特別障がい者扶養信託契約」を締結した場合、将来、障がいを持つ子供が生活、療養で必要になったときに、定期的に支払ってもらう制度で、6000万円まで贈与税の非課税対象となります。また、特別障がい者以外の精神に障がいのある人の場合は、3000万円まで贈与税の非課税対象となります。
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自動車税の税金控除について知りたいのですが。
[精神障がい者]
精神障がい者保健福祉手帳の交付を受け、その障がいの程度が1級の方で、かつ自立支援医療受給者証の交付を受けておられる方
[身体障がい者]
身体障がい者手帳の区分と級により個別に決められています。
[知的障がい者]
療育手帳等の交付を受けておられる方
上記の方は、1人につき1台まで「自動車税」と「自動車取得税」の減免制度があります。
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マル優制度を教えてください。
「マル優」とは「障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度」の通称で、障がい者手帳の交付を受けている方や障がい者年金をを受給されているなど一定の条件を満たした方のみが利用できる制度です。預貯金の元本350万円までの利子が非課税になります。また、「特別マル優」は、国債と地方債の額面350万円までの利子が非課税になります。「マル優」と「特別マル優」は別枠で利用することができます。
傷病手当金制度
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傷病手当金はどんな人が、どのような時にもらうことができるのですか。
健康保険に加入している本人で(扶養家族ではだめです)、次の条件を満たしている人が対象となります。
1.病気やケガで療養中であること。精神科の病気も含みます。
2.病気やケガの状態から、現在の仕事ができない状態であること(労務不能)。
3.仕事を休み始めてから4日目から支給されます。ただし、3日間連続(公休、有給休暇も含む)で休んでいることが必要で、この3日間を待機期間といいます。
4.休んでいる期間中は、給料をもらっていないこと。会社によれば給料が支給される場合もありますが、その金額が傷病手当より多ければ、傷病手当の支給対象にはなりません。
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傷病手当金は、いくらぐらいもらえるのですか。
金額は、おおむね月給の2/3と思っておけばいいですが、正確には1日につき、
[支給開始日以前12ヶ月の各月の標準報酬月額の平均] ÷ 30 × 2/3
となります。支給は通院、入院だけでなく、自宅療養の期間も含まれますが、支給されるのは、あくまで給料の支払いがない期間ですので、有給休暇で休んだ場合は対象とはなりません。
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手当てがもらえる期間はあるのですか。
あります。最大1年6ヶ月となります。それを過ぎると、病気やケガが治っていなくても支給停止となります。
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たびたび休んでいるのですが、傷病手当は何回でも、もらえるのですか。
傷病手当の支給開始から1年6ヶ月の間であれば何回でももらえます。ただ、注意して欲しいことは、1年6ヶ月というのは、同じ病気で休む場合は、傷病手当をもらっていた期間の合計ではなく、支給開始からの期間となります。ただ、同じ病気でも原因が違う場合は新たに支給の開始となります。
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前回手当をもらってから5年なのですが、再発した場合もう一度もらえますか。
同じ病名、ケガでも前回の病気が治っていると判断されるなら、支給対象となります。医学的に同一性が認められる場合でもかまいません。傷病手当支給後に会社に復帰し、治療を受ける必要がなく会社勤務をしている期間がある程度あるのであれば、社会通念上、病気が治ったと判断されます(社会的治癒)。これ以後に病気になったとしても、新しい病気として見なされ、手当支給の対象となります。ただ、同じ病名であるということを理由に支給されないこともあるようなので、その場合は、主治医やその医療機関のケース(ソーシャル)ワーカーに相談し、社会的治癒状態であったことを主張しましょう。だいたいですが、内科的病気の場合は1年以上、糖尿病、結核や精神の病気は3年以上であれば社会的治癒とみなされています。
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傷病手当金と障がい年金は同時にもらえるのですか。
もらえません。傷病手当金をもらっていて、障がい厚生年金および障がい手当金をもらうようになった場合は、傷病手当を打ち切られます。ただ、障がい厚生年金額を360で割った額が傷病手当金日額より少ない時は、調整支給として差額分が支払われます。また、障がい手当金をもらった時は、傷病手当金の支給額が障がい手当金の額に達するまでは傷病手当は支給されません。
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退職するのですが、傷病手当金は継続してもらえるのですか。
次の要件をすべて満たしている場合は、退職しても引き続き支給されます。
1.健康保険に加入していた期間が、退職した日(被保険者であった期間)まで継続して1年以上あるとき。
2.退職までに連続して3日間仕事を休んだことがあるとき(待機期間が完成しているとき)。
3.実際に傷病手当金を受けた期間が、少なくても1日はあるとき、もしくは受けることのできる状態(手当て支給を請求すれば支給をうけれる)であるとき。
退職後に新しく発生した病気やケガは対象になりません。その場合は、雇用保険の傷病手当となります。また、傷病手当金を受けている期間に再就職した場合は手当ての支給は打ち切られます。
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どうやって手続きしたらいいのですか。
職場の総務関係に、「傷病手当金申請書」があるはずですので、それをもらって、会社(事業主)の証明と医師の意見書(就労できない証明)を書いてもらいます。それを、年金事務所か健康保険組合に提出して下さい。
失業給付(雇用保険)制度
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失業給付(雇用保険)とは何のことですか。
会社の事業主は従業員を1人でも雇っていれば、原則として労働保険(雇用保険、労災保険)に加入しなければいけないことになっています。失業給付は雇用保険による給付で、労働者が失業した時に、生活を維持し再就職しやすくするための制度です。新しい仕事が見つかるまでの一定期間、生活の保障がされるというものです。
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失業給付はどういうときにもらえて、手続きはどこでするのですか。
原則として「離職の日以前の2年間」において、「被保険者期間」が「12ヶ月以上ある」ことが必要です。また、本人が積極的に就職しようとする気持ちと、いつでも就職することができる状態(体力、環境など)で、積極的に就職活動を行っているにも関わらす、就職できない時に支払われるものです。手続きはハローワークになります。
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手続きに必要な書類を教えて欲しいのですが。
1.離職票(2枚あります)
2.雇用保険被保険者証
3.住所、氏名、年齢を確認する書類(住民票、運転免許証、国民健康保険証など)
4.振込み銀行の預金通帳(金融機関の確認印をもらった場合は不要)
5.障がい者手帳(あれば)
1~3は、退職時に会社からもらえるものになります。障がい者手帳があれば、障がい者等の就職困難者として、給付日数が多くなり、3ヶ月の給付制限がなくなりますので、持っているなら忘れずに持っていってください。
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どういうときにもらえないのですか。具体的に教えて欲しいのですが。
・病気やケガのために、すぐには就職できないとき。
・妊娠、出産、育児のために、すぐには就職できないとき。
・定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき。
・結婚により、家事に専念するとき。
・自営業を始めたとき、もしくは、その準備を始めたたとき。
・新しい仕事に就いた、もしくは決まっているとき(アルバイト、パートを含む)。
・学業に専念するとき。
・就職することがほとんど困難な職業や労働条件にこだわり続けるとき。
・雇用保険の被保険者とならないような短時間労働のみを希望するとき。
・会社の役員になったとき。
・嘱託、顧問、相談役になっているとき。
・家業の手伝いをしているとき。
・塾や学校の非常勤講師をしているとき。
・自分名義の店があるとき。
・損害保険などの代理店登録をしているとき。
以上のような時には、失業給付が受けられないことになっているのですが、状態によっては、支給対象となる場合もありますので、自分で判断せずにハローワークで相談してみてください。
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失業給付は、どのように支払われるのですか。
1.雇用保険料を払っていた期間が長いほどもらえる期間が長くなすます。
2.一般の離職者よりも、障がい者などの就職困難者か、解雇・倒産などによる離職者の方がもらえる期間が長くなります。
もらえる金額は、離職前の6ヶ月間の給料(賃金)によって変わってくるのですが、だいたい働いていた時の6~8割ぐらいになります。この金額が、所定給付日数分だけもらえることになります。ただ、有効期限は、離職後1年間となりますので、それを過ぎてしまうと、給付日数が残っていたとしても、もらえなくなりますので注意してください。離職票を持ってハローワークに行った日が受給資格決定日となり、その後7日間の待機期間をへて、支給開始となります。また、自己都合で退職した人は、給付制限が3ヶ月あり、これらの期間を含めて1年間となります。障がい者の場合は1年以上雇用保険をかけていたら(働いていたら)、給付日数が45歳未満で300日、45歳以上で360日になります。
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病気ですぐには働けないのですが、失業給付はもらえなくなるのでしょうか。
受給期間の延長という制度があります。職業に就くことができなくなった状態が引き続き30日以上となったとき、30日目の翌日から早期にしていただくことが原則ですが、延長後の受給期間の最後の日までの間であれば、受給期間延長申請をすることができます。期間は最大4年(1年+延長期間3年)まで延長できますが、病気で休んでいる間は、失業給付金は支給されません。この手続きには、延長理由を証明する書類が必要となってきますが、病気の場合は医師の診断書になります。病気以外でも、妊娠、出産、3歳未満の子供の育児、親族などの介護、事業主の命令で海外出張する配偶者に同行する場合などでも、受給期間の延長ができます。
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現在パート(短時間)で働いていますが、雇用保険をかけられますか。
雇用保険をかけるとなると、雇い主(事業主)も保険料を払わなければいけなくなるので、事業所によったら、雇用保険をかけなくてもよい条件で採用している場合もありますので、採用時に確認しておいた方がいいと思います。基本的には1週間の所定労働時間が20時間未満の場合は、雇用保険をかけなくてもよくなっています。
働く前に
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「働く」ってことは、どういうこと。
まず「働く」ということが、自分にとって、どういう意味を持つのかを考えてみてください。お金を稼いで、生活費にする。欲しいものを買う。趣味に使う。など、お金を稼ぐということは、いちばんの目的であって、誰でもが持っている欲求だろうと思います。ただ、働くという意味は、お金を稼ぐことでけではありません。お金が十分にあれば、もう働かなくていいですか? 自分で稼いだお金であれば、安心もできるし、自尊心もついてきます。それだけではなく、社会は人が働くことで成り立っています。それぞれの分野で働くことにより、相互に助け合いをしているのです。つまり、働くということは、社会の維持形成に役立っており、自分が社会の中で必要な存在であるという証明となるのです。これは働くということで、自分自身の精神的助けにもなるのです。年齢的なものにも関係してくるかもしれませんが、働いていないということが、自分を苦しめている大きな要素であったりもします。家族と同居していたならば、その思いは、さらに大きくなるかもしれません。働くことが、「お金」のためだけであれば、お金があれば働かなくてもいいし、また、「社会のため」だけであれば、ボランティアでもいいのです。「働く」ということは、これらの目的が相互に絡み合って、その人なりの意味を持ってくるのです。だからまず、自分にとっての、「働く」という意味を考えてみてください。そうすることによって、自分に合った方向性が見えてくると思います。
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「働く」ために、どうのようなこと(能力、習慣)が必要なのですか。
単に「働く」といっても、働く形態、場所、時間、環境によってさまざまですので、簡単に説明することは難しいことです。例えば、福祉施設での作業も働くことですし、アルバイト、パートまたは正社員で勤めることも働くことになります。また、家族が自営業であれば、その仕事を手伝うことも働くことになったり、それに対する報酬(賃金)もさまざまになってきます。ただ、一般的には、「集団で、組織的に、仕事を分担し、一定時間持続的に働く能力が必要」と言われていますが、このような能力があったとしても、就労出来ない人もいましす、自分には、そんな能力がないと思っていたとしても、自分に合った職場を見つけることができたなら、続けることができる人もいます。今までがダメだったから、またダメかもしれないという不安な気持ちがあるかもしれませんが、あきらめないことが大切です。しいて言うならば、「自分を知る」能力が必要になってきます。自分の性格、体調、今までの経験など、自分をよく知って、自分で自分をコントロールできるようになることが大切です。そのためには、相談できる人を見つけて、アドバイスを受けながら挑戦していきましょう。
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精神障がい者が働く時の弱点はなんですか。
人それぞれ弱点は持っており、精神障がい者であるから、特別に何かあるというわけではありません。ただ、ひと言で言うと、「不安定性」なのかもしれません。どうしても、体調に波があり、それが健常者に比べると大きくなってしまうかもしれません。ただ、大切なことは、その時にどうするかということです。事前に、そうならないように予防する、それでもダメな時は、兆候を自分で敏感に感じとって、自分自身でコントロールしていくことが大切になってきます。自分の弱点を知っておくということは、事前にその弱点に対する対策が立てられるということです。そして、どのように対策を立てていくかということに関しては、自分ひとりで考えるのではなく、信頼できる周りの人に積極的に相談していってください。とは言われても抽象的なことばかりで、結局どうしたらいいのかが分からないということになるので、もう少し詳しく説明すると、
1.対人関係、人づきあいが下手になってしまっていることがあります(もともと苦手である)。これは、病気になったことで、自信をなくしてしまっていたり、人の態度がとても気になったりすることで、余計に疲れてしまったり、気まずくなってしまったりしてしまうことがあります。
2.体力が落ちてしまっています。病気になったことで、体を動かさなくなったり、薬の影響ですぐ疲れてしまうということがあります。
3.持続力、持久力が落ちています。これは、体力的なものだけではなく、精神的にも、そうなっています。心と体は常に一緒で、どちらかが健康でどちらかが不健康ということはありません。一方が疲れてしまうと、もう一方も疲れてしまうのです。
これらのことから、自分の弱点は、何であろうかとよく考え、それに対する練習をしていく必要があります。
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働くために、精神障がい者であるということ言わなければいけませんか。
そんなことはありません。精神障がい者であることを言わずに働いている人もたくさんいます。ただ、どちらの方が、自分に合っているかということを考えてみてください。言わずに働くということは、当然それなりの期待をされるわけですので、それなりの厳しさを伴ってきます。障がいを持っているということで、他の人と同じように振舞おうとしても、自分にとっての負担はより大きなものとなってくるかもしれません。昼食後の薬を隠れて飲まないといけなかったり、仕事後の付き合いを断る方法にも苦労するかもしれません。ただ、現実問題として、障がい者であるということを採用前に言ったならば、不採用になる可能性が高くなる場合もあります。それは、雇う立場になって考えると理解できると思うのですが、雇い側が選ぶ権利がある以上、同じ賃金を払うのであれば、どうしても障がい者の優先順位は下がってきます。ここで大切なことは、自分が、言わないでも、働き続けることができるかどうかということです。もし続けられるのであれば、障がい者であることを言う必要はありませんし、言うか言わないかを悩むこともありません。ただ、自分に自信がない人や周囲からの勧めで仕事に挑戦する人、もう少し働く力が必要だけど、まずは挑戦してみるという人などであれば、障がい者であることを言ってから働くことを勧めます。その方が相談できる人も増えますし、なにより自分の心の中に安心ができます。
※法定雇用率:一定以上の従業員がいる事業所は、障がい者をの一定の割合で雇わなければならないという法律上の決まり。もし、その割合が足りなかったら、罰金がありますし、障がい者を雇うことで事業所に助成金も支払われます。
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働き始める前の準備は、何をしたらいいですか。
大切なことは「心の準備」をするということです。そうは言っても、働くことに対して、緊張しすぎると、それがかえってプレッシャーになってしまいますので、「だめだったら、そのときは、その時でいいや。」ぐらいの気持ちがあった方がいいかもしれません。まだ、自分に自信がないのであれば、福祉施設(福祉就労)などから段階的に試していくことも、ひとつの方法です。ただ、誰にでも不安はあって、不安のない人のほうが少ないはずです。まずは試してみるといった気持ちから初めてもよいと思います。
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履歴書を書く時の注意点を教えてください。
一番大切なことは、丁寧に書くということです。鉛筆などのように消えるものではなく、ボールペンやサインペンなどを使って、誤字のないように書きましょう。間違えたら、新しい用紙に書き直す方がいいですが、すぐ間違えてしまうという人は、鉛筆で薄く下書きをしてから、後で鉛筆の下書きを消すなどの工夫をしてみてください。パソコンが使える人であれば、ネットから履歴書のひな形をダウンロードしてきて、そこに書き込んでいく方が楽かもしれません。内容に関しては、周りに信頼して相談できる人がいるのであれば、相談しながら書いていくのもいいと思います。
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履歴書に学歴のどのように書いたらいいのですか。
中学校卒業から書き始めたら十分です。病気のために留年していたとしても、正直に書いておけばいいです。理由は特に書く必要はありませんが、面接の時に聞かれた場合の理由は考えておいた方がいいと思います。また、最終学歴が大学や大学院の場合、会社や仕事の内容によっては、書かない方がいい場合もあります。大学(院)まで卒業しているのに、なぜこの会社にと思われてしまう場合もあるかも知れません。
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履歴書に職歴はどのように書いたらいいのですか。
転職が多かったり、働いていない期間が長かったりした場合、正直にそのまま書いてしまうと、よくない場合があります。下手に書いてしまうと、理由を突っ込んで聞かれたり、障がいのことにまで、話の内容がおよんでくるかもしれません。現実問題として、障がいに対する偏見は残っており、言わなくていいのものであれば、言わない方が、採用されやすくなるかもしれません。ただ、だからといって、全くの嘘を書いてしまうと、何か尋ねられた時に、返答に困ってしまうかもしれませんし、良心的になかなか嘘は書けるものではありません。自分の家が自営業であったら、家業手伝いなどがいいかもしれませんし、女性であれば家事手伝いでも結構だと思います。やりたいことを見つけるためにアルバイトを続けていたということでも構いません。また、転職の問題ですが、基本的には3ヶ月以内で辞めてしまった場合に関しては、暗黙の了解として書く必要はありません。1年未満で辞めてしまったものに関しても、書かない方が賢明かもしれません。ただ、最終職歴だけは、正直に書けるのであれば、書いておいた方が無難です。健康保険の移行の場合に分かってしまうこともありますし、採用者が直接、前の職場に人柄、働きぶりなどを問い合わせたりする場合もあるかもしれません。狭い業界であればあるほど、その傾向は強くなってきますので注意してください。一般には、履歴書に嘘があるからといって、刑法に問われることはありませんが、著しい嘘の場合は、それを理由にして解雇される可能性もあります。ただ、この理由のみでの解雇は不当であるため(実際、きちんと働いて、成果も出ていたら、雇い主にとっても問題はありません)、記述内容に嘘があるからといって、過度に不安になる必要はありません。
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履歴書の資格欄は、どのように書いたらいいのですか。
自分の持っていない資格を書いてしまうことはだめですが、逆に持っている資格を、すべて書いたらよいというものでもありません。仕事内容に全く関係のない資格は書かなくてもいいですし、書いてしまうと、その資格の技術を要求されることになるかも知れませんので、実際に自分が活用できるものだけにしておいた方が無難です。以前は、問題なくできたことでも、障がいを持った以後は、できなくなっていることもありますので注意してください。
働く準備をする制度
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働く準備をする制度には、どんなものがありますか。
障がい福祉サービスとして、
・就労移行支援
・就労定着支援
・就労継続支援A型
・就労継続支援B型
などがあります。また、相談にのってくれる機関として
・障害者就業・生活支援センター
・障害者職業センター
・ハローワークの専門援助部門(障がい者の相談窓口)
・相談支援事業所
などがあります。
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就労移行支援とは、どんなところですか。
個別の支援計画に沿って、他の利用者と一緒に就職に役立つ知識や必要なスキルを学んだり、就職の準備をすることや就労支援員に就職や体調に関する相談することなど、必要なサポートを受けることができます。利用できる方は、企業等への就職を希望する18歳以上65歳未満の障がいや難病のある方となります。利用期間は原則2年間となり、利用料は、前年度の住民税が非課税の方、生活保護の方は無料となります。それ以外の方は1割負担となりますが前年度の所得に応じて上限額が決められています。具体的には
・希望する就職に必要な知識と能力を身につける職業訓練
・履歴書や応募書類の添削、模擬面接などの就職活動サポート
・就職に関する相談や支援
・求職活動に関する支援
・本人の適性に合った職場探しやアドバイス
・企業における職場実習などの機会の提供
・就職後の職場定着のための支援
などの支援を受けることができます。
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就労定着支援とは、どんな支援ですか。
就労移行支援等を利用して一般就労に移行した障がいのある方が雇用された企業などで就労の継続を図るため、関係者との連絡調整、雇用に伴い生じる日常生活又は社会生活を営む上での各般の問題に関する相談による課題把握、指導及び助言その他の必要な支援、その他必要な支援などを行なってくれます。利用期間は3年間で、その後は「障害者就業・生活支援センター」に引き継いでくれます。
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就労継続支援A型と就労継続支援B型の違いはなんですか。
就労継続支援とは、通常の事業所に雇用されることが困難な障がい者に、就労の機会を提供するとともに,生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練を行ってくれます。雇用契約を結び利用するのがA型で、雇用契約を結ばないで利用するのがB型となります。A型に関しては雇用契約を結びますので、その地域の最低賃金が適用されます。
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う~ん。たくさんあって分かりにくいのですが。
就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型
目的 就労に必要な技術を学ぶ 働く場
対象者 一般就労を希望する方 一般就労が困難な方
年齢制限 原則18~65歳未満 年齢制限なし
雇用契約 なし あり なし
利用料 前年度の所得による
賃金 工賃がある場合もある 最低賃金以上の給料 工賃
利用期間 原則2年(最大3年) 定めなし
利用日数 自由選択が多い ほとんど週5日 自由選択が多い
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障害者就業・生活支援センターとは、どんなところですか。
障害者就業・生活支援センターは、障がいのある人の身近な地域において、就業面と生活面の一体的な相談・支援を行う機関です。ですが、実際には就労面での支援がほとんどの所が多いようです。就労を希望する障がいのある人には、就労相談や就職活動のサポート、専門的な就労支援機関の紹介などを行なってくれたりします。また、障がい者雇用の経験が少なかったり、定着に課題があったりする企業側も利用することができます。利用料・相談料は障がいのある人、企業側ともに原則無料ですが、事前に電話予約し、相談する日時が決まったら予約をする必要があります。一般就労につながった方に関しては、就職したばかりのころは就職支援を行った事業所が中心となって定着支援を行いますが、長期間に及ぶ場合などは、障害者就業・生活支援センターが中心となり長く働ける環境づくりを行っていきます。
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障害者職業センターとは、どんなところですか。
障害者職業センターは、ハローワークと協力しながら障害者の就労援助を行っているところで、各都道府県に少なくともひとつあります。主な役割をあげておきます。
1.障がい者の職業能力・適性などの評価(職業適性検査)
2.障がいの種類、程度に応じた職業相談、指導
3.職業準備訓練、職業講習、地域雇用支援ネットワークによる精神障がい者職業自立支援事業
4.ジョブコーチ支援事業
5.就職後のアフターケア
6.事業所(会社)に対して、障がい者を雇い入れた場合、その人に合った部署をどうするかなどの雇用管理や作業施設、職場環境の改善などの総合的な相談、助言
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ハローワークで障がい者求職をするには、どうしたらいいのですか。
まず、専門援助部門へいって、登録する必要があります。障がい者であれば(障がい者手帳があれば)、すぐに登録できるのですが、最終目的の雇用ということになりますと、主治医の意見書(働ける状態であるという意見書)が必要になってきますので、事前に主治医と相談しておく方がいいと思います。実際、窓口では相談にのってくれるのですが、具体的に自分がどのような仕事(時間、場所、内容など)を探しているのかということを整理しておかなければいけません。それには、医療機関、福祉施設職員、相談支援専門員等の人に、一緒についていってもらうのもいい方法だと思います。
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相談支援事業所とは、どんなところですか。
相談支援事業所には、相談支援専門員が常駐しており、障がいを持っている方やその家族の相談にのってくれます。要望をうかがい、各種障がい福祉サービスを紹介し、必要に応じて連絡調整を行ってくれます。サービスの利用計画を作成するのも仕事の一つです。利用するのに利用料はかかりませんが、障がい福祉サービスのひとつとなりますので、市区町村の役所に利用申請をする必要があります。
障がいを持つ人が「一定の障がいがある」という証明がされると、手帳が発行されます。手帳があることで、いろいろなサービスを受けることができます。
[精神障害者保健福祉手帳]
精神疾患により、日常生活や社会生活に制約がある方
・統合失調症
・うつ病
・そううつ病などの気分障害
・非定型精神病
・てんかん
・薬物やアルコールによる急性中毒またはその依存症
・高次脳機能障害
・発達障害
などの精神疾患
[身体障害者手帳]
身体に障がいがある方
・視覚障がい
・聴覚または平衡機能の障がい
・音声機能、言語機能またはそしゃく機能の障がい
・肢体不自由
・心臓、腎臓または呼吸器の機能の障がい
・小腸の機能の障がい
・ぼうこうまたは直腸の機能の障がい
・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障がい
・肝臓の機能の障がい
[療育手帳]
知的障がいがある方
・児童相談所または知的障害者更生相談所で「知的障がい者」と判定された方
※判定基準は自治体によって異なる場合があります。
等級により、受けれるサービスが違ってきますが、
・税金(所得税、住民税、相続税、贈与税、自動車税など)の控除
・生活保護費の障がい者加算
・精神通院医療費公費負担制度の申請用の診断書の免除
等が挙げられます。その他は居住地の都道府県、市区町村によって変わってきますが、いくつか挙げてみますと、
・公営交通や民営交通の割引ないしは無料化
・公営住宅の家賃の減免や優先入居
・医療費の無料化および通院医療費の助成
・水道料金の減免
・入浴無料券の配布
・無料タクシー券の配布
・タクシー料金の割引
・福祉バスや福祉タクシーの利用
・社会復帰施設の通所者交通費の割引
・公共施設利用料の無料化
・映画館・民間観光施設などの利用割引
・携帯電話利用割引
・雇用保険の失業給付期間の延長(たくさんもらえます)
などが挙げられます。詳しくは手帳交付時に居住地での受けることができるサービスの資料がもらえます。
「精神障害者保健福祉手帳」の場合は、精神疾患のために長期にわたって、日常生活または社会生活への制約がある方とあり、「長期にわたり」ということであるので、初診日から6ヶ月以降でなければ申請はできません。(申請から交付まで、1~2ヶ月かかります。)
[精神障害者保健福祉手帳]
1級:「精神障がいであって日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」。
具体的には入院中の人とか、通院中であっても、他人の援助なしには日常生活(食事、掃除等)が出来ない人などです。
2級:「精神障がいであって日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」。
具体的には、デイケアや福祉施設に通うことはできても、ときどき他人の助言や援助がないと日常生活がうまく過ごせない人などです。
3級:「精神障がいであって日常生活もしくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの」。
一般事業所で就労している人も含まれ、ほぼ一人で日常生活を送ることはできるのですが、ストレスがかかると不安定になる人が対象になります。
[身体障害者手帳]
身体障害者障害程度等級表によって、1~6級に区分されます。
[療育手帳]
療育手帳の制度は法律ではなく、政府の通知にもとづいているため、全国一律の基準がありません。障がい等級の区分方法は自治体により異なります。手帳の名称も自治体によって異なります。
申請時に提出しなければならない医師の診断書にもとづいて、都道府県知事や政令指定都市市長が精神保健福祉センターの意見を聞いた上で判定を行います。既に、障がい年金を受給している場合は、その年金証書の写しがあれば、判定無しに交付されます。その場合、等級は年金の等級に合わせられます。
申請者の居住地の役所になります。申請用紙も役所にあります。
基本的には、本人が申請することになっていますが、家族、医療機関の職員が申請手続きの代行をすることができます。また、費用はかかりますが、行政書士や社会保険労務士へ依頼する方法もあります。
[精神障害者保健福祉手帳]
・精神障がい者保健福祉手帳申請書:市区町村窓口で入手します。
・主治医の診断書:市区町村窓口で入手した用紙に医師に書いてもらいます(役所から医療機関に送付してくれる場合もあります)。
※診断書は精神障がいに係る初診日から6ヶ月を経過した日以後に作成され、かつ診断書作成日から3ヶ月以内に申請する必要があります。
[身体障害者手帳]
・身体障がい者(児)手帳交付申請書(印鑑の押印が必要)。
・身体障がい者診断書・意見書(身体障害者福祉法第15条にもとづく指定医師が記載したもの)。
・写真(上半身 縦4cm×横3cm)。
・マイナンバーに係る確認書類。
[療育手帳]
・申請書 :市区町村窓口でもらえます。
・印鑑。
・本人の写真:縦4cm×横3cm。
・母子手帳や幼少期の様子がわかる資料:自治体によっては求められるところもあります。
(必要書類は都道府県によって異なる場合があるので確認が必要です。)
[精神障害者保健福祉手帳]
・2年間ですので、2年ごとに更新の手続きが必要です。
[身体障害者手帳]
・基本的に有効期限はありません(障害部位により手帳に有効期限や再認定の時期が記載されている人は、更新の申請を行ってください)。
[療育手帳]
・年齢に応じて2年から10年に一度再判定し、更新の手続きが必要です。手帳に次期判定年月日が記載されていますので、期限内に再判定申請書を提出して判定を受けてください。
申請自体には、費用はかかりませんが、申請に必要な医師の診断書に費用がかかります。診断書には健康保険が適用されませんので、自己負担となります。金額は医療機関によって違ってきますが、だいたい、5千円~1万円ぐらいになります。
特にありません。ただ、手帳をとることによって、自分が障がい者であるということを認めることに対して不安があるという人もいるようです。ただ、手帳を持っているからといって、提示(利用)が義務となるわけではなく、提示(利用)したくなければ、しなければいいだけのことですので、交付してもらうことによる不利益はありません。
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生活保護制度とはなんですか。
病気やケガなどで働けなくなったり、高齢や障害のために生活に困った時に、憲法で定められた最低限の暮らしを保障する制度のことです。だから、生活保護を受けることで負い目を感じたり、受けることを遠慮する必要は全くなく、私たちが、当然利用することができる権利として考えることが必要です。
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役所の対応が冷たく、申請までがしんどいと聞きますが。
理由として考えられることは、国や自治体が生活保護を受ける人を減らしたいと考えているため、現場の職員に対して締めつけを行っていることが考えられます。申請がなければ、受給者は確実に減るので、申請前の段階で、いろいろと突っ込んでくるからです。また、役所の人事異動により、生活保護制度に詳しくない職員が対応しなければならないといったこともあるかも知れません。ただ、大切なことは、申請しなければ受給はできないということです。申請までに、役所の職員にいろいろ言われたとしても、「お金をもらうことは、しんどいこと。」と考えて、あきらめないことが大切です。そのためには、自分ひとりではなく、保健婦さん、病院職員、相談支援専門員、福祉施設職員、相談者などと一緒にすすめていくことも必要になってきます。
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具体的に、どのような援助があるのですか。
・生活扶助:食べるもの、着るものなど、普段の生活にかかる費用。
・住宅扶助:家賃や地代、家の補修などにかかる費用。
・教育扶助:義務教育に必要な学用品代、教材費、通学用品、給食費などの費用。
・医療扶助:入院、通院費、治療に必要な補装具、入院のための移送費や通院交通費などの費用。
・出産扶助:出産にかかる費用。
・生業扶助:小規模な事業を始めるのに必要な資金や手に職をつけるための費用。および、仕事に就くために直接必要な費用(服などを買う費用)。
・葬祭扶助:葬式の費用。
・介助扶助:介護保険の対象になっている65歳以上の人に、介護サービスが給付されます(通常の1割負担分が支給されます)。
収入によって違ってくることもありますが、基本的には、この中でその人に必要な扶助を組み合わせて支給されます。
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一時扶助とは、なんのことですか。
初めて保護を受けた時、入退院の時や出産、入学の時は一時的に、まとまった生活用品が必要になる場合があります。そのような場合に支給されるもので、金銭給付(費用限度額があります)や現物給付があります。また、毎年年末に全員に給付される期末一時扶助があります。
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生活保護費は、住んでいる場所で違ってくるのですか。
違ってきます。各地域の生活実態(地価・物価など)に応じて、厚生労働大臣が最低生活費の基準(保護基準)を決めています。この基準は、保護を受ける人の年齢別、世帯構成別、所在地別に分けて決められています。
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生活保護費は、結局いくらぐらいになるのですか。
詳しくは、保護基準で決められていますが、基準額は、だいたい一般勤労者世帯の70%弱程度となっています。
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障がい者加算とは、どの程度の障がいであればもらえるのですか。
① 障害等級表の1級、2級(身体障害者手帳1~2級、精神障害者保健福祉手帳1級)、および障がい年金の1級
② 障害等級表の3級(身体障害者手帳3級、精神障害者保健福祉手帳2級)、および障がい年金の2級
の人に支給されます。障がい者手帳等を持っているだけで支給要件は満たしますが、申請しなければ受給権は発生しません。また、障がい手帳や障がい年金を受けてなくても、それと同じ程度の状態であるという診断書があれば、障がい者加算をつけられる場合があるので、主治医か医療機関のソーシャルワーカー等に相談してみて下さい。
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税金や保険料はどうなるのですか。
生活保護を受けていると、税金や公的料金は免除になります。具体的には、住民税、固定資産税、清掃手数料、保育料、国民年金保険料、NHK受信料などが免除になります。また、都道府県・市区町村によっては、バス乗車料、無料入浴券、夏冬の慰問金(見舞金)などの、生活保護法以外のサービスの制度もある場合があるので、生活保護窓口で尋ねてみて下さい。
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手続きは、どうしたらいいのですか。
原則は、本人の申請により開始されます。ただ、入院などにより本人が申請に行くことができない場合は、本人の家族や親戚の人でも構いませんが、それ以外の全くの他人に申請してもらうことはできません。ただ、病院や民生委員などからの連絡があれば、福祉事務所から申請者のところまで出向いてくれますので、連絡してもらうように頼んでみるといいと思います。また、「職権保護」という制度もあり、動けないほど衰弱しているなど、申請できない事情がある場合は、福祉事務所の権限で保護を行うこともできますが、この場合は、衰弱のために餓死することのないようになど特別な場合に限られます。
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生活保護の基本原理を教えて下さい。
【無差別平等の原理】
以前は、勤労怠慢、素行不良などの理由で保護を受けることができないことがありましたが、現在は、保護の用件さえみたせば、人種、信条、性別、社会的地位、身分などで差別してはならないという原理。
【最低生活の原理】
憲法に定められているように「健康で文化的な生活水準を維持できるもの」として、一般国民の生活水準と関連して「ある程度の生活水準」は確保されなければいけないという原理。
【補足性の原理】
各自が最善の努力をして、なおかつ生活に困ったときに、はじめて保護が行われるという原理。つまり、利用できる自己の能力や資産、家族の援助、他の法律や制度を利用(他法優先の原理)したとしても、なおかつ最低生活ができないときに、はじめて受けることができるという原理。
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申請に行くと、細部にわたって聞かれるとのことで嫌なのですが。
申請に行くと、これまでの生活のこと、家族のことなどを根ほり葉ほり聞かれ、嫌な思いをすることが多いようです。資産や収入があるのに、不正に受給しようとしていないかとか、受給しなくてもよい手段が他にないかということを強調されて、結局、申請書類をもらえなかったということがあるようですが、申請しなければ、受給はできません。そこは、忍耐強く対応していかなければいけません。例え、権利であったとしても「お金をもらうことは、しんどいこと。」と考えて堂々と申請していく必要があります。申請すれば、審査結果で、保護が受けれないという結果がでたとしても、不服申し立てを行うこともできるため、申請手続きをするということは重要になってきます。保健婦さんや医療機関のケースワーカー、精神保健福祉士、相談支援専門員、福祉施設職員などに相談し、一緒に行ってもらうということも考えてみて下さい。
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福祉事務所の担当者の質問には、すべて答えないといけないですか。
申請の段階よりも、保護決定の「調査」段階では、かなりつっこんだ内容の質問をされます。生活の様子や収入、資産など過去から現在に至るまでのプライバシーに関わる質問もされます。すべての質問に答えなければいけないということはありません。分からないことは、「分からない。」でいいのですが、収入に関してなど、保護決定の重要な判断基準となるものに関しては、きちんと答えなければ、却下されることになるので注意して下さい。ただ、質問の内容や答に関しては、役所は守秘義務がありますので、他に知られるということは、絶対にありませんので、安心して答えるようにして下さい。
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申請手続き後の流れを教えてください。
申請後は、担当の職員が申請者の家庭や、病院を訪問して、申請事項に間違いがないかどうか調査します。また、必要に応じて資産などの調査もしますが、保護決定は、原則として14日以内(長くても30日以内)と期限が決められています。保護が決定されると、「保護決定通知書」が送られてきて、その中に扶助金の金額や支払日なども記載されています。支給は、申請日にさかのぼって計算されています。また、保護が受けられない場合は、「却下通知書」が送られてきて、却下理由が書かれてあります。この決定に不服のある場合は、決定があったことを知った日の翌日から、60日以内に、知事に対して、審査請求をすることができます。さらに、その知事の裁決(審査結果)に不服がある場合は、厚生労働大臣に対して、30日以内に再審査請求をすることができます。
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保護費の受け取り方は、どうなりますか。
保護費は、原則として毎月、月初めに福祉事務所が指定した銀行か、福祉事務所の窓口で受け取ることになります。ただし、生活保護の開始時や、福祉事務所の職員と面接時など特別の場合は、福祉事務所で直接受け取る場合もあります。
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生活保護の担当者は何をしてくれるのですか。
生活保護が決定されると、福祉事務所の担当職員(ケースワーカー)が決まりますが、その人を信頼して、生活で困っていることや心配事、自立に向けての援助をしてもらうことも大切なことです。生活保護を受けると、正当な理由がない限り、保護を止められたり、減らされたりすることはありませんので、担当職員が受給者を無視して画一的な指導や対応(処遇)をしてはならないことになっていますので、安心していろいろ相談してみて下さい。
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ひとり暮らしがしたいのですが、生活保護はどうなりますか。
生活保護は世帯を単位として援助される制度(世帯単位の原則)なので、ひとり暮らしで世帯分離をすると保護を受けることは可能となります。未成年であれば、親に扶養の義務がありますが、成人していれば、ひとり暮らしで保護を受けることが可能となります。また、長期入院の患者さんの場合、世帯分離していかなければ、その世帯全部が自立できないという問題がありますので、世帯分離の制度が適用される場合があります。条件としては、配偶者がいる場合は、1年以上の入院で、さらに半年以上の入院が必要とされること、配偶者がいない場合は、半年以上の入院を要することが条件となってきます。
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親、兄弟、親戚の援助は絶対義務なのですか。
扶養義務の取り扱いは、最近、厳しくなった部分でありますが、現在の法律では、民法上の扶養義務者(未成年の親)であっても、住まいや家計を一緒にしていない家族や親戚にまで、扶養義務を強要していません。特に兄弟などは、独立して別世帯を作っているのあれば、その人なりの生活があるわけで、その世帯の生活の余力の範囲で扶養すればよく、扶養を強制することに関しては断ることができます。
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持ち家などの資産や貯金、住宅ローンがあると保護が受けれないのですか。
かならずしもそうであるとは限りません。例えば、宅地、家屋に関しては、現在、本人が住むために使用しており、処分するよりも保有している方が、その世帯(本人)の生活維持や自立助長に役立っている場合には、所有が認められます。貯金に関しては、世帯の最低生活費の二分の一程度は持っていてもよいということになっています。ただ、貴金属や株券に関しては処分しなければいけませんし、住宅ローンも原則的には認められていません。生命保険に関しては、保険料額が最低生活費(医療扶助を除く)の1割程度、解約時の払戻金に関しては、3ヶ月分程度が目安の基準となっています。
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生活保護になると、車や電化製品はどうなりますか。
(携帯)電話やカラーテレビ、エアコンなどの電気製品は、その地域の普及率が70%を越えるものに関しては処分する必要はありません。車に関しては原則として認められていませんが、障がい者が通勤や通院、通所などに使用する場合には、おおむね認められていますが、精神障がい者に関しては、てんかんが該当となっています。
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アルバイトなど、何か収入があった時、保護費はどうなるのですか。
お祝い金やお見舞金など、社会通念からみて収入とみなすのが適当でないとものは除きますが、働いて稼いだものに関しては収入とみなされます。それには福祉施設などでの給料、工賃も含まれます。それ以外にも、年金や仕送りなども収入とみなされ、そのことを「収入認定」といい、保護費から差し引かれてしまいます。ただし、実費控除といって、社会保険料、所得税、通勤税、労働組合費などは収入から差し引くことができます。また、働くようになると、実際の生活費がかかるようになるために(通勤服など)、基礎控除といって、収入の大きさにより一定金額が収入から控除される制度があります。
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精神科以外の病気で、お医者さんにかかった時はどうなるのでしょうか。
どんな病気でも、生活保護法の指定を受けたお医者さんであれば、無料で治療を受けることができます。その場合、「医療券」で受けることになるのですが、印鑑を持って福祉事務所に行き、「傷病届」を提出すると発行され、それを持って病院に行くことになります。夜間、休日などでも、後から発行してもらえますので安心してください。
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アパートが古くて引っ越したいのですが。
住宅扶助の基準は、だいたい、その地域の第二種公営住宅の家賃を参考にして決められています。また、病気に悪い影響を与えるような環境の住宅であれば、そのために眠れない、抑うつ的になるといったことにもつながるので、主治医に相談し、意見書を書いてもらったうえで、福祉事務所に相談しにいくことも大切です。転居に合理的な理由があれば、「敷金」「移送費(運送費)」などの転居費用は支給されます。
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入院したら、今住んでいるところの家賃はどうなりますか。
6ヶ月以内に退院できる見込みがあるのであれば、住宅費は出してもらうことができます。ただ、6ヶ月で退院できない場合は3ヶ月を限度に期間延長することはできますが、それでも退院できなかった場合は解約となってしまいます。その場合は家財を預かる保管料が認められるのですが、それも入院から1年間迄となります。
障がい年金
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障がい年金ってなんですか。
年金とは、毎月、納めたお金を貯めておき、高齢になった時や障がいを持って生活が苦しくなったときなどに、お金を支給するという制度です。「障がい年金」とは、その中で、病気やケガのために障がいを持ったときに、その人の生活費を部分的に補うものとして支給されるものです。
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どのような病名(障がい)だと障がい年金がもらえるのですか。
[精神障がい]
精神疾患にかかっており、生活や仕事が困難になった場合に、障がい年金の対象となります。具体的には、統合失調症、うつ病、そううつ病、非定型精神病、てんかん、器質性精神病(認知症、頭部外傷、アルコール・薬物による精神及び行動の障害等など)などです。神経症に関しても、その障がいが重い場合には対象となります。本来なら、病名ではなく、その障がいの大きさで判断されるものであるため、病名だけにとらわれるのではなく、その障がいに視点を向けることによって、他の病名の障がいも併発していると考えられる時もあるので、主治医に相談してみてください。
[知的障がい]
・1級:知的障がいがあり、日常生活への適応が困難で、常時介護を要するもの。
・2級:知的障がいがあり、日常生活における身辺処理にも援助が必要なもの。
・3級:知的障がいがあり、労働が著しい制限を受けるもの。
で、判断されます。
[身体障がい]
・国民年金法施行令別表(1級、2級)
・厚生年金保険法施行令別表(3級)
に定められています。
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障がい年金をもらうための条件はなんですか。
発病が20歳前なら、20歳までは保険料を納める義務がないので、保険料を納めてなくても障がい基礎年金がもらえます。それ以外の場合は基本的には、どちらかの年金(国民、厚生)に加入していて、保険料を納めている必要があります。具体的には、
1.病気、ケガで初めて医療機関を受診した日(初診日)に、何らかの年金に加入していること。ただ、初診の診療科は、必ずしも確定診断を受けた診療科でなくてはならないというわけではなく、障がいとの因果関係が証明されれば、他の診療科でもよいとされています。
2.保険料がきちんと納められていること。初診日の前の段階で、保険料の未納が三分の一以上あると要件を満たしません。ただ、経過処置として、初診日の前々月から、1年間分だけ保険料を納めていれば、あとは未納でもよいとされています(初診日において65歳未満の場合)。
3.障がいがあるという診断書が必要です。その障がいの状態が、年金制度に定められた障がいの状態(1級、2級、3級)にあてはまらなくてはいけません。
これらの条件は受給要件といわれ、これらを満たさなくては、年金の支給を受けることはできません。ここで、大切なことは初診日になってきます。精神疾患の場合、いままでに精神科(心療内科)でひとつの病院にしか、かかったことのない場合は、その病気の初診日は、その病院の初診日になるのですが、精神科の場合、医師との相性が治療に大きく影響してくるため、医師との相性が合わず、何回も病院を変えている人も中にはいると思います。その場合は、初診日は現在通院している病院の初診日ではなく、初めて行った病院の初診日が、その病気の初診日となることに注意してください。つまり、一回だけしか行ったことがない病院でも、現在の状態にいたる初めの病院であれば、その日が初診日となります。
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「障害認定日」とはなんですか。
障がい認定日とは、初診日から1年6ヶ月が経過した日、もしくは病気がなおって障がいが固定した日のことです。つまり、「障がいの程度を評価し、障がい年金支給に相当する障がいの状態にあるか」を認定する日のことです。ただし精神障がいの場合、病気が治ったら障がいはなくなる場合が多いと考えられるため、初診日から1年6ヶ月経過した日が、障がい認定日になることが多いです。年金の支給開始は、「障がい認定日」の翌月分からとなります。
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20歳なのですが、学生で年金の保険料を払えそうにないのですが。
働いていると、会社の厚生年金などに加入できるのですが、学生やアルバイトであれば、国民年金に加入することになります。ただ、学生であれば「学生納付特例制度」を申請しておき、就職してから納入するという追納制度がありますので、まずは国民年金に加入しておき、「学生納付特例制度」を申請をしておくことが必要です。「学生納付特例制度」を申請をしておけば、その期間は、保険料を払っていなくても払ったとみなされるので、その期間に初診日があったとしても障がい年金を受けることができます。ただ、その期間はもらえる年金額への反映はされませんので、保険料は追納(過去10年分までできます)しておいた方が、将来、老齢基礎年金をもらうことになった場合もらえる年金額が多くなります。
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障がい年金の種類を教えてください。
・障がい厚生年金(厚生年金):会社員、公務員。
・障がい基礎年金(国民年金):自営業、学生、フリーター、専業主婦(第3号)など。
この中で、初診日に加入していた年金が、受給年金となります。国民年金は、20歳以上であれば加入が義務付けられていますので、原則的には、どれかの年金に当てはまることになります。また、障がい基礎年金には1、2級、障がい厚生年金には1~3級の等級があり、障がいの重さの程度で決められます。
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障がい厚生年金の3級について、もう少し詳しく教えて下さい。
障がい基礎年金や配偶者の加給年金も加算はされませんので、支給額は少なくなるのですが、最低保障額は保障されています。また、3級より軽い障がいの場合は、年金はもらうことはできませんが、一時金として、障がい手当金が支給されます。金額は、年金額と同じように計算した2年分となります。
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年金の等級はどのように決められるのですか。
「障害認定基準」というものが厚生労働省からでており、それによると、認定基準は
[精神障がい]
「精神の障害の程度は、その原因、諸症状、治療およびその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するもの」とされており、
1級:日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。
2級:日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。
3級:働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの、及び労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの。
障害手当金:労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すものに該当するもの。
を認定するとなっています。よって、申請時に提出する医師の診断書が大きな意味を持ってきます。
[身体障がい]
1級:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずる ことを不能ならしめる程度のもの。
2級:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制 限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。
3級:労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度 のもの。
障害手当金:「傷病が治ったもの」であって、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えるこ とを必要とする程度のもの。
を認定するとなっています。国民年金法施行令別表および厚生年金保険法施行令別表によって具体的に決められています。
[知的障がい]
・1級:知的障がいがあり、日常生活への適応が困難で、常時介護を要するもの。
・2級:知的障がいがあり、日常生活における身辺処理にも援助が必要なもの。
・3級:知的障がいがあり、労働が著しい制限を受けるもの。
で、判断されます。
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障がい年金の申請をしたいのですが。
まずは、申請書類をもらうことから始まりますが、その前に協力してくれる人を見つけることも大切です。申請は本人でなくてもできるので、協力してくれる人がいるならば、お願いする方がいいと思います。障がいがあって、しんどい状態であり、生活、労働に困っているので、年金を申請するのですから、その状態でいろいろな手続きをすることで、余計にしんどくなってしまうかもしれません。まずは、かかっている病院のケース(ソーシャル)ワーカーに相談してみてください。申請には医師の診断書が必要になってきますので、かならず相談するようにした方が、スムーズに話が進んでいくはずです。ただ、ケース(ソーシャル)ワーカーのいない病院、診療所もあるので、その場合は保健所や市区町村の保健婦さん、福祉施設の職員、相談支援専門員など、実際に相談にのってくれたり、動いてくれる人の方がいいと思います。また、国民年金と厚生年金では、申請窓口が違ってきますので、間違って違う窓口に行ってしまうと、二度手間になる可能性があります。まず、申請窓口に行って必ず聞かれることは、初診日です。初診日によって、申請窓口が違ってきたり、受給年金の種類が違ってくることがありますので、初診日は確認しておかなければいけません。また、年金手帳も持っていったほうがいいです。これはきちんと保険料を払っており、受給要件を満たしているかの確認が行われるためです。ここで、受給要件が満たされていないとなると、申請書類をもらうことができなくなりますので、事前に、自分は受給要件を満たしているかどうか、協力してくれる人に相談してみることが大切となってきます。窓口で、曖昧な返答をしていると、どんどんと泥沼にはまっていく可能性があり、ただでさえしんどいのに、余計にしんどくなってしまうことも考えられます。ただ、そんな場合でも、受理してもらわなければ、受給はできませんので、「お金をもらうことは、しんどいこと。」と考えて辛抱強く対応していって下さい。
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申請窓口はどこですか。
・障がい基礎年金(国民年金):市区町村の役所の国民年金課。
・障がい厚生年金:もよりの年金事務所。
となります。
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申請書類は何がいるのですか。
1.年金請求書
2.診断書(医師作成による)
3.病歴・就労状況等申立書
4.年金手帳(基礎年金番号通知書)
5.障がい手帳(持っている場合)
6.戸籍謄本(子供がいない時には住民票でも可)
7.年金証書(ある場合)
8.年金支払機関の通帳
1~3までは、用紙を事前に申請窓口でもらってこなければなりません。また必要に応じて、配偶者の年金手帳、配偶者の課税、非課税証明書、源泉徴収票、(現在の病院と初診時の病院が違う時は)受診状況等証明書(初診時証明)なども必要になる時があります。ただ、申請書類をもらいに行ったときに、提出しなければならない必要書類のリストがもらえるはずですので、そのリストにそって、必要書類を集めていけばいいと思います。
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診断書はどうすればいいのですか。
診断書は障がい認定日(初診日から1年6ヶ月目の日)に診療を受けていた医師に頼むのが原則となります。もしも、現在と変わっているならば、当時の病院に行って、診断書を書いてもらわなければなりません。診断書は年金受給のための大切なものになってきます。事前に医師とよく話し合い、納得した上で書いてもらうようにしてください。また、内容的には、ショックを受けるような用語が使われているかもしれませんが、それは、申請上決められている専門用語で、年金受給に必要なものであると考えて、あまり気にしないようにしなければいけません。また、書いてもらった後は、年月日など間違いがないか確認して、納得できなければ確認しておくことも必要です。実際、窓口に申請に行ったときに、うまく答えることができなければ、受理してもらえない場合もあるので、注意が必要です。また、書いてもらった診断書の内容は、家族(本人)がよく知っておき、必ずコピーを取っておくようにして下さい(審査請求の時に必要になってきます)。
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診断書を当時の医師に書いてもらえない場合はどうしたらいいのですか。
原則的には、障がい認定日当時に診療を受けていた医師に頼まなければいけないのですが、その医師が転勤していると書いてもらえない場合がありますが、その場合は、後任の医師に当時のカルテにもとづいて書いてもらうようにしてください。また、病院自体がなくなっている場合や、カルテの保存期間(5年間)をすぎてしまっている場合などで、書いてもらえない場合も考えられますが、その場合は、請求者(本人)が申立書を提出しなければなりません。それは、現在の医師との問診を受けて、できるだけ当時の状態が正確に伝わるように書いて提出します。また、医療機関の証明はなくても、学校、家族、親族の証明で受給された例もありますので、申請窓口とよく相談して、その助言に従うようにしてください。
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さかのぼって請求することができると聞いたのですが。
例えば、年金が請求できるということを知らなくて、申請をしていなかった場合には、支給されなかった年金を、5年前までさかのぼって請求できる制度があります。障がい認定日から1年またはそれ以上経ってから請求をおこなうことを「そ及請求」といいます。この請求を行う時には、障がい認定日と現在の症状を書いた診断書が2枚必要になります。
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障がい年金は毎月支払われるのですか。
障がい年金の支払いは、2ヶ月に1度、偶数月の15日に支払われます(金融機関などが休日の場合はその前の営業日)。ただし初回分やそ及請求の場合などは奇数月に支払われることもあります。
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年金受給されると、それ以後の手続きはどうなるのですか。
年に1回、「現況届け」を出す必要があります。これは、今後も引き続き年金を受ける状況にあるかどうかを確かめるものですので、きちんと出さないと年金を差し止められてしまうこともありますので注意してください。提出の時期になると、本人に書類が送られてきますので、記入してから送り返すようになります。時期は無拠出年金の人(初診が20歳前か昭和36年前の人)は、毎年7月で、拠出年金の人(保険料を払っていた人)は、その人の誕生月になります。また、障がいの程度に応じて、障がいの程度の変化を確認するため(有期認定)に1~5年ごとに診断書を提出する場合があります(精神障がいの場合は、ほとんどが有期認定)。この診断書の内容次第で、年金の等級が下がってしまうこともありますので、診断書を書いてもらう時に、主治医とよく相談してください。
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障がい認定日には軽かったのですが、その後悪くなったのですが。
発病後、何年か経った後(障がい認定日から1年以上)に、状態が悪くなったり、障がいが重くなったりした場合は、「事後重症」ということで、あらためて障がい認定を請求(事後重症請求)することができます。その場合は、申請した翌月から支給されることになります。ただし、受給要件は、あくまで初診日になるので注意してください。
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障がい年金の決定(却下、等級など)に納得がいかないのですが。
障がい年金の決定(裁定)に納得がいかない場合は、不服申し立ての制度があります。審査請求といって審査のやり直しをしてもらう制度です。通知を受け取った翌日から3ヶ月以内に行うことが必要となりますが、それぞれの都道府県庁の社会保険審査官に連絡を取って、審査請求に必要な書類を送ってもらう必要があり、手続きのときに、主治医の意見書や陳述書が必要となりますので、家族、関係者とよく話し合う必要があります。ただ、なかなか決定の変更は難しいと言われています。しかし、これで却下された場合でも、厚生労働省の社会保険審査会に再審査請求をすることもできます。これも、都道府県の却下通知の翌日から2ヶ月となっていますが、協力者(請求代理人)が医師と協力して、よく準備した上で審理に臨む必要があります。請求自体に費用はいらないのですが、東京までの交通費、必要書類のための費用は必要となってきます。また、不服申し立てをする場合に必要な審査請求書を書くときに、診断書と病歴・就労状況等申立書の内容が重要となってきますので、必ずコピーをとるようにしておいてください。
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等級に不服なのですが、申し立て期限の3ヶ月は過ぎているのですが。
3ヶ月を過ぎてしまっていても、等級の変更を請求することはできます。ただし、通知を受け取ってから1年間は待たなければいけません。この場合、有期認定が1年間であれば、その時に診断書を提出することになるのですが、2~5年の場合は、1年が過ぎた時点で、等級の変更請求(年金額改定請求書)を提出することができます。この時も重要な判断材料になるのが、診断書ですので、主治医とよく相談し診断書を書いてもらうことが必要となってきます。申請窓口は、障がい基礎年金(国民年金)なら市区町村の国民年金課、障がい厚生年金なら、最寄の年金事務所となります。また、この申請結果がだめであったら、その通知を受け取った翌日から3ヶ月以内に不服申し立て(審査請求)をすることができます。
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障がい年金を受けると、仕事にはつけないのでしょうか。
そんなことはありません。障がい年金を受けながら仕事に就くことができますし、実際にたくさんの人が年金をもらいながら仕事に就いています。年金の保険料を払っていた場合(拠出)は、所得制限もありません。ただ、無拠出(初診が20歳前か昭和36年前)の人は所得制限があり、前年の年収(所得)によって支給制限があります。ただ、それよりも仕事ができるようになったということは、障がいがなくなったと判断されて、次回の診断書提出時に等級の変更や年金停止になることも考えられるので、その点は主治医とよく相談してください。だからといって、働くと年金停止になるからと、働かないということは考えものです。働くということは、お金を稼ぐという理由が一番大きいとは思いますが、それだけの理由ではありません。人それぞれ、いろいろな理由(目的)を持って働いています。働けるようになるということは、喜ばしいことであると考えてみてください。とはいうものの、実際、働くことになっても、不安定になったりしませんか。仕事が終わると朝まで寝てしまうということはありませんか。どうしても休みがちになってしまっていませんか。そのような生活面での困難さを診断書に書き込んでもらうことが大切です。
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働いて厚生年金に入ると、障がい年金受給のことが知られないでしょうか。
会社に就職したからといって障がい年金を受けていることが、会社に知られるということはありませんので安心してください。ですので障がい年金を打ち切られるということもありません。打ち切られるとしたら、働けるようになって障がいがなくなったという診断書の内容によってであり、それ以外で停止されることはありませんので安心してください。ただ、現実問題として障がい年金を受けているということが、職場に知られてしまうかも知れないという心配があるかも知れないですが、障がい年金を受けることは決して恥ずかしいことではありません。これは、きっと年金を受けているということよりも、「障がい」という部分で、心配しているのだと思います。障がいを持っているということが、引け目に感じなくてもよいような社会が、本来は望ましいのですが、まだまだ、そこまでいっていないというのが現状でしょうか。ただ、障がいも自分の個性なのですから、きちんと仕事をしている以上、堂々としておけばよいと思います。
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一度停止された年金は、再び受給できないのでしょうか。
障がい年金を受けていたのですが、障がいが軽くなり、一定期間仕事に就くことができ、その時に障がい年金も停止になったのですが、再び病気が悪化してしまった場合など、65歳までなら支給停止を解除する(再び年金を受ける)ことができます。その際には、「支給停止事由消滅届」と診断書を窓口に提出しなければなりません。提出窓口は、障がい基礎年金(国民年金)は市区町村の国民年金課、障がい厚生年金は、もよりの年金事務所となります。
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障がい年金を受けていると、国民年金の保険料はどうなるのですか。
障がい年金を受けるようになると、1、2級の人は、国民年金の保険料が免除になります(法定免除)。ただ届出は必要となりますので忘れずに届けていないと、その期間は未納になってしまいますので注意してください。また、3級の人に関しては、申請して審査を受けることで保険料が免除になります(申請免除)ので、忘れずに申請を行って下さい。ただ、免除期間に関しては、その期間分の年金額は、普通に保険料を払っていた場合の1/2になってしまいます。経済的に余裕ができた時に、追納という制度もあります。これは10年以内であれば、さかのぼって保険料を納めることができる制度になります。もし今後、障がいが軽減して、障がい年金をもらわないようになった場合、老齢年金をもらえる歳(65歳)になった時に、免除期間が長いと、もらえる年金額が減ってしまいます。また、配偶者がおり、会社などで厚生年金に加入しているのであれば、3号手続きをしておくことで、国民年金の保険料が免除となります。3号に関しては、年金受給時(障がいが回復し障がい年金を受けなくなって老齢年金がもらえるようになったときなど)の受給額は満額もらえることになっています。
※3号:いわゆる会社員(公務員)の妻と言われているもので、厚生年金加入者の配偶者が働いていない場合(収入が一定額以下の場合)、配偶者の扶養となることで、国民年金の保険料や健康保険料が免除される制度。もちろん会社員(公務員)の夫でも大丈夫です。
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障がい年金と老齢年金を同時にもらうことはできるのでしょうか。
できません。老齢年金をもらえる歳になったら、どちらにするか選ばなければいけません。つまり、有利な方を選んだらよいのですが、だいたいの人は、障がい基礎年金の方が老齢基礎年金よりも有利になるようです(税制面など)。ただ、老齢基礎年金に切り替えたほうが、有利になる場合もあるので、一度、市区町村の役所の窓口で相談してみてください。
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障がい年金を受けるにあたって、注意する点はありますか。
1.障がい年金を受けている人が、労災保険から、同じ理由で障がい保障給付を受けた時は、6年間障がい年金の支給が停止されます。
2.健康保険の傷病手当金を受給中に、同じ理由で障がい厚生年金もしくは障がい手当金が支給されるときは、傷病手当金は支給されなくなります。ただし、障がい厚生年金額を360で割った金額が傷病手当金の日額よりも少ない時は、その差額分は支払われます(支給調整)。また、傷病手当金の支給額が、障がい手当金の額に達した場合は、傷病手当金が支払われるようになります。
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障がい基礎年金(国民年金)と障がい厚生年金では、どちらが有利ですか。
基本的に、どちらの年金になるかは、初診日にどちらの年金に加入していたかで決まりますので、選ぶ余地はなく決まってしまいます。ですが、例えば、国民年金に加入している時に1日だけ病院に行ったことがあり、その後、1~2年は病院に行ったことはなく、その後、就職して厚生年金の加入時に、再発(悪化)して、現在の状態に至っている場合など、初診日をどちらにしたらよいか迷ってしまうことがあります。本来なら、同じ病名でも社会的治癒には、3年程度かかるとみなされるため、最初の病院が初診となりますが、同じ等級であれば、障がい厚生年金の方が支給額が多く、3級に関しても障がい厚生年金にしかないために、障がい厚生年金で申請したいと思ってしまうかもしれません。ただ、国民年金では「日常生活能力」で障がいの認定が行われるのに対して、厚生年金では「労働能力」で認定されます。このため、国民年金では2級に認定されるほどの障がいであっても障がい厚生年金では3級にしか認定されないということもあります。障がい厚生年金の3級であれば、障がい基礎年金は受けとることはできませんので、障がい基礎年金の2級と支給額はさほど変わりません。その上、年金の級によって、障がい手帳の級も決められてしまうために(障がい手帳の申請が障がい年金証書でできるため)、障がい厚生年金だと手帳まで3級になってしまう可能性もあります。この場合に限らず年金の申請では、すべてのことを細かいところまで書いてしまうと、とても複雑になってきます。例えば、自分と相性のよい医者を見つけるために、病院(診療所)を5~6個まわったとしたら、たとえそれが1回のみであったとしても、そのすべてについて書かなくてはいけなくなってきます。複雑になればなるほど、窓口でいろいろ聞かれるようにもなってきますし、ポイントを押さえて書くということも大切なことだと思います。ただ、気をつけておかないといけないことは、診断書にも治療歴を記入する欄があるために、診断書の治療歴と申立書が違っていたら、必ず突っ込まれます(というよりも受け取ってもらえないと思います)。まずは主治医およびその病院のケース(ソーシャル)ワーカーとよく相談する必要があります。
※社会的治癒:薬を飲んでいたり療養所内におらず、一般社会における労働に従事しているような状態のことであり、精神の病気の場合は、この状態がだいたい3年ぐらい続いていたら、社会的治癒していたとみなされます。
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それでもやっぱり、受給できるか心配なのですが。
確かに、年金が受給できるかできないかで経済的に大きく違ってきます。中には、年金の決定が心配で、調子を崩してしまう人もいます。そんな場合は、社会保険労務士に代行を頼んでもいいかもしれません。社会保険労務士は年金申請の代行業のプロですので安心して頼むことができます。また、成功報酬型もありますので、年金が受給にならなかったら費用は発生しません。特に、審査請求の場合は、判例や行政通達、資料等を調べ上げ、社会保険審査官に対して論理的に不服を証明できなければ、まず審査請求人の主張は認めてもらえない(棄却されてしまう)という現状があるために、社会保険労務士にお願いした方がいいかもしれません。
精神通院医療費公費負担制度
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精神障がい者の通院医療費が補助される制度があると聞いたのですが。
あります。通常、健康保険で病院にかかると、自己負担分が3割ですが、この制度を使うと、自己負担分が1割となり、2割は都道府県が負担してくれるようになります。ただ、世帯収入と症状(重度かつ継続に該当か非該当)によって負担額の上限額が定められます。また、7割分は健康保険負担分ですので、健康保険に加入しているということが前提となります。また、自治体によれば、残りの1割も公費で負担してくれるところもありますが、国民健康保険に加入している人のみであるとか、さまざまですので一度かかっている病院で尋ねてみてください。
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どんな人が対象になるのですか。
「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に規定する精神障害者又はてんかんを有する者」と定められています。具体的には、
1.躁および抑うつ状態
2.幻覚妄想状態
3.精神運動興奮及び混迷の状態
4.統合失調症等残存状態
5.情動及び行動の障がい
6.不安および不穏状態
7.痙れんおよび意識障がい
8.精神物質の乱用および意識障がい
9.知能障がい(知的障がいや認知症によってささいなことで異常に怒ったり、場にそぐわない感情表現をしたり、衝動的な暴力や食行異常などの障がいを伴い、継続的な通院、薬物療法を必要とする場合)
これにより、例えば、統合失調症疑いでも精神症状があり、通院による継続的な治療を必要とする症状がある場合や、摂食障害、不安神経症、強迫神経症なども対象になります。
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症状がなくなったら制度の対象ではなくなるのですか。
症状が改善、あるいは安定していても、その状態を維持したり、再発を防ぐために、継続して通院を必要とする場合は対象となります。
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有効期限はあるのですか。
有効期限は1年間です。期限切れが近づいてくると、通院している病院から教えてくれる場合が多いようです。
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病院のデイケアや訪問看護も利用していますが、この制度は使えるのですか。
使えます。デイケア、ナイトケア、訪問看護、往診などの医療費も制度の対象になります。また、最近は院外処方(病院で薬の処方箋をもらい、調剤薬局で薬を受け取ること)がほとんどだと思いますが、それも対象となります。原則として、3ヶ所まで適応の対象となります。例えば、診察は病院、デイケアは診療所、薬は薬局(2ヶ所まで適応)といったような使い方もできます。ただし、違う場所にある同じ形態の施設の組み合わせ(例えば、診察がA病院、デイケアがB病院)とか、診察をA病院とB診療所で受けるという場合には適用されませんので注意してください。引越しや転院などで病院を変わる時は、届出が必要ですので注意してください。
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精神科以外の病気(風邪、ケガ、糖尿病など)も対象となりますか。
原則的にはなりません。ただ、精神障がいにより自分の健康や安全を守る能力が低下していることが原因として医学的に判断できる場合は制度の対象となります。
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申請手続きはどのようにしたらいいのですか。
申請には申請書と診断書が必要となります。申請書と診断書の用紙は市区町村の役所にあります。ただ、病院が申請の代行をしてくれるところも多いですので、実際のところ、病院に印鑑だけもって行けば、手続きができる場合も多いので聞いてみてください。また、精神保健福祉手帳を持っているのであれば、診断書は必要ありませんが、実際のところ、手帳の申請には、初診日から6ヶ月が経っていないと申請できないため、公費負担の申請が先になる場合が多いです。診断書を書いてもらう場合は、保険がききませんので全額実費となります。
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入院治療にも同じような制度はないのですか。
国の制度では、措置入院を除いては入院治療を助成する制度はありません。ただ、自治体によっては独自に助成を行っているところもあります。精神疾患の方も地域で暮らしていけるような制度として、通院に関してのみこのような制度があります。病院のデイケアにいくと、昼食がついているところが多く、その昼食代にもこの制度が適用になりますので、経済力が弱い人にとっては便利な制度となっています。
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この制度を申請すると、職場に知られるということはありませんか。
まず、ありません。あなたの職場が病院で、その病院にかかっているのでなければ、他に知られることはありません。医療機関には守秘義務というものがあり、仕事上で知った個人のプライベートに関することを、勝手に人に教えることは禁じられていますし、どうしても病院外に知らせなければいけない理由があるときは、本人(もしくは家族)の同意が必要となりますので安心してください。また、中にはこの制度を申請することで、自分が精神障がい者であるということを認めてしまうということが嫌で、申請しない人もいるかもしれませんが、その場合は、別に申請をする必要はありません。ただ、利用できる制度があるのであれば、利用していければと思います。制度と病気は別物だと考えてみてはいかがでしょう。この制度があってもなくても、今の自分の状態は同じであるし、それならば、少しでも自分の負担が少なくなる方がいいのではないのでしょうか。
税金等の安くなる制度
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税金を安くする制度にはどんなものがあるのですか。
税金を納める義務のある本人や、もしくはその家族が法律の定める障がい者に当てはまる場合に、国や地方自治体に納める税金が安くなる制度であり、所得税、住民税、相続税、贈与税、自動車税などが対象となります。また、貯金等の利子にかかる税金が一定額まで免除されるマル優制度(障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度)もあります。手続きには、ほとんどの場合、障がい者手帳が必要書類になっています。
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所得税の税金控除について知りたいのですが。
1.「特別障がい者控除」:障害の程度が精神障がい者保健福祉手帳の1級の人、身体障害者手帳1~2級の人は、1人につき40万円の控除を受けることができます。また、家族に特別障がい者がいる場合にも、同様に40万円の控除を受けることができますが、この場合の家族(障がい者)とは、配偶者もしくは納税者が扶養している親族のことになります。ただし、障がい者本人の年間所得が38万円以下であることが条件となります。
2.「障害者控除」:障害の程度が精神障がい者保健福祉手帳の2、3級の人、身体障害者手帳3級~6級の人の場合は、一般障がい者の対象となり、1人につき27万円が控除されます。
3.「同居特別障がい者控除」:納税者の家族が特別障がい者に該当し、なおかつ同居している場合は、特別障がい者控除の40万円に加えて、1人につき同居特別障がい者の控除として35万円が加算されます。
※児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人(一般障がい者)。このうち重度の知的障害者と判定された人は、特別障がい者になります。
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住民税の税金控除について知りたいのですが。
1.本人またはその家族が障がい者で精神障がい者保健福祉手帳の1級の人、身体障害者手帳1級、2級の人の場合は1人につき30万円、精神障がい者保健福祉手帳の2、3級の人、身体障害者手帳3級~6級の人の場合は1人につき26万円が控除されます。
2.同居特別障がい者控除:特別障がい者が同居している場合に、住民税の障がい者控除30万円に加えて、23万円の特別障害者控除を受けることができます。
3.障がい者本人の住民税非課税:障がい者手帳を持っている障がい者本人であって、分離課税とされる退職所得を差し引いた所得が125万円以下の人は住民税が非課税(支払い免除)となります。
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相続税の税金控除について知りたいのですが。
相続人が障がい者かつ法定相続人であるときは、その人が85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障がい者のときは20万円)を相続税額から控除することができます。
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贈与税の税金控除について知りたいのですが。
特別障がい者の親が、子供の将来のために、財産を安全、有利に残す方法として、信託会社などと「特別障がい者扶養信託契約」を締結した場合、将来、障がいを持つ子供が生活、療養で必要になったときに、定期的に支払ってもらう制度で、6000万円まで贈与税の非課税対象となります。また、特別障がい者以外の精神に障がいのある人の場合は、3000万円まで贈与税の非課税対象となります。
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自動車税の税金控除について知りたいのですが。
[精神障がい者]
精神障がい者保健福祉手帳の交付を受け、その障がいの程度が1級の方で、かつ自立支援医療受給者証の交付を受けておられる方
[身体障がい者]
身体障がい者手帳の区分と級により個別に決められています。
[知的障がい者]
療育手帳等の交付を受けておられる方
上記の方は、1人につき1台まで「自動車税」と「自動車取得税」の減免制度があります。
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マル優制度を教えてください。
「マル優」とは「障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度」の通称で、障がい者手帳の交付を受けている方や障がい者年金をを受給されているなど一定の条件を満たした方のみが利用できる制度です。預貯金の元本350万円までの利子が非課税になります。また、「特別マル優」は、国債と地方債の額面350万円までの利子が非課税になります。「マル優」と「特別マル優」は別枠で利用することができます。
傷病手当金制度
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傷病手当金はどんな人が、どのような時にもらうことができるのですか。
健康保険に加入している本人で(扶養家族ではだめです)、次の条件を満たしている人が対象となります。
1.病気やケガで療養中であること。精神科の病気も含みます。
2.病気やケガの状態から、現在の仕事ができない状態であること(労務不能)。
3.仕事を休み始めてから4日目から支給されます。ただし、3日間連続(公休、有給休暇も含む)で休んでいることが必要で、この3日間を待機期間といいます。
4.休んでいる期間中は、給料をもらっていないこと。会社によれば給料が支給される場合もありますが、その金額が傷病手当より多ければ、傷病手当の支給対象にはなりません。
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傷病手当金は、いくらぐらいもらえるのですか。
金額は、おおむね月給の2/3と思っておけばいいですが、正確には1日につき、
[支給開始日以前12ヶ月の各月の標準報酬月額の平均] ÷ 30 × 2/3
となります。支給は通院、入院だけでなく、自宅療養の期間も含まれますが、支給されるのは、あくまで給料の支払いがない期間ですので、有給休暇で休んだ場合は対象とはなりません。
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手当てがもらえる期間はあるのですか。
あります。最大1年6ヶ月となります。それを過ぎると、病気やケガが治っていなくても支給停止となります。
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たびたび休んでいるのですが、傷病手当は何回でも、もらえるのですか。
傷病手当の支給開始から1年6ヶ月の間であれば何回でももらえます。ただ、注意して欲しいことは、1年6ヶ月というのは、同じ病気で休む場合は、傷病手当をもらっていた期間の合計ではなく、支給開始からの期間となります。ただ、同じ病気でも原因が違う場合は新たに支給の開始となります。
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前回手当をもらってから5年なのですが、再発した場合もう一度もらえますか。
同じ病名、ケガでも前回の病気が治っていると判断されるなら、支給対象となります。医学的に同一性が認められる場合でもかまいません。傷病手当支給後に会社に復帰し、治療を受ける必要がなく会社勤務をしている期間がある程度あるのであれば、社会通念上、病気が治ったと判断されます(社会的治癒)。これ以後に病気になったとしても、新しい病気として見なされ、手当支給の対象となります。ただ、同じ病名であるということを理由に支給されないこともあるようなので、その場合は、主治医やその医療機関のケース(ソーシャル)ワーカーに相談し、社会的治癒状態であったことを主張しましょう。だいたいですが、内科的病気の場合は1年以上、糖尿病、結核や精神の病気は3年以上であれば社会的治癒とみなされています。
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傷病手当金と障がい年金は同時にもらえるのですか。
もらえません。傷病手当金をもらっていて、障がい厚生年金および障がい手当金をもらうようになった場合は、傷病手当を打ち切られます。ただ、障がい厚生年金額を360で割った額が傷病手当金日額より少ない時は、調整支給として差額分が支払われます。また、障がい手当金をもらった時は、傷病手当金の支給額が障がい手当金の額に達するまでは傷病手当は支給されません。
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退職するのですが、傷病手当金は継続してもらえるのですか。
次の要件をすべて満たしている場合は、退職しても引き続き支給されます。
1.健康保険に加入していた期間が、退職した日(被保険者であった期間)まで継続して1年以上あるとき。
2.退職までに連続して3日間仕事を休んだことがあるとき(待機期間が完成しているとき)。
3.実際に傷病手当金を受けた期間が、少なくても1日はあるとき、もしくは受けることのできる状態(手当て支給を請求すれば支給をうけれる)であるとき。
退職後に新しく発生した病気やケガは対象になりません。その場合は、雇用保険の傷病手当となります。また、傷病手当金を受けている期間に再就職した場合は手当ての支給は打ち切られます。
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どうやって手続きしたらいいのですか。
職場の総務関係に、「傷病手当金申請書」があるはずですので、それをもらって、会社(事業主)の証明と医師の意見書(就労できない証明)を書いてもらいます。それを、年金事務所か健康保険組合に提出して下さい。
失業給付(雇用保険)制度
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失業給付(雇用保険)とは何のことですか。
会社の事業主は従業員を1人でも雇っていれば、原則として労働保険(雇用保険、労災保険)に加入しなければいけないことになっています。失業給付は雇用保険による給付で、労働者が失業した時に、生活を維持し再就職しやすくするための制度です。新しい仕事が見つかるまでの一定期間、生活の保障がされるというものです。
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失業給付はどういうときにもらえて、手続きはどこでするのですか。
原則として「離職の日以前の2年間」において、「被保険者期間」が「12ヶ月以上ある」ことが必要です。また、本人が積極的に就職しようとする気持ちと、いつでも就職することができる状態(体力、環境など)で、積極的に就職活動を行っているにも関わらす、就職できない時に支払われるものです。手続きはハローワークになります。
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手続きに必要な書類を教えて欲しいのですが。
1.離職票(2枚あります)
2.雇用保険被保険者証
3.住所、氏名、年齢を確認する書類(住民票、運転免許証、国民健康保険証など)
4.振込み銀行の預金通帳(金融機関の確認印をもらった場合は不要)
5.障がい者手帳(あれば)
1~3は、退職時に会社からもらえるものになります。障がい者手帳があれば、障がい者等の就職困難者として、給付日数が多くなり、3ヶ月の給付制限がなくなりますので、持っているなら忘れずに持っていってください。
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どういうときにもらえないのですか。具体的に教えて欲しいのですが。
・病気やケガのために、すぐには就職できないとき。
・妊娠、出産、育児のために、すぐには就職できないとき。
・定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき。
・結婚により、家事に専念するとき。
・自営業を始めたとき、もしくは、その準備を始めたたとき。
・新しい仕事に就いた、もしくは決まっているとき(アルバイト、パートを含む)。
・学業に専念するとき。
・就職することがほとんど困難な職業や労働条件にこだわり続けるとき。
・雇用保険の被保険者とならないような短時間労働のみを希望するとき。
・会社の役員になったとき。
・嘱託、顧問、相談役になっているとき。
・家業の手伝いをしているとき。
・塾や学校の非常勤講師をしているとき。
・自分名義の店があるとき。
・損害保険などの代理店登録をしているとき。
以上のような時には、失業給付が受けられないことになっているのですが、状態によっては、支給対象となる場合もありますので、自分で判断せずにハローワークで相談してみてください。
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失業給付は、どのように支払われるのですか。
1.雇用保険料を払っていた期間が長いほどもらえる期間が長くなすます。
2.一般の離職者よりも、障がい者などの就職困難者か、解雇・倒産などによる離職者の方がもらえる期間が長くなります。
もらえる金額は、離職前の6ヶ月間の給料(賃金)によって変わってくるのですが、だいたい働いていた時の6~8割ぐらいになります。この金額が、所定給付日数分だけもらえることになります。ただ、有効期限は、離職後1年間となりますので、それを過ぎてしまうと、給付日数が残っていたとしても、もらえなくなりますので注意してください。離職票を持ってハローワークに行った日が受給資格決定日となり、その後7日間の待機期間をへて、支給開始となります。また、自己都合で退職した人は、給付制限が3ヶ月あり、これらの期間を含めて1年間となります。障がい者の場合は1年以上雇用保険をかけていたら(働いていたら)、給付日数が45歳未満で300日、45歳以上で360日になります。
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病気ですぐには働けないのですが、失業給付はもらえなくなるのでしょうか。
受給期間の延長という制度があります。職業に就くことができなくなった状態が引き続き30日以上となったとき、30日目の翌日から早期にしていただくことが原則ですが、延長後の受給期間の最後の日までの間であれば、受給期間延長申請をすることができます。期間は最大4年(1年+延長期間3年)まで延長できますが、病気で休んでいる間は、失業給付金は支給されません。この手続きには、延長理由を証明する書類が必要となってきますが、病気の場合は医師の診断書になります。病気以外でも、妊娠、出産、3歳未満の子供の育児、親族などの介護、事業主の命令で海外出張する配偶者に同行する場合などでも、受給期間の延長ができます。
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現在パート(短時間)で働いていますが、雇用保険をかけられますか。
雇用保険をかけるとなると、雇い主(事業主)も保険料を払わなければいけなくなるので、事業所によったら、雇用保険をかけなくてもよい条件で採用している場合もありますので、採用時に確認しておいた方がいいと思います。基本的には1週間の所定労働時間が20時間未満の場合は、雇用保険をかけなくてもよくなっています。
働く前に
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「働く」ってことは、どういうこと。
まず「働く」ということが、自分にとって、どういう意味を持つのかを考えてみてください。お金を稼いで、生活費にする。欲しいものを買う。趣味に使う。など、お金を稼ぐということは、いちばんの目的であって、誰でもが持っている欲求だろうと思います。ただ、働くという意味は、お金を稼ぐことでけではありません。お金が十分にあれば、もう働かなくていいですか? 自分で稼いだお金であれば、安心もできるし、自尊心もついてきます。それだけではなく、社会は人が働くことで成り立っています。それぞれの分野で働くことにより、相互に助け合いをしているのです。つまり、働くということは、社会の維持形成に役立っており、自分が社会の中で必要な存在であるという証明となるのです。これは働くということで、自分自身の精神的助けにもなるのです。年齢的なものにも関係してくるかもしれませんが、働いていないということが、自分を苦しめている大きな要素であったりもします。家族と同居していたならば、その思いは、さらに大きくなるかもしれません。働くことが、「お金」のためだけであれば、お金があれば働かなくてもいいし、また、「社会のため」だけであれば、ボランティアでもいいのです。「働く」ということは、これらの目的が相互に絡み合って、その人なりの意味を持ってくるのです。だからまず、自分にとっての、「働く」という意味を考えてみてください。そうすることによって、自分に合った方向性が見えてくると思います。
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「働く」ために、どうのようなこと(能力、習慣)が必要なのですか。
単に「働く」といっても、働く形態、場所、時間、環境によってさまざまですので、簡単に説明することは難しいことです。例えば、福祉施設での作業も働くことですし、アルバイト、パートまたは正社員で勤めることも働くことになります。また、家族が自営業であれば、その仕事を手伝うことも働くことになったり、それに対する報酬(賃金)もさまざまになってきます。ただ、一般的には、「集団で、組織的に、仕事を分担し、一定時間持続的に働く能力が必要」と言われていますが、このような能力があったとしても、就労出来ない人もいましす、自分には、そんな能力がないと思っていたとしても、自分に合った職場を見つけることができたなら、続けることができる人もいます。今までがダメだったから、またダメかもしれないという不安な気持ちがあるかもしれませんが、あきらめないことが大切です。しいて言うならば、「自分を知る」能力が必要になってきます。自分の性格、体調、今までの経験など、自分をよく知って、自分で自分をコントロールできるようになることが大切です。そのためには、相談できる人を見つけて、アドバイスを受けながら挑戦していきましょう。
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精神障がい者が働く時の弱点はなんですか。
人それぞれ弱点は持っており、精神障がい者であるから、特別に何かあるというわけではありません。ただ、ひと言で言うと、「不安定性」なのかもしれません。どうしても、体調に波があり、それが健常者に比べると大きくなってしまうかもしれません。ただ、大切なことは、その時にどうするかということです。事前に、そうならないように予防する、それでもダメな時は、兆候を自分で敏感に感じとって、自分自身でコントロールしていくことが大切になってきます。自分の弱点を知っておくということは、事前にその弱点に対する対策が立てられるということです。そして、どのように対策を立てていくかということに関しては、自分ひとりで考えるのではなく、信頼できる周りの人に積極的に相談していってください。とは言われても抽象的なことばかりで、結局どうしたらいいのかが分からないということになるので、もう少し詳しく説明すると、
1.対人関係、人づきあいが下手になってしまっていることがあります(もともと苦手である)。これは、病気になったことで、自信をなくしてしまっていたり、人の態度がとても気になったりすることで、余計に疲れてしまったり、気まずくなってしまったりしてしまうことがあります。
2.体力が落ちてしまっています。病気になったことで、体を動かさなくなったり、薬の影響ですぐ疲れてしまうということがあります。
3.持続力、持久力が落ちています。これは、体力的なものだけではなく、精神的にも、そうなっています。心と体は常に一緒で、どちらかが健康でどちらかが不健康ということはありません。一方が疲れてしまうと、もう一方も疲れてしまうのです。
これらのことから、自分の弱点は、何であろうかとよく考え、それに対する練習をしていく必要があります。
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働くために、精神障がい者であるということ言わなければいけませんか。
そんなことはありません。精神障がい者であることを言わずに働いている人もたくさんいます。ただ、どちらの方が、自分に合っているかということを考えてみてください。言わずに働くということは、当然それなりの期待をされるわけですので、それなりの厳しさを伴ってきます。障がいを持っているということで、他の人と同じように振舞おうとしても、自分にとっての負担はより大きなものとなってくるかもしれません。昼食後の薬を隠れて飲まないといけなかったり、仕事後の付き合いを断る方法にも苦労するかもしれません。ただ、現実問題として、障がい者であるということを採用前に言ったならば、不採用になる可能性が高くなる場合もあります。それは、雇う立場になって考えると理解できると思うのですが、雇い側が選ぶ権利がある以上、同じ賃金を払うのであれば、どうしても障がい者の優先順位は下がってきます。ここで大切なことは、自分が、言わないでも、働き続けることができるかどうかということです。もし続けられるのであれば、障がい者であることを言う必要はありませんし、言うか言わないかを悩むこともありません。ただ、自分に自信がない人や周囲からの勧めで仕事に挑戦する人、もう少し働く力が必要だけど、まずは挑戦してみるという人などであれば、障がい者であることを言ってから働くことを勧めます。その方が相談できる人も増えますし、なにより自分の心の中に安心ができます。
※法定雇用率:一定以上の従業員がいる事業所は、障がい者をの一定の割合で雇わなければならないという法律上の決まり。もし、その割合が足りなかったら、罰金がありますし、障がい者を雇うことで事業所に助成金も支払われます。
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働き始める前の準備は、何をしたらいいですか。
大切なことは「心の準備」をするということです。そうは言っても、働くことに対して、緊張しすぎると、それがかえってプレッシャーになってしまいますので、「だめだったら、そのときは、その時でいいや。」ぐらいの気持ちがあった方がいいかもしれません。まだ、自分に自信がないのであれば、福祉施設(福祉就労)などから段階的に試していくことも、ひとつの方法です。ただ、誰にでも不安はあって、不安のない人のほうが少ないはずです。まずは試してみるといった気持ちから初めてもよいと思います。
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履歴書を書く時の注意点を教えてください。
一番大切なことは、丁寧に書くということです。鉛筆などのように消えるものではなく、ボールペンやサインペンなどを使って、誤字のないように書きましょう。間違えたら、新しい用紙に書き直す方がいいですが、すぐ間違えてしまうという人は、鉛筆で薄く下書きをしてから、後で鉛筆の下書きを消すなどの工夫をしてみてください。パソコンが使える人であれば、ネットから履歴書のひな形をダウンロードしてきて、そこに書き込んでいく方が楽かもしれません。内容に関しては、周りに信頼して相談できる人がいるのであれば、相談しながら書いていくのもいいと思います。
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履歴書に学歴のどのように書いたらいいのですか。
中学校卒業から書き始めたら十分です。病気のために留年していたとしても、正直に書いておけばいいです。理由は特に書く必要はありませんが、面接の時に聞かれた場合の理由は考えておいた方がいいと思います。また、最終学歴が大学や大学院の場合、会社や仕事の内容によっては、書かない方がいい場合もあります。大学(院)まで卒業しているのに、なぜこの会社にと思われてしまう場合もあるかも知れません。
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履歴書に職歴はどのように書いたらいいのですか。
転職が多かったり、働いていない期間が長かったりした場合、正直にそのまま書いてしまうと、よくない場合があります。下手に書いてしまうと、理由を突っ込んで聞かれたり、障がいのことにまで、話の内容がおよんでくるかもしれません。現実問題として、障がいに対する偏見は残っており、言わなくていいのものであれば、言わない方が、採用されやすくなるかもしれません。ただ、だからといって、全くの嘘を書いてしまうと、何か尋ねられた時に、返答に困ってしまうかもしれませんし、良心的になかなか嘘は書けるものではありません。自分の家が自営業であったら、家業手伝いなどがいいかもしれませんし、女性であれば家事手伝いでも結構だと思います。やりたいことを見つけるためにアルバイトを続けていたということでも構いません。また、転職の問題ですが、基本的には3ヶ月以内で辞めてしまった場合に関しては、暗黙の了解として書く必要はありません。1年未満で辞めてしまったものに関しても、書かない方が賢明かもしれません。ただ、最終職歴だけは、正直に書けるのであれば、書いておいた方が無難です。健康保険の移行の場合に分かってしまうこともありますし、採用者が直接、前の職場に人柄、働きぶりなどを問い合わせたりする場合もあるかもしれません。狭い業界であればあるほど、その傾向は強くなってきますので注意してください。一般には、履歴書に嘘があるからといって、刑法に問われることはありませんが、著しい嘘の場合は、それを理由にして解雇される可能性もあります。ただ、この理由のみでの解雇は不当であるため(実際、きちんと働いて、成果も出ていたら、雇い主にとっても問題はありません)、記述内容に嘘があるからといって、過度に不安になる必要はありません。
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履歴書の資格欄は、どのように書いたらいいのですか。
自分の持っていない資格を書いてしまうことはだめですが、逆に持っている資格を、すべて書いたらよいというものでもありません。仕事内容に全く関係のない資格は書かなくてもいいですし、書いてしまうと、その資格の技術を要求されることになるかも知れませんので、実際に自分が活用できるものだけにしておいた方が無難です。以前は、問題なくできたことでも、障がいを持った以後は、できなくなっていることもありますので注意してください。
働く準備をする制度
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働く準備をする制度には、どんなものがありますか。
障がい福祉サービスとして、
・就労移行支援
・就労定着支援
・就労継続支援A型
・就労継続支援B型
などがあります。また、相談にのってくれる機関として
・障害者就業・生活支援センター
・障害者職業センター
・ハローワークの専門援助部門(障がい者の相談窓口)
・相談支援事業所
などがあります。
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就労移行支援とは、どんなところですか。
個別の支援計画に沿って、他の利用者と一緒に就職に役立つ知識や必要なスキルを学んだり、就職の準備をすることや就労支援員に就職や体調に関する相談することなど、必要なサポートを受けることができます。利用できる方は、企業等への就職を希望する18歳以上65歳未満の障がいや難病のある方となります。利用期間は原則2年間となり、利用料は、前年度の住民税が非課税の方、生活保護の方は無料となります。それ以外の方は1割負担となりますが前年度の所得に応じて上限額が決められています。具体的には
・希望する就職に必要な知識と能力を身につける職業訓練
・履歴書や応募書類の添削、模擬面接などの就職活動サポート
・就職に関する相談や支援
・求職活動に関する支援
・本人の適性に合った職場探しやアドバイス
・企業における職場実習などの機会の提供
・就職後の職場定着のための支援
などの支援を受けることができます。
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就労定着支援とは、どんな支援ですか。
就労移行支援等を利用して一般就労に移行した障がいのある方が雇用された企業などで就労の継続を図るため、関係者との連絡調整、雇用に伴い生じる日常生活又は社会生活を営む上での各般の問題に関する相談による課題把握、指導及び助言その他の必要な支援、その他必要な支援などを行なってくれます。利用期間は3年間で、その後は「障害者就業・生活支援センター」に引き継いでくれます。
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就労継続支援A型と就労継続支援B型の違いはなんですか。
就労継続支援とは、通常の事業所に雇用されることが困難な障がい者に、就労の機会を提供するとともに,生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練を行ってくれます。雇用契約を結び利用するのがA型で、雇用契約を結ばないで利用するのがB型となります。A型に関しては雇用契約を結びますので、その地域の最低賃金が適用されます。
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う~ん。たくさんあって分かりにくいのですが。
就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型
目的 就労に必要な技術を学ぶ 働く場
対象者 一般就労を希望する方 一般就労が困難な方
年齢制限 原則18~65歳未満 年齢制限なし
雇用契約 なし あり なし
利用料 前年度の所得による
賃金 工賃がある場合もある 最低賃金以上の給料 工賃
利用期間 原則2年(最大3年) 定めなし
利用日数 自由選択が多い ほとんど週5日 自由選択が多い
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障害者就業・生活支援センターとは、どんなところですか。
障害者就業・生活支援センターは、障がいのある人の身近な地域において、就業面と生活面の一体的な相談・支援を行う機関です。ですが、実際には就労面での支援がほとんどの所が多いようです。就労を希望する障がいのある人には、就労相談や就職活動のサポート、専門的な就労支援機関の紹介などを行なってくれたりします。また、障がい者雇用の経験が少なかったり、定着に課題があったりする企業側も利用することができます。利用料・相談料は障がいのある人、企業側ともに原則無料ですが、事前に電話予約し、相談する日時が決まったら予約をする必要があります。一般就労につながった方に関しては、就職したばかりのころは就職支援を行った事業所が中心となって定着支援を行いますが、長期間に及ぶ場合などは、障害者就業・生活支援センターが中心となり長く働ける環境づくりを行っていきます。
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障害者職業センターとは、どんなところですか。
障害者職業センターは、ハローワークと協力しながら障害者の就労援助を行っているところで、各都道府県に少なくともひとつあります。主な役割をあげておきます。
1.障がい者の職業能力・適性などの評価(職業適性検査)
2.障がいの種類、程度に応じた職業相談、指導
3.職業準備訓練、職業講習、地域雇用支援ネットワークによる精神障がい者職業自立支援事業
4.ジョブコーチ支援事業
5.就職後のアフターケア
6.事業所(会社)に対して、障がい者を雇い入れた場合、その人に合った部署をどうするかなどの雇用管理や作業施設、職場環境の改善などの総合的な相談、助言
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ハローワークで障がい者求職をするには、どうしたらいいのですか。
まず、専門援助部門へいって、登録する必要があります。障がい者であれば(障がい者手帳があれば)、すぐに登録できるのですが、最終目的の雇用ということになりますと、主治医の意見書(働ける状態であるという意見書)が必要になってきますので、事前に主治医と相談しておく方がいいと思います。実際、窓口では相談にのってくれるのですが、具体的に自分がどのような仕事(時間、場所、内容など)を探しているのかということを整理しておかなければいけません。それには、医療機関、福祉施設職員、相談支援専門員等の人に、一緒についていってもらうのもいい方法だと思います。
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相談支援事業所とは、どんなところですか。
相談支援事業所には、相談支援専門員が常駐しており、障がいを持っている方やその家族の相談にのってくれます。要望をうかがい、各種障がい福祉サービスを紹介し、必要に応じて連絡調整を行ってくれます。サービスの利用計画を作成するのも仕事の一つです。利用するのに利用料はかかりませんが、障がい福祉サービスのひとつとなりますので、市区町村の役所に利用申請をする必要があります。
年金とは、毎月、納めたお金を貯めておき、高齢になった時や障がいを持って生活が苦しくなったときなどに、お金を支給するという制度です。「障がい年金」とは、その中で、病気やケガのために障がいを持ったときに、その人の生活費を部分的に補うものとして支給されるものです。
[精神障がい]
精神疾患にかかっており、生活や仕事が困難になった場合に、障がい年金の対象となります。具体的には、統合失調症、うつ病、そううつ病、非定型精神病、てんかん、器質性精神病(認知症、頭部外傷、アルコール・薬物による精神及び行動の障害等など)などです。神経症に関しても、その障がいが重い場合には対象となります。本来なら、病名ではなく、その障がいの大きさで判断されるものであるため、病名だけにとらわれるのではなく、その障がいに視点を向けることによって、他の病名の障がいも併発していると考えられる時もあるので、主治医に相談してみてください。
[知的障がい]
・1級:知的障がいがあり、日常生活への適応が困難で、常時介護を要するもの。
・2級:知的障がいがあり、日常生活における身辺処理にも援助が必要なもの。
・3級:知的障がいがあり、労働が著しい制限を受けるもの。
で、判断されます。
[身体障がい]
・国民年金法施行令別表(1級、2級)
・厚生年金保険法施行令別表(3級)
に定められています。
発病が20歳前なら、20歳までは保険料を納める義務がないので、保険料を納めてなくても障がい基礎年金がもらえます。それ以外の場合は基本的には、どちらかの年金(国民、厚生)に加入していて、保険料を納めている必要があります。具体的には、
1.病気、ケガで初めて医療機関を受診した日(初診日)に、何らかの年金に加入していること。ただ、初診の診療科は、必ずしも確定診断を受けた診療科でなくてはならないというわけではなく、障がいとの因果関係が証明されれば、他の診療科でもよいとされています。
2.保険料がきちんと納められていること。初診日の前の段階で、保険料の未納が三分の一以上あると要件を満たしません。ただ、経過処置として、初診日の前々月から、1年間分だけ保険料を納めていれば、あとは未納でもよいとされています(初診日において65歳未満の場合)。
3.障がいがあるという診断書が必要です。その障がいの状態が、年金制度に定められた障がいの状態(1級、2級、3級)にあてはまらなくてはいけません。
これらの条件は受給要件といわれ、これらを満たさなくては、年金の支給を受けることはできません。ここで、大切なことは初診日になってきます。精神疾患の場合、いままでに精神科(心療内科)でひとつの病院にしか、かかったことのない場合は、その病気の初診日は、その病院の初診日になるのですが、精神科の場合、医師との相性が治療に大きく影響してくるため、医師との相性が合わず、何回も病院を変えている人も中にはいると思います。その場合は、初診日は現在通院している病院の初診日ではなく、初めて行った病院の初診日が、その病気の初診日となることに注意してください。つまり、一回だけしか行ったことがない病院でも、現在の状態にいたる初めの病院であれば、その日が初診日となります。
障がい認定日とは、初診日から1年6ヶ月が経過した日、もしくは病気がなおって障がいが固定した日のことです。つまり、「障がいの程度を評価し、障がい年金支給に相当する障がいの状態にあるか」を認定する日のことです。ただし精神障がいの場合、病気が治ったら障がいはなくなる場合が多いと考えられるため、初診日から1年6ヶ月経過した日が、障がい認定日になることが多いです。年金の支給開始は、「障がい認定日」の翌月分からとなります。
働いていると、会社の厚生年金などに加入できるのですが、学生やアルバイトであれば、国民年金に加入することになります。ただ、学生であれば「学生納付特例制度」を申請しておき、就職してから納入するという追納制度がありますので、まずは国民年金に加入しておき、「学生納付特例制度」を申請をしておくことが必要です。「学生納付特例制度」を申請をしておけば、その期間は、保険料を払っていなくても払ったとみなされるので、その期間に初診日があったとしても障がい年金を受けることができます。ただ、その期間はもらえる年金額への反映はされませんので、保険料は追納(過去10年分までできます)しておいた方が、将来、老齢基礎年金をもらうことになった場合もらえる年金額が多くなります。
・障がい厚生年金(厚生年金):会社員、公務員。
・障がい基礎年金(国民年金):自営業、学生、フリーター、専業主婦(第3号)など。
この中で、初診日に加入していた年金が、受給年金となります。国民年金は、20歳以上であれば加入が義務付けられていますので、原則的には、どれかの年金に当てはまることになります。また、障がい基礎年金には1、2級、障がい厚生年金には1~3級の等級があり、障がいの重さの程度で決められます。
障がい基礎年金や配偶者の加給年金も加算はされませんので、支給額は少なくなるのですが、最低保障額は保障されています。また、3級より軽い障がいの場合は、年金はもらうことはできませんが、一時金として、障がい手当金が支給されます。金額は、年金額と同じように計算した2年分となります。
「障害認定基準」というものが厚生労働省からでており、それによると、認定基準は
[精神障がい]
「精神の障害の程度は、その原因、諸症状、治療およびその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するもの」とされており、
1級:日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。
2級:日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。
3級:働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの、及び労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの。
障害手当金:労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すものに該当するもの。
を認定するとなっています。よって、申請時に提出する医師の診断書が大きな意味を持ってきます。
[身体障がい]
1級:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずる ことを不能ならしめる程度のもの。
2級:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制 限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。
3級:労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度 のもの。
障害手当金:「傷病が治ったもの」であって、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えるこ とを必要とする程度のもの。
を認定するとなっています。国民年金法施行令別表および厚生年金保険法施行令別表によって具体的に決められています。
[知的障がい]
・1級:知的障がいがあり、日常生活への適応が困難で、常時介護を要するもの。
・2級:知的障がいがあり、日常生活における身辺処理にも援助が必要なもの。
・3級:知的障がいがあり、労働が著しい制限を受けるもの。
で、判断されます。
まずは、申請書類をもらうことから始まりますが、その前に協力してくれる人を見つけることも大切です。申請は本人でなくてもできるので、協力してくれる人がいるならば、お願いする方がいいと思います。障がいがあって、しんどい状態であり、生活、労働に困っているので、年金を申請するのですから、その状態でいろいろな手続きをすることで、余計にしんどくなってしまうかもしれません。まずは、かかっている病院のケース(ソーシャル)ワーカーに相談してみてください。申請には医師の診断書が必要になってきますので、かならず相談するようにした方が、スムーズに話が進んでいくはずです。ただ、ケース(ソーシャル)ワーカーのいない病院、診療所もあるので、その場合は保健所や市区町村の保健婦さん、福祉施設の職員、相談支援専門員など、実際に相談にのってくれたり、動いてくれる人の方がいいと思います。また、国民年金と厚生年金では、申請窓口が違ってきますので、間違って違う窓口に行ってしまうと、二度手間になる可能性があります。まず、申請窓口に行って必ず聞かれることは、初診日です。初診日によって、申請窓口が違ってきたり、受給年金の種類が違ってくることがありますので、初診日は確認しておかなければいけません。また、年金手帳も持っていったほうがいいです。これはきちんと保険料を払っており、受給要件を満たしているかの確認が行われるためです。ここで、受給要件が満たされていないとなると、申請書類をもらうことができなくなりますので、事前に、自分は受給要件を満たしているかどうか、協力してくれる人に相談してみることが大切となってきます。窓口で、曖昧な返答をしていると、どんどんと泥沼にはまっていく可能性があり、ただでさえしんどいのに、余計にしんどくなってしまうことも考えられます。ただ、そんな場合でも、受理してもらわなければ、受給はできませんので、「お金をもらうことは、しんどいこと。」と考えて辛抱強く対応していって下さい。
・障がい基礎年金(国民年金):市区町村の役所の国民年金課。
・障がい厚生年金:もよりの年金事務所。
となります。
1.年金請求書
2.診断書(医師作成による)
3.病歴・就労状況等申立書
4.年金手帳(基礎年金番号通知書)
5.障がい手帳(持っている場合)
6.戸籍謄本(子供がいない時には住民票でも可)
7.年金証書(ある場合)
8.年金支払機関の通帳
1~3までは、用紙を事前に申請窓口でもらってこなければなりません。また必要に応じて、配偶者の年金手帳、配偶者の課税、非課税証明書、源泉徴収票、(現在の病院と初診時の病院が違う時は)受診状況等証明書(初診時証明)なども必要になる時があります。ただ、申請書類をもらいに行ったときに、提出しなければならない必要書類のリストがもらえるはずですので、そのリストにそって、必要書類を集めていけばいいと思います。
診断書は障がい認定日(初診日から1年6ヶ月目の日)に診療を受けていた医師に頼むのが原則となります。もしも、現在と変わっているならば、当時の病院に行って、診断書を書いてもらわなければなりません。診断書は年金受給のための大切なものになってきます。事前に医師とよく話し合い、納得した上で書いてもらうようにしてください。また、内容的には、ショックを受けるような用語が使われているかもしれませんが、それは、申請上決められている専門用語で、年金受給に必要なものであると考えて、あまり気にしないようにしなければいけません。また、書いてもらった後は、年月日など間違いがないか確認して、納得できなければ確認しておくことも必要です。実際、窓口に申請に行ったときに、うまく答えることができなければ、受理してもらえない場合もあるので、注意が必要です。また、書いてもらった診断書の内容は、家族(本人)がよく知っておき、必ずコピーを取っておくようにして下さい(審査請求の時に必要になってきます)。
原則的には、障がい認定日当時に診療を受けていた医師に頼まなければいけないのですが、その医師が転勤していると書いてもらえない場合がありますが、その場合は、後任の医師に当時のカルテにもとづいて書いてもらうようにしてください。また、病院自体がなくなっている場合や、カルテの保存期間(5年間)をすぎてしまっている場合などで、書いてもらえない場合も考えられますが、その場合は、請求者(本人)が申立書を提出しなければなりません。それは、現在の医師との問診を受けて、できるだけ当時の状態が正確に伝わるように書いて提出します。また、医療機関の証明はなくても、学校、家族、親族の証明で受給された例もありますので、申請窓口とよく相談して、その助言に従うようにしてください。
例えば、年金が請求できるということを知らなくて、申請をしていなかった場合には、支給されなかった年金を、5年前までさかのぼって請求できる制度があります。障がい認定日から1年またはそれ以上経ってから請求をおこなうことを「そ及請求」といいます。この請求を行う時には、障がい認定日と現在の症状を書いた診断書が2枚必要になります。
障がい年金の支払いは、2ヶ月に1度、偶数月の15日に支払われます(金融機関などが休日の場合はその前の営業日)。ただし初回分やそ及請求の場合などは奇数月に支払われることもあります。
年に1回、「現況届け」を出す必要があります。これは、今後も引き続き年金を受ける状況にあるかどうかを確かめるものですので、きちんと出さないと年金を差し止められてしまうこともありますので注意してください。提出の時期になると、本人に書類が送られてきますので、記入してから送り返すようになります。時期は無拠出年金の人(初診が20歳前か昭和36年前の人)は、毎年7月で、拠出年金の人(保険料を払っていた人)は、その人の誕生月になります。また、障がいの程度に応じて、障がいの程度の変化を確認するため(有期認定)に1~5年ごとに診断書を提出する場合があります(精神障がいの場合は、ほとんどが有期認定)。この診断書の内容次第で、年金の等級が下がってしまうこともありますので、診断書を書いてもらう時に、主治医とよく相談してください。
発病後、何年か経った後(障がい認定日から1年以上)に、状態が悪くなったり、障がいが重くなったりした場合は、「事後重症」ということで、あらためて障がい認定を請求(事後重症請求)することができます。その場合は、申請した翌月から支給されることになります。ただし、受給要件は、あくまで初診日になるので注意してください。
障がい年金の決定(裁定)に納得がいかない場合は、不服申し立ての制度があります。審査請求といって審査のやり直しをしてもらう制度です。通知を受け取った翌日から3ヶ月以内に行うことが必要となりますが、それぞれの都道府県庁の社会保険審査官に連絡を取って、審査請求に必要な書類を送ってもらう必要があり、手続きのときに、主治医の意見書や陳述書が必要となりますので、家族、関係者とよく話し合う必要があります。ただ、なかなか決定の変更は難しいと言われています。しかし、これで却下された場合でも、厚生労働省の社会保険審査会に再審査請求をすることもできます。これも、都道府県の却下通知の翌日から2ヶ月となっていますが、協力者(請求代理人)が医師と協力して、よく準備した上で審理に臨む必要があります。請求自体に費用はいらないのですが、東京までの交通費、必要書類のための費用は必要となってきます。また、不服申し立てをする場合に必要な審査請求書を書くときに、診断書と病歴・就労状況等申立書の内容が重要となってきますので、必ずコピーをとるようにしておいてください。
3ヶ月を過ぎてしまっていても、等級の変更を請求することはできます。ただし、通知を受け取ってから1年間は待たなければいけません。この場合、有期認定が1年間であれば、その時に診断書を提出することになるのですが、2~5年の場合は、1年が過ぎた時点で、等級の変更請求(年金額改定請求書)を提出することができます。この時も重要な判断材料になるのが、診断書ですので、主治医とよく相談し診断書を書いてもらうことが必要となってきます。申請窓口は、障がい基礎年金(国民年金)なら市区町村の国民年金課、障がい厚生年金なら、最寄の年金事務所となります。また、この申請結果がだめであったら、その通知を受け取った翌日から3ヶ月以内に不服申し立て(審査請求)をすることができます。
そんなことはありません。障がい年金を受けながら仕事に就くことができますし、実際にたくさんの人が年金をもらいながら仕事に就いています。年金の保険料を払っていた場合(拠出)は、所得制限もありません。ただ、無拠出(初診が20歳前か昭和36年前)の人は所得制限があり、前年の年収(所得)によって支給制限があります。ただ、それよりも仕事ができるようになったということは、障がいがなくなったと判断されて、次回の診断書提出時に等級の変更や年金停止になることも考えられるので、その点は主治医とよく相談してください。だからといって、働くと年金停止になるからと、働かないということは考えものです。働くということは、お金を稼ぐという理由が一番大きいとは思いますが、それだけの理由ではありません。人それぞれ、いろいろな理由(目的)を持って働いています。働けるようになるということは、喜ばしいことであると考えてみてください。とはいうものの、実際、働くことになっても、不安定になったりしませんか。仕事が終わると朝まで寝てしまうということはありませんか。どうしても休みがちになってしまっていませんか。そのような生活面での困難さを診断書に書き込んでもらうことが大切です。
会社に就職したからといって障がい年金を受けていることが、会社に知られるということはありませんので安心してください。ですので障がい年金を打ち切られるということもありません。打ち切られるとしたら、働けるようになって障がいがなくなったという診断書の内容によってであり、それ以外で停止されることはありませんので安心してください。ただ、現実問題として障がい年金を受けているということが、職場に知られてしまうかも知れないという心配があるかも知れないですが、障がい年金を受けることは決して恥ずかしいことではありません。これは、きっと年金を受けているということよりも、「障がい」という部分で、心配しているのだと思います。障がいを持っているということが、引け目に感じなくてもよいような社会が、本来は望ましいのですが、まだまだ、そこまでいっていないというのが現状でしょうか。ただ、障がいも自分の個性なのですから、きちんと仕事をしている以上、堂々としておけばよいと思います。
障がい年金を受けていたのですが、障がいが軽くなり、一定期間仕事に就くことができ、その時に障がい年金も停止になったのですが、再び病気が悪化してしまった場合など、65歳までなら支給停止を解除する(再び年金を受ける)ことができます。その際には、「支給停止事由消滅届」と診断書を窓口に提出しなければなりません。提出窓口は、障がい基礎年金(国民年金)は市区町村の国民年金課、障がい厚生年金は、もよりの年金事務所となります。
障がい年金を受けるようになると、1、2級の人は、国民年金の保険料が免除になります(法定免除)。ただ届出は必要となりますので忘れずに届けていないと、その期間は未納になってしまいますので注意してください。また、3級の人に関しては、申請して審査を受けることで保険料が免除になります(申請免除)ので、忘れずに申請を行って下さい。ただ、免除期間に関しては、その期間分の年金額は、普通に保険料を払っていた場合の1/2になってしまいます。経済的に余裕ができた時に、追納という制度もあります。これは10年以内であれば、さかのぼって保険料を納めることができる制度になります。もし今後、障がいが軽減して、障がい年金をもらわないようになった場合、老齢年金をもらえる歳(65歳)になった時に、免除期間が長いと、もらえる年金額が減ってしまいます。また、配偶者がおり、会社などで厚生年金に加入しているのであれば、3号手続きをしておくことで、国民年金の保険料が免除となります。3号に関しては、年金受給時(障がいが回復し障がい年金を受けなくなって老齢年金がもらえるようになったときなど)の受給額は満額もらえることになっています。
※3号:いわゆる会社員(公務員)の妻と言われているもので、厚生年金加入者の配偶者が働いていない場合(収入が一定額以下の場合)、配偶者の扶養となることで、国民年金の保険料や健康保険料が免除される制度。もちろん会社員(公務員)の夫でも大丈夫です。
できません。老齢年金をもらえる歳になったら、どちらにするか選ばなければいけません。つまり、有利な方を選んだらよいのですが、だいたいの人は、障がい基礎年金の方が老齢基礎年金よりも有利になるようです(税制面など)。ただ、老齢基礎年金に切り替えたほうが、有利になる場合もあるので、一度、市区町村の役所の窓口で相談してみてください。
1.障がい年金を受けている人が、労災保険から、同じ理由で障がい保障給付を受けた時は、6年間障がい年金の支給が停止されます。
2.健康保険の傷病手当金を受給中に、同じ理由で障がい厚生年金もしくは障がい手当金が支給されるときは、傷病手当金は支給されなくなります。ただし、障がい厚生年金額を360で割った金額が傷病手当金の日額よりも少ない時は、その差額分は支払われます(支給調整)。また、傷病手当金の支給額が、障がい手当金の額に達した場合は、傷病手当金が支払われるようになります。
基本的に、どちらの年金になるかは、初診日にどちらの年金に加入していたかで決まりますので、選ぶ余地はなく決まってしまいます。ですが、例えば、国民年金に加入している時に1日だけ病院に行ったことがあり、その後、1~2年は病院に行ったことはなく、その後、就職して厚生年金の加入時に、再発(悪化)して、現在の状態に至っている場合など、初診日をどちらにしたらよいか迷ってしまうことがあります。本来なら、同じ病名でも社会的治癒には、3年程度かかるとみなされるため、最初の病院が初診となりますが、同じ等級であれば、障がい厚生年金の方が支給額が多く、3級に関しても障がい厚生年金にしかないために、障がい厚生年金で申請したいと思ってしまうかもしれません。ただ、国民年金では「日常生活能力」で障がいの認定が行われるのに対して、厚生年金では「労働能力」で認定されます。このため、国民年金では2級に認定されるほどの障がいであっても障がい厚生年金では3級にしか認定されないということもあります。障がい厚生年金の3級であれば、障がい基礎年金は受けとることはできませんので、障がい基礎年金の2級と支給額はさほど変わりません。その上、年金の級によって、障がい手帳の級も決められてしまうために(障がい手帳の申請が障がい年金証書でできるため)、障がい厚生年金だと手帳まで3級になってしまう可能性もあります。この場合に限らず年金の申請では、すべてのことを細かいところまで書いてしまうと、とても複雑になってきます。例えば、自分と相性のよい医者を見つけるために、病院(診療所)を5~6個まわったとしたら、たとえそれが1回のみであったとしても、そのすべてについて書かなくてはいけなくなってきます。複雑になればなるほど、窓口でいろいろ聞かれるようにもなってきますし、ポイントを押さえて書くということも大切なことだと思います。ただ、気をつけておかないといけないことは、診断書にも治療歴を記入する欄があるために、診断書の治療歴と申立書が違っていたら、必ず突っ込まれます(というよりも受け取ってもらえないと思います)。まずは主治医およびその病院のケース(ソーシャル)ワーカーとよく相談する必要があります。
※社会的治癒:薬を飲んでいたり療養所内におらず、一般社会における労働に従事しているような状態のことであり、精神の病気の場合は、この状態がだいたい3年ぐらい続いていたら、社会的治癒していたとみなされます。
確かに、年金が受給できるかできないかで経済的に大きく違ってきます。中には、年金の決定が心配で、調子を崩してしまう人もいます。そんな場合は、社会保険労務士に代行を頼んでもいいかもしれません。社会保険労務士は年金申請の代行業のプロですので安心して頼むことができます。また、成功報酬型もありますので、年金が受給にならなかったら費用は発生しません。特に、審査請求の場合は、判例や行政通達、資料等を調べ上げ、社会保険審査官に対して論理的に不服を証明できなければ、まず審査請求人の主張は認めてもらえない(棄却されてしまう)という現状があるために、社会保険労務士にお願いした方がいいかもしれません。
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精神障がい者の通院医療費が補助される制度があると聞いたのですが。
あります。通常、健康保険で病院にかかると、自己負担分が3割ですが、この制度を使うと、自己負担分が1割となり、2割は都道府県が負担してくれるようになります。ただ、世帯収入と症状(重度かつ継続に該当か非該当)によって負担額の上限額が定められます。また、7割分は健康保険負担分ですので、健康保険に加入しているということが前提となります。また、自治体によれば、残りの1割も公費で負担してくれるところもありますが、国民健康保険に加入している人のみであるとか、さまざまですので一度かかっている病院で尋ねてみてください。
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どんな人が対象になるのですか。
「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に規定する精神障害者又はてんかんを有する者」と定められています。具体的には、
1.躁および抑うつ状態
2.幻覚妄想状態
3.精神運動興奮及び混迷の状態
4.統合失調症等残存状態
5.情動及び行動の障がい
6.不安および不穏状態
7.痙れんおよび意識障がい
8.精神物質の乱用および意識障がい
9.知能障がい(知的障がいや認知症によってささいなことで異常に怒ったり、場にそぐわない感情表現をしたり、衝動的な暴力や食行異常などの障がいを伴い、継続的な通院、薬物療法を必要とする場合)
これにより、例えば、統合失調症疑いでも精神症状があり、通院による継続的な治療を必要とする症状がある場合や、摂食障害、不安神経症、強迫神経症なども対象になります。
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症状がなくなったら制度の対象ではなくなるのですか。
症状が改善、あるいは安定していても、その状態を維持したり、再発を防ぐために、継続して通院を必要とする場合は対象となります。
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有効期限はあるのですか。
有効期限は1年間です。期限切れが近づいてくると、通院している病院から教えてくれる場合が多いようです。
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病院のデイケアや訪問看護も利用していますが、この制度は使えるのですか。
使えます。デイケア、ナイトケア、訪問看護、往診などの医療費も制度の対象になります。また、最近は院外処方(病院で薬の処方箋をもらい、調剤薬局で薬を受け取ること)がほとんどだと思いますが、それも対象となります。原則として、3ヶ所まで適応の対象となります。例えば、診察は病院、デイケアは診療所、薬は薬局(2ヶ所まで適応)といったような使い方もできます。ただし、違う場所にある同じ形態の施設の組み合わせ(例えば、診察がA病院、デイケアがB病院)とか、診察をA病院とB診療所で受けるという場合には適用されませんので注意してください。引越しや転院などで病院を変わる時は、届出が必要ですので注意してください。
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精神科以外の病気(風邪、ケガ、糖尿病など)も対象となりますか。
原則的にはなりません。ただ、精神障がいにより自分の健康や安全を守る能力が低下していることが原因として医学的に判断できる場合は制度の対象となります。
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申請手続きはどのようにしたらいいのですか。
申請には申請書と診断書が必要となります。申請書と診断書の用紙は市区町村の役所にあります。ただ、病院が申請の代行をしてくれるところも多いですので、実際のところ、病院に印鑑だけもって行けば、手続きができる場合も多いので聞いてみてください。また、精神保健福祉手帳を持っているのであれば、診断書は必要ありませんが、実際のところ、手帳の申請には、初診日から6ヶ月が経っていないと申請できないため、公費負担の申請が先になる場合が多いです。診断書を書いてもらう場合は、保険がききませんので全額実費となります。
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入院治療にも同じような制度はないのですか。
国の制度では、措置入院を除いては入院治療を助成する制度はありません。ただ、自治体によっては独自に助成を行っているところもあります。精神疾患の方も地域で暮らしていけるような制度として、通院に関してのみこのような制度があります。病院のデイケアにいくと、昼食がついているところが多く、その昼食代にもこの制度が適用になりますので、経済力が弱い人にとっては便利な制度となっています。
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この制度を申請すると、職場に知られるということはありませんか。
まず、ありません。あなたの職場が病院で、その病院にかかっているのでなければ、他に知られることはありません。医療機関には守秘義務というものがあり、仕事上で知った個人のプライベートに関することを、勝手に人に教えることは禁じられていますし、どうしても病院外に知らせなければいけない理由があるときは、本人(もしくは家族)の同意が必要となりますので安心してください。また、中にはこの制度を申請することで、自分が精神障がい者であるということを認めてしまうということが嫌で、申請しない人もいるかもしれませんが、その場合は、別に申請をする必要はありません。ただ、利用できる制度があるのであれば、利用していければと思います。制度と病気は別物だと考えてみてはいかがでしょう。この制度があってもなくても、今の自分の状態は同じであるし、それならば、少しでも自分の負担が少なくなる方がいいのではないのでしょうか。
税金等の安くなる制度
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税金を安くする制度にはどんなものがあるのですか。
税金を納める義務のある本人や、もしくはその家族が法律の定める障がい者に当てはまる場合に、国や地方自治体に納める税金が安くなる制度であり、所得税、住民税、相続税、贈与税、自動車税などが対象となります。また、貯金等の利子にかかる税金が一定額まで免除されるマル優制度(障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度)もあります。手続きには、ほとんどの場合、障がい者手帳が必要書類になっています。
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所得税の税金控除について知りたいのですが。
1.「特別障がい者控除」:障害の程度が精神障がい者保健福祉手帳の1級の人、身体障害者手帳1~2級の人は、1人につき40万円の控除を受けることができます。また、家族に特別障がい者がいる場合にも、同様に40万円の控除を受けることができますが、この場合の家族(障がい者)とは、配偶者もしくは納税者が扶養している親族のことになります。ただし、障がい者本人の年間所得が38万円以下であることが条件となります。
2.「障害者控除」:障害の程度が精神障がい者保健福祉手帳の2、3級の人、身体障害者手帳3級~6級の人の場合は、一般障がい者の対象となり、1人につき27万円が控除されます。
3.「同居特別障がい者控除」:納税者の家族が特別障がい者に該当し、なおかつ同居している場合は、特別障がい者控除の40万円に加えて、1人につき同居特別障がい者の控除として35万円が加算されます。
※児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人(一般障がい者)。このうち重度の知的障害者と判定された人は、特別障がい者になります。
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住民税の税金控除について知りたいのですが。
1.本人またはその家族が障がい者で精神障がい者保健福祉手帳の1級の人、身体障害者手帳1級、2級の人の場合は1人につき30万円、精神障がい者保健福祉手帳の2、3級の人、身体障害者手帳3級~6級の人の場合は1人につき26万円が控除されます。
2.同居特別障がい者控除:特別障がい者が同居している場合に、住民税の障がい者控除30万円に加えて、23万円の特別障害者控除を受けることができます。
3.障がい者本人の住民税非課税:障がい者手帳を持っている障がい者本人であって、分離課税とされる退職所得を差し引いた所得が125万円以下の人は住民税が非課税(支払い免除)となります。
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相続税の税金控除について知りたいのですが。
相続人が障がい者かつ法定相続人であるときは、その人が85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障がい者のときは20万円)を相続税額から控除することができます。
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贈与税の税金控除について知りたいのですが。
特別障がい者の親が、子供の将来のために、財産を安全、有利に残す方法として、信託会社などと「特別障がい者扶養信託契約」を締結した場合、将来、障がいを持つ子供が生活、療養で必要になったときに、定期的に支払ってもらう制度で、6000万円まで贈与税の非課税対象となります。また、特別障がい者以外の精神に障がいのある人の場合は、3000万円まで贈与税の非課税対象となります。
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自動車税の税金控除について知りたいのですが。
[精神障がい者]
精神障がい者保健福祉手帳の交付を受け、その障がいの程度が1級の方で、かつ自立支援医療受給者証の交付を受けておられる方
[身体障がい者]
身体障がい者手帳の区分と級により個別に決められています。
[知的障がい者]
療育手帳等の交付を受けておられる方
上記の方は、1人につき1台まで「自動車税」と「自動車取得税」の減免制度があります。
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マル優制度を教えてください。
「マル優」とは「障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度」の通称で、障がい者手帳の交付を受けている方や障がい者年金をを受給されているなど一定の条件を満たした方のみが利用できる制度です。預貯金の元本350万円までの利子が非課税になります。また、「特別マル優」は、国債と地方債の額面350万円までの利子が非課税になります。「マル優」と「特別マル優」は別枠で利用することができます。
傷病手当金制度
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傷病手当金はどんな人が、どのような時にもらうことができるのですか。
健康保険に加入している本人で(扶養家族ではだめです)、次の条件を満たしている人が対象となります。
1.病気やケガで療養中であること。精神科の病気も含みます。
2.病気やケガの状態から、現在の仕事ができない状態であること(労務不能)。
3.仕事を休み始めてから4日目から支給されます。ただし、3日間連続(公休、有給休暇も含む)で休んでいることが必要で、この3日間を待機期間といいます。
4.休んでいる期間中は、給料をもらっていないこと。会社によれば給料が支給される場合もありますが、その金額が傷病手当より多ければ、傷病手当の支給対象にはなりません。
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傷病手当金は、いくらぐらいもらえるのですか。
金額は、おおむね月給の2/3と思っておけばいいですが、正確には1日につき、
[支給開始日以前12ヶ月の各月の標準報酬月額の平均] ÷ 30 × 2/3
となります。支給は通院、入院だけでなく、自宅療養の期間も含まれますが、支給されるのは、あくまで給料の支払いがない期間ですので、有給休暇で休んだ場合は対象とはなりません。
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手当てがもらえる期間はあるのですか。
あります。最大1年6ヶ月となります。それを過ぎると、病気やケガが治っていなくても支給停止となります。
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たびたび休んでいるのですが、傷病手当は何回でも、もらえるのですか。
傷病手当の支給開始から1年6ヶ月の間であれば何回でももらえます。ただ、注意して欲しいことは、1年6ヶ月というのは、同じ病気で休む場合は、傷病手当をもらっていた期間の合計ではなく、支給開始からの期間となります。ただ、同じ病気でも原因が違う場合は新たに支給の開始となります。
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前回手当をもらってから5年なのですが、再発した場合もう一度もらえますか。
同じ病名、ケガでも前回の病気が治っていると判断されるなら、支給対象となります。医学的に同一性が認められる場合でもかまいません。傷病手当支給後に会社に復帰し、治療を受ける必要がなく会社勤務をしている期間がある程度あるのであれば、社会通念上、病気が治ったと判断されます(社会的治癒)。これ以後に病気になったとしても、新しい病気として見なされ、手当支給の対象となります。ただ、同じ病名であるということを理由に支給されないこともあるようなので、その場合は、主治医やその医療機関のケース(ソーシャル)ワーカーに相談し、社会的治癒状態であったことを主張しましょう。だいたいですが、内科的病気の場合は1年以上、糖尿病、結核や精神の病気は3年以上であれば社会的治癒とみなされています。
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傷病手当金と障がい年金は同時にもらえるのですか。
もらえません。傷病手当金をもらっていて、障がい厚生年金および障がい手当金をもらうようになった場合は、傷病手当を打ち切られます。ただ、障がい厚生年金額を360で割った額が傷病手当金日額より少ない時は、調整支給として差額分が支払われます。また、障がい手当金をもらった時は、傷病手当金の支給額が障がい手当金の額に達するまでは傷病手当は支給されません。
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退職するのですが、傷病手当金は継続してもらえるのですか。
次の要件をすべて満たしている場合は、退職しても引き続き支給されます。
1.健康保険に加入していた期間が、退職した日(被保険者であった期間)まで継続して1年以上あるとき。
2.退職までに連続して3日間仕事を休んだことがあるとき(待機期間が完成しているとき)。
3.実際に傷病手当金を受けた期間が、少なくても1日はあるとき、もしくは受けることのできる状態(手当て支給を請求すれば支給をうけれる)であるとき。
退職後に新しく発生した病気やケガは対象になりません。その場合は、雇用保険の傷病手当となります。また、傷病手当金を受けている期間に再就職した場合は手当ての支給は打ち切られます。
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どうやって手続きしたらいいのですか。
職場の総務関係に、「傷病手当金申請書」があるはずですので、それをもらって、会社(事業主)の証明と医師の意見書(就労できない証明)を書いてもらいます。それを、年金事務所か健康保険組合に提出して下さい。
失業給付(雇用保険)制度
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失業給付(雇用保険)とは何のことですか。
会社の事業主は従業員を1人でも雇っていれば、原則として労働保険(雇用保険、労災保険)に加入しなければいけないことになっています。失業給付は雇用保険による給付で、労働者が失業した時に、生活を維持し再就職しやすくするための制度です。新しい仕事が見つかるまでの一定期間、生活の保障がされるというものです。
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失業給付はどういうときにもらえて、手続きはどこでするのですか。
原則として「離職の日以前の2年間」において、「被保険者期間」が「12ヶ月以上ある」ことが必要です。また、本人が積極的に就職しようとする気持ちと、いつでも就職することができる状態(体力、環境など)で、積極的に就職活動を行っているにも関わらす、就職できない時に支払われるものです。手続きはハローワークになります。
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手続きに必要な書類を教えて欲しいのですが。
1.離職票(2枚あります)
2.雇用保険被保険者証
3.住所、氏名、年齢を確認する書類(住民票、運転免許証、国民健康保険証など)
4.振込み銀行の預金通帳(金融機関の確認印をもらった場合は不要)
5.障がい者手帳(あれば)
1~3は、退職時に会社からもらえるものになります。障がい者手帳があれば、障がい者等の就職困難者として、給付日数が多くなり、3ヶ月の給付制限がなくなりますので、持っているなら忘れずに持っていってください。
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どういうときにもらえないのですか。具体的に教えて欲しいのですが。
・病気やケガのために、すぐには就職できないとき。
・妊娠、出産、育児のために、すぐには就職できないとき。
・定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき。
・結婚により、家事に専念するとき。
・自営業を始めたとき、もしくは、その準備を始めたたとき。
・新しい仕事に就いた、もしくは決まっているとき(アルバイト、パートを含む)。
・学業に専念するとき。
・就職することがほとんど困難な職業や労働条件にこだわり続けるとき。
・雇用保険の被保険者とならないような短時間労働のみを希望するとき。
・会社の役員になったとき。
・嘱託、顧問、相談役になっているとき。
・家業の手伝いをしているとき。
・塾や学校の非常勤講師をしているとき。
・自分名義の店があるとき。
・損害保険などの代理店登録をしているとき。
以上のような時には、失業給付が受けられないことになっているのですが、状態によっては、支給対象となる場合もありますので、自分で判断せずにハローワークで相談してみてください。
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失業給付は、どのように支払われるのですか。
1.雇用保険料を払っていた期間が長いほどもらえる期間が長くなすます。
2.一般の離職者よりも、障がい者などの就職困難者か、解雇・倒産などによる離職者の方がもらえる期間が長くなります。
もらえる金額は、離職前の6ヶ月間の給料(賃金)によって変わってくるのですが、だいたい働いていた時の6~8割ぐらいになります。この金額が、所定給付日数分だけもらえることになります。ただ、有効期限は、離職後1年間となりますので、それを過ぎてしまうと、給付日数が残っていたとしても、もらえなくなりますので注意してください。離職票を持ってハローワークに行った日が受給資格決定日となり、その後7日間の待機期間をへて、支給開始となります。また、自己都合で退職した人は、給付制限が3ヶ月あり、これらの期間を含めて1年間となります。障がい者の場合は1年以上雇用保険をかけていたら(働いていたら)、給付日数が45歳未満で300日、45歳以上で360日になります。
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病気ですぐには働けないのですが、失業給付はもらえなくなるのでしょうか。
受給期間の延長という制度があります。職業に就くことができなくなった状態が引き続き30日以上となったとき、30日目の翌日から早期にしていただくことが原則ですが、延長後の受給期間の最後の日までの間であれば、受給期間延長申請をすることができます。期間は最大4年(1年+延長期間3年)まで延長できますが、病気で休んでいる間は、失業給付金は支給されません。この手続きには、延長理由を証明する書類が必要となってきますが、病気の場合は医師の診断書になります。病気以外でも、妊娠、出産、3歳未満の子供の育児、親族などの介護、事業主の命令で海外出張する配偶者に同行する場合などでも、受給期間の延長ができます。
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現在パート(短時間)で働いていますが、雇用保険をかけられますか。
雇用保険をかけるとなると、雇い主(事業主)も保険料を払わなければいけなくなるので、事業所によったら、雇用保険をかけなくてもよい条件で採用している場合もありますので、採用時に確認しておいた方がいいと思います。基本的には1週間の所定労働時間が20時間未満の場合は、雇用保険をかけなくてもよくなっています。
働く前に
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「働く」ってことは、どういうこと。
まず「働く」ということが、自分にとって、どういう意味を持つのかを考えてみてください。お金を稼いで、生活費にする。欲しいものを買う。趣味に使う。など、お金を稼ぐということは、いちばんの目的であって、誰でもが持っている欲求だろうと思います。ただ、働くという意味は、お金を稼ぐことでけではありません。お金が十分にあれば、もう働かなくていいですか? 自分で稼いだお金であれば、安心もできるし、自尊心もついてきます。それだけではなく、社会は人が働くことで成り立っています。それぞれの分野で働くことにより、相互に助け合いをしているのです。つまり、働くということは、社会の維持形成に役立っており、自分が社会の中で必要な存在であるという証明となるのです。これは働くということで、自分自身の精神的助けにもなるのです。年齢的なものにも関係してくるかもしれませんが、働いていないということが、自分を苦しめている大きな要素であったりもします。家族と同居していたならば、その思いは、さらに大きくなるかもしれません。働くことが、「お金」のためだけであれば、お金があれば働かなくてもいいし、また、「社会のため」だけであれば、ボランティアでもいいのです。「働く」ということは、これらの目的が相互に絡み合って、その人なりの意味を持ってくるのです。だからまず、自分にとっての、「働く」という意味を考えてみてください。そうすることによって、自分に合った方向性が見えてくると思います。
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「働く」ために、どうのようなこと(能力、習慣)が必要なのですか。
単に「働く」といっても、働く形態、場所、時間、環境によってさまざまですので、簡単に説明することは難しいことです。例えば、福祉施設での作業も働くことですし、アルバイト、パートまたは正社員で勤めることも働くことになります。また、家族が自営業であれば、その仕事を手伝うことも働くことになったり、それに対する報酬(賃金)もさまざまになってきます。ただ、一般的には、「集団で、組織的に、仕事を分担し、一定時間持続的に働く能力が必要」と言われていますが、このような能力があったとしても、就労出来ない人もいましす、自分には、そんな能力がないと思っていたとしても、自分に合った職場を見つけることができたなら、続けることができる人もいます。今までがダメだったから、またダメかもしれないという不安な気持ちがあるかもしれませんが、あきらめないことが大切です。しいて言うならば、「自分を知る」能力が必要になってきます。自分の性格、体調、今までの経験など、自分をよく知って、自分で自分をコントロールできるようになることが大切です。そのためには、相談できる人を見つけて、アドバイスを受けながら挑戦していきましょう。
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精神障がい者が働く時の弱点はなんですか。
人それぞれ弱点は持っており、精神障がい者であるから、特別に何かあるというわけではありません。ただ、ひと言で言うと、「不安定性」なのかもしれません。どうしても、体調に波があり、それが健常者に比べると大きくなってしまうかもしれません。ただ、大切なことは、その時にどうするかということです。事前に、そうならないように予防する、それでもダメな時は、兆候を自分で敏感に感じとって、自分自身でコントロールしていくことが大切になってきます。自分の弱点を知っておくということは、事前にその弱点に対する対策が立てられるということです。そして、どのように対策を立てていくかということに関しては、自分ひとりで考えるのではなく、信頼できる周りの人に積極的に相談していってください。とは言われても抽象的なことばかりで、結局どうしたらいいのかが分からないということになるので、もう少し詳しく説明すると、
1.対人関係、人づきあいが下手になってしまっていることがあります(もともと苦手である)。これは、病気になったことで、自信をなくしてしまっていたり、人の態度がとても気になったりすることで、余計に疲れてしまったり、気まずくなってしまったりしてしまうことがあります。
2.体力が落ちてしまっています。病気になったことで、体を動かさなくなったり、薬の影響ですぐ疲れてしまうということがあります。
3.持続力、持久力が落ちています。これは、体力的なものだけではなく、精神的にも、そうなっています。心と体は常に一緒で、どちらかが健康でどちらかが不健康ということはありません。一方が疲れてしまうと、もう一方も疲れてしまうのです。
これらのことから、自分の弱点は、何であろうかとよく考え、それに対する練習をしていく必要があります。
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働くために、精神障がい者であるということ言わなければいけませんか。
そんなことはありません。精神障がい者であることを言わずに働いている人もたくさんいます。ただ、どちらの方が、自分に合っているかということを考えてみてください。言わずに働くということは、当然それなりの期待をされるわけですので、それなりの厳しさを伴ってきます。障がいを持っているということで、他の人と同じように振舞おうとしても、自分にとっての負担はより大きなものとなってくるかもしれません。昼食後の薬を隠れて飲まないといけなかったり、仕事後の付き合いを断る方法にも苦労するかもしれません。ただ、現実問題として、障がい者であるということを採用前に言ったならば、不採用になる可能性が高くなる場合もあります。それは、雇う立場になって考えると理解できると思うのですが、雇い側が選ぶ権利がある以上、同じ賃金を払うのであれば、どうしても障がい者の優先順位は下がってきます。ここで大切なことは、自分が、言わないでも、働き続けることができるかどうかということです。もし続けられるのであれば、障がい者であることを言う必要はありませんし、言うか言わないかを悩むこともありません。ただ、自分に自信がない人や周囲からの勧めで仕事に挑戦する人、もう少し働く力が必要だけど、まずは挑戦してみるという人などであれば、障がい者であることを言ってから働くことを勧めます。その方が相談できる人も増えますし、なにより自分の心の中に安心ができます。
※法定雇用率:一定以上の従業員がいる事業所は、障がい者をの一定の割合で雇わなければならないという法律上の決まり。もし、その割合が足りなかったら、罰金がありますし、障がい者を雇うことで事業所に助成金も支払われます。
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働き始める前の準備は、何をしたらいいですか。
大切なことは「心の準備」をするということです。そうは言っても、働くことに対して、緊張しすぎると、それがかえってプレッシャーになってしまいますので、「だめだったら、そのときは、その時でいいや。」ぐらいの気持ちがあった方がいいかもしれません。まだ、自分に自信がないのであれば、福祉施設(福祉就労)などから段階的に試していくことも、ひとつの方法です。ただ、誰にでも不安はあって、不安のない人のほうが少ないはずです。まずは試してみるといった気持ちから初めてもよいと思います。
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履歴書を書く時の注意点を教えてください。
一番大切なことは、丁寧に書くということです。鉛筆などのように消えるものではなく、ボールペンやサインペンなどを使って、誤字のないように書きましょう。間違えたら、新しい用紙に書き直す方がいいですが、すぐ間違えてしまうという人は、鉛筆で薄く下書きをしてから、後で鉛筆の下書きを消すなどの工夫をしてみてください。パソコンが使える人であれば、ネットから履歴書のひな形をダウンロードしてきて、そこに書き込んでいく方が楽かもしれません。内容に関しては、周りに信頼して相談できる人がいるのであれば、相談しながら書いていくのもいいと思います。
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履歴書に学歴のどのように書いたらいいのですか。
中学校卒業から書き始めたら十分です。病気のために留年していたとしても、正直に書いておけばいいです。理由は特に書く必要はありませんが、面接の時に聞かれた場合の理由は考えておいた方がいいと思います。また、最終学歴が大学や大学院の場合、会社や仕事の内容によっては、書かない方がいい場合もあります。大学(院)まで卒業しているのに、なぜこの会社にと思われてしまう場合もあるかも知れません。
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履歴書に職歴はどのように書いたらいいのですか。
転職が多かったり、働いていない期間が長かったりした場合、正直にそのまま書いてしまうと、よくない場合があります。下手に書いてしまうと、理由を突っ込んで聞かれたり、障がいのことにまで、話の内容がおよんでくるかもしれません。現実問題として、障がいに対する偏見は残っており、言わなくていいのものであれば、言わない方が、採用されやすくなるかもしれません。ただ、だからといって、全くの嘘を書いてしまうと、何か尋ねられた時に、返答に困ってしまうかもしれませんし、良心的になかなか嘘は書けるものではありません。自分の家が自営業であったら、家業手伝いなどがいいかもしれませんし、女性であれば家事手伝いでも結構だと思います。やりたいことを見つけるためにアルバイトを続けていたということでも構いません。また、転職の問題ですが、基本的には3ヶ月以内で辞めてしまった場合に関しては、暗黙の了解として書く必要はありません。1年未満で辞めてしまったものに関しても、書かない方が賢明かもしれません。ただ、最終職歴だけは、正直に書けるのであれば、書いておいた方が無難です。健康保険の移行の場合に分かってしまうこともありますし、採用者が直接、前の職場に人柄、働きぶりなどを問い合わせたりする場合もあるかもしれません。狭い業界であればあるほど、その傾向は強くなってきますので注意してください。一般には、履歴書に嘘があるからといって、刑法に問われることはありませんが、著しい嘘の場合は、それを理由にして解雇される可能性もあります。ただ、この理由のみでの解雇は不当であるため(実際、きちんと働いて、成果も出ていたら、雇い主にとっても問題はありません)、記述内容に嘘があるからといって、過度に不安になる必要はありません。
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履歴書の資格欄は、どのように書いたらいいのですか。
自分の持っていない資格を書いてしまうことはだめですが、逆に持っている資格を、すべて書いたらよいというものでもありません。仕事内容に全く関係のない資格は書かなくてもいいですし、書いてしまうと、その資格の技術を要求されることになるかも知れませんので、実際に自分が活用できるものだけにしておいた方が無難です。以前は、問題なくできたことでも、障がいを持った以後は、できなくなっていることもありますので注意してください。
働く準備をする制度
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働く準備をする制度には、どんなものがありますか。
障がい福祉サービスとして、
・就労移行支援
・就労定着支援
・就労継続支援A型
・就労継続支援B型
などがあります。また、相談にのってくれる機関として
・障害者就業・生活支援センター
・障害者職業センター
・ハローワークの専門援助部門(障がい者の相談窓口)
・相談支援事業所
などがあります。
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就労移行支援とは、どんなところですか。
個別の支援計画に沿って、他の利用者と一緒に就職に役立つ知識や必要なスキルを学んだり、就職の準備をすることや就労支援員に就職や体調に関する相談することなど、必要なサポートを受けることができます。利用できる方は、企業等への就職を希望する18歳以上65歳未満の障がいや難病のある方となります。利用期間は原則2年間となり、利用料は、前年度の住民税が非課税の方、生活保護の方は無料となります。それ以外の方は1割負担となりますが前年度の所得に応じて上限額が決められています。具体的には
・希望する就職に必要な知識と能力を身につける職業訓練
・履歴書や応募書類の添削、模擬面接などの就職活動サポート
・就職に関する相談や支援
・求職活動に関する支援
・本人の適性に合った職場探しやアドバイス
・企業における職場実習などの機会の提供
・就職後の職場定着のための支援
などの支援を受けることができます。
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就労定着支援とは、どんな支援ですか。
就労移行支援等を利用して一般就労に移行した障がいのある方が雇用された企業などで就労の継続を図るため、関係者との連絡調整、雇用に伴い生じる日常生活又は社会生活を営む上での各般の問題に関する相談による課題把握、指導及び助言その他の必要な支援、その他必要な支援などを行なってくれます。利用期間は3年間で、その後は「障害者就業・生活支援センター」に引き継いでくれます。
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就労継続支援A型と就労継続支援B型の違いはなんですか。
就労継続支援とは、通常の事業所に雇用されることが困難な障がい者に、就労の機会を提供するとともに,生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練を行ってくれます。雇用契約を結び利用するのがA型で、雇用契約を結ばないで利用するのがB型となります。A型に関しては雇用契約を結びますので、その地域の最低賃金が適用されます。
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う~ん。たくさんあって分かりにくいのですが。
就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型
目的 就労に必要な技術を学ぶ 働く場
対象者 一般就労を希望する方 一般就労が困難な方
年齢制限 原則18~65歳未満 年齢制限なし
雇用契約 なし あり なし
利用料 前年度の所得による
賃金 工賃がある場合もある 最低賃金以上の給料 工賃
利用期間 原則2年(最大3年) 定めなし
利用日数 自由選択が多い ほとんど週5日 自由選択が多い
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障害者就業・生活支援センターとは、どんなところですか。
障害者就業・生活支援センターは、障がいのある人の身近な地域において、就業面と生活面の一体的な相談・支援を行う機関です。ですが、実際には就労面での支援がほとんどの所が多いようです。就労を希望する障がいのある人には、就労相談や就職活動のサポート、専門的な就労支援機関の紹介などを行なってくれたりします。また、障がい者雇用の経験が少なかったり、定着に課題があったりする企業側も利用することができます。利用料・相談料は障がいのある人、企業側ともに原則無料ですが、事前に電話予約し、相談する日時が決まったら予約をする必要があります。一般就労につながった方に関しては、就職したばかりのころは就職支援を行った事業所が中心となって定着支援を行いますが、長期間に及ぶ場合などは、障害者就業・生活支援センターが中心となり長く働ける環境づくりを行っていきます。
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障害者職業センターとは、どんなところですか。
障害者職業センターは、ハローワークと協力しながら障害者の就労援助を行っているところで、各都道府県に少なくともひとつあります。主な役割をあげておきます。
1.障がい者の職業能力・適性などの評価(職業適性検査)
2.障がいの種類、程度に応じた職業相談、指導
3.職業準備訓練、職業講習、地域雇用支援ネットワークによる精神障がい者職業自立支援事業
4.ジョブコーチ支援事業
5.就職後のアフターケア
6.事業所(会社)に対して、障がい者を雇い入れた場合、その人に合った部署をどうするかなどの雇用管理や作業施設、職場環境の改善などの総合的な相談、助言
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ハローワークで障がい者求職をするには、どうしたらいいのですか。
まず、専門援助部門へいって、登録する必要があります。障がい者であれば(障がい者手帳があれば)、すぐに登録できるのですが、最終目的の雇用ということになりますと、主治医の意見書(働ける状態であるという意見書)が必要になってきますので、事前に主治医と相談しておく方がいいと思います。実際、窓口では相談にのってくれるのですが、具体的に自分がどのような仕事(時間、場所、内容など)を探しているのかということを整理しておかなければいけません。それには、医療機関、福祉施設職員、相談支援専門員等の人に、一緒についていってもらうのもいい方法だと思います。
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相談支援事業所とは、どんなところですか。
相談支援事業所には、相談支援専門員が常駐しており、障がいを持っている方やその家族の相談にのってくれます。要望をうかがい、各種障がい福祉サービスを紹介し、必要に応じて連絡調整を行ってくれます。サービスの利用計画を作成するのも仕事の一つです。利用するのに利用料はかかりませんが、障がい福祉サービスのひとつとなりますので、市区町村の役所に利用申請をする必要があります。
税金を納める義務のある本人や、もしくはその家族が法律の定める障がい者に当てはまる場合に、国や地方自治体に納める税金が安くなる制度であり、所得税、住民税、相続税、贈与税、自動車税などが対象となります。また、貯金等の利子にかかる税金が一定額まで免除されるマル優制度(障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度)もあります。手続きには、ほとんどの場合、障がい者手帳が必要書類になっています。
1.「特別障がい者控除」:障害の程度が精神障がい者保健福祉手帳の1級の人、身体障害者手帳1~2級の人は、1人につき40万円の控除を受けることができます。また、家族に特別障がい者がいる場合にも、同様に40万円の控除を受けることができますが、この場合の家族(障がい者)とは、配偶者もしくは納税者が扶養している親族のことになります。ただし、障がい者本人の年間所得が38万円以下であることが条件となります。
2.「障害者控除」:障害の程度が精神障がい者保健福祉手帳の2、3級の人、身体障害者手帳3級~6級の人の場合は、一般障がい者の対象となり、1人につき27万円が控除されます。
3.「同居特別障がい者控除」:納税者の家族が特別障がい者に該当し、なおかつ同居している場合は、特別障がい者控除の40万円に加えて、1人につき同居特別障がい者の控除として35万円が加算されます。
※児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人(一般障がい者)。このうち重度の知的障害者と判定された人は、特別障がい者になります。
1.本人またはその家族が障がい者で精神障がい者保健福祉手帳の1級の人、身体障害者手帳1級、2級の人の場合は1人につき30万円、精神障がい者保健福祉手帳の2、3級の人、身体障害者手帳3級~6級の人の場合は1人につき26万円が控除されます。
2.同居特別障がい者控除:特別障がい者が同居している場合に、住民税の障がい者控除30万円に加えて、23万円の特別障害者控除を受けることができます。
3.障がい者本人の住民税非課税:障がい者手帳を持っている障がい者本人であって、分離課税とされる退職所得を差し引いた所得が125万円以下の人は住民税が非課税(支払い免除)となります。
相続人が障がい者かつ法定相続人であるときは、その人が85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障がい者のときは20万円)を相続税額から控除することができます。
特別障がい者の親が、子供の将来のために、財産を安全、有利に残す方法として、信託会社などと「特別障がい者扶養信託契約」を締結した場合、将来、障がいを持つ子供が生活、療養で必要になったときに、定期的に支払ってもらう制度で、6000万円まで贈与税の非課税対象となります。また、特別障がい者以外の精神に障がいのある人の場合は、3000万円まで贈与税の非課税対象となります。
[精神障がい者]
精神障がい者保健福祉手帳の交付を受け、その障がいの程度が1級の方で、かつ自立支援医療受給者証の交付を受けておられる方
[身体障がい者]
身体障がい者手帳の区分と級により個別に決められています。
[知的障がい者]
療育手帳等の交付を受けておられる方
上記の方は、1人につき1台まで「自動車税」と「自動車取得税」の減免制度があります。
「マル優」とは「障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度」の通称で、障がい者手帳の交付を受けている方や障がい者年金をを受給されているなど一定の条件を満たした方のみが利用できる制度です。預貯金の元本350万円までの利子が非課税になります。また、「特別マル優」は、国債と地方債の額面350万円までの利子が非課税になります。「マル優」と「特別マル優」は別枠で利用することができます。
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傷病手当金はどんな人が、どのような時にもらうことができるのですか。
健康保険に加入している本人で(扶養家族ではだめです)、次の条件を満たしている人が対象となります。
1.病気やケガで療養中であること。精神科の病気も含みます。
2.病気やケガの状態から、現在の仕事ができない状態であること(労務不能)。
3.仕事を休み始めてから4日目から支給されます。ただし、3日間連続(公休、有給休暇も含む)で休んでいることが必要で、この3日間を待機期間といいます。
4.休んでいる期間中は、給料をもらっていないこと。会社によれば給料が支給される場合もありますが、その金額が傷病手当より多ければ、傷病手当の支給対象にはなりません。
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傷病手当金は、いくらぐらいもらえるのですか。
金額は、おおむね月給の2/3と思っておけばいいですが、正確には1日につき、
[支給開始日以前12ヶ月の各月の標準報酬月額の平均] ÷ 30 × 2/3
となります。支給は通院、入院だけでなく、自宅療養の期間も含まれますが、支給されるのは、あくまで給料の支払いがない期間ですので、有給休暇で休んだ場合は対象とはなりません。
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手当てがもらえる期間はあるのですか。
あります。最大1年6ヶ月となります。それを過ぎると、病気やケガが治っていなくても支給停止となります。
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たびたび休んでいるのですが、傷病手当は何回でも、もらえるのですか。
傷病手当の支給開始から1年6ヶ月の間であれば何回でももらえます。ただ、注意して欲しいことは、1年6ヶ月というのは、同じ病気で休む場合は、傷病手当をもらっていた期間の合計ではなく、支給開始からの期間となります。ただ、同じ病気でも原因が違う場合は新たに支給の開始となります。
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前回手当をもらってから5年なのですが、再発した場合もう一度もらえますか。
同じ病名、ケガでも前回の病気が治っていると判断されるなら、支給対象となります。医学的に同一性が認められる場合でもかまいません。傷病手当支給後に会社に復帰し、治療を受ける必要がなく会社勤務をしている期間がある程度あるのであれば、社会通念上、病気が治ったと判断されます(社会的治癒)。これ以後に病気になったとしても、新しい病気として見なされ、手当支給の対象となります。ただ、同じ病名であるということを理由に支給されないこともあるようなので、その場合は、主治医やその医療機関のケース(ソーシャル)ワーカーに相談し、社会的治癒状態であったことを主張しましょう。だいたいですが、内科的病気の場合は1年以上、糖尿病、結核や精神の病気は3年以上であれば社会的治癒とみなされています。
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傷病手当金と障がい年金は同時にもらえるのですか。
もらえません。傷病手当金をもらっていて、障がい厚生年金および障がい手当金をもらうようになった場合は、傷病手当を打ち切られます。ただ、障がい厚生年金額を360で割った額が傷病手当金日額より少ない時は、調整支給として差額分が支払われます。また、障がい手当金をもらった時は、傷病手当金の支給額が障がい手当金の額に達するまでは傷病手当は支給されません。
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退職するのですが、傷病手当金は継続してもらえるのですか。
次の要件をすべて満たしている場合は、退職しても引き続き支給されます。
1.健康保険に加入していた期間が、退職した日(被保険者であった期間)まで継続して1年以上あるとき。
2.退職までに連続して3日間仕事を休んだことがあるとき(待機期間が完成しているとき)。
3.実際に傷病手当金を受けた期間が、少なくても1日はあるとき、もしくは受けることのできる状態(手当て支給を請求すれば支給をうけれる)であるとき。
退職後に新しく発生した病気やケガは対象になりません。その場合は、雇用保険の傷病手当となります。また、傷病手当金を受けている期間に再就職した場合は手当ての支給は打ち切られます。
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どうやって手続きしたらいいのですか。
職場の総務関係に、「傷病手当金申請書」があるはずですので、それをもらって、会社(事業主)の証明と医師の意見書(就労できない証明)を書いてもらいます。それを、年金事務所か健康保険組合に提出して下さい。
失業給付(雇用保険)制度
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失業給付(雇用保険)とは何のことですか。
会社の事業主は従業員を1人でも雇っていれば、原則として労働保険(雇用保険、労災保険)に加入しなければいけないことになっています。失業給付は雇用保険による給付で、労働者が失業した時に、生活を維持し再就職しやすくするための制度です。新しい仕事が見つかるまでの一定期間、生活の保障がされるというものです。
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失業給付はどういうときにもらえて、手続きはどこでするのですか。
原則として「離職の日以前の2年間」において、「被保険者期間」が「12ヶ月以上ある」ことが必要です。また、本人が積極的に就職しようとする気持ちと、いつでも就職することができる状態(体力、環境など)で、積極的に就職活動を行っているにも関わらす、就職できない時に支払われるものです。手続きはハローワークになります。
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手続きに必要な書類を教えて欲しいのですが。
1.離職票(2枚あります)
2.雇用保険被保険者証
3.住所、氏名、年齢を確認する書類(住民票、運転免許証、国民健康保険証など)
4.振込み銀行の預金通帳(金融機関の確認印をもらった場合は不要)
5.障がい者手帳(あれば)
1~3は、退職時に会社からもらえるものになります。障がい者手帳があれば、障がい者等の就職困難者として、給付日数が多くなり、3ヶ月の給付制限がなくなりますので、持っているなら忘れずに持っていってください。
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どういうときにもらえないのですか。具体的に教えて欲しいのですが。
・病気やケガのために、すぐには就職できないとき。
・妊娠、出産、育児のために、すぐには就職できないとき。
・定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき。
・結婚により、家事に専念するとき。
・自営業を始めたとき、もしくは、その準備を始めたたとき。
・新しい仕事に就いた、もしくは決まっているとき(アルバイト、パートを含む)。
・学業に専念するとき。
・就職することがほとんど困難な職業や労働条件にこだわり続けるとき。
・雇用保険の被保険者とならないような短時間労働のみを希望するとき。
・会社の役員になったとき。
・嘱託、顧問、相談役になっているとき。
・家業の手伝いをしているとき。
・塾や学校の非常勤講師をしているとき。
・自分名義の店があるとき。
・損害保険などの代理店登録をしているとき。
以上のような時には、失業給付が受けられないことになっているのですが、状態によっては、支給対象となる場合もありますので、自分で判断せずにハローワークで相談してみてください。
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失業給付は、どのように支払われるのですか。
1.雇用保険料を払っていた期間が長いほどもらえる期間が長くなすます。
2.一般の離職者よりも、障がい者などの就職困難者か、解雇・倒産などによる離職者の方がもらえる期間が長くなります。
もらえる金額は、離職前の6ヶ月間の給料(賃金)によって変わってくるのですが、だいたい働いていた時の6~8割ぐらいになります。この金額が、所定給付日数分だけもらえることになります。ただ、有効期限は、離職後1年間となりますので、それを過ぎてしまうと、給付日数が残っていたとしても、もらえなくなりますので注意してください。離職票を持ってハローワークに行った日が受給資格決定日となり、その後7日間の待機期間をへて、支給開始となります。また、自己都合で退職した人は、給付制限が3ヶ月あり、これらの期間を含めて1年間となります。障がい者の場合は1年以上雇用保険をかけていたら(働いていたら)、給付日数が45歳未満で300日、45歳以上で360日になります。
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病気ですぐには働けないのですが、失業給付はもらえなくなるのでしょうか。
受給期間の延長という制度があります。職業に就くことができなくなった状態が引き続き30日以上となったとき、30日目の翌日から早期にしていただくことが原則ですが、延長後の受給期間の最後の日までの間であれば、受給期間延長申請をすることができます。期間は最大4年(1年+延長期間3年)まで延長できますが、病気で休んでいる間は、失業給付金は支給されません。この手続きには、延長理由を証明する書類が必要となってきますが、病気の場合は医師の診断書になります。病気以外でも、妊娠、出産、3歳未満の子供の育児、親族などの介護、事業主の命令で海外出張する配偶者に同行する場合などでも、受給期間の延長ができます。
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現在パート(短時間)で働いていますが、雇用保険をかけられますか。
雇用保険をかけるとなると、雇い主(事業主)も保険料を払わなければいけなくなるので、事業所によったら、雇用保険をかけなくてもよい条件で採用している場合もありますので、採用時に確認しておいた方がいいと思います。基本的には1週間の所定労働時間が20時間未満の場合は、雇用保険をかけなくてもよくなっています。
働く前に
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「働く」ってことは、どういうこと。
まず「働く」ということが、自分にとって、どういう意味を持つのかを考えてみてください。お金を稼いで、生活費にする。欲しいものを買う。趣味に使う。など、お金を稼ぐということは、いちばんの目的であって、誰でもが持っている欲求だろうと思います。ただ、働くという意味は、お金を稼ぐことでけではありません。お金が十分にあれば、もう働かなくていいですか? 自分で稼いだお金であれば、安心もできるし、自尊心もついてきます。それだけではなく、社会は人が働くことで成り立っています。それぞれの分野で働くことにより、相互に助け合いをしているのです。つまり、働くということは、社会の維持形成に役立っており、自分が社会の中で必要な存在であるという証明となるのです。これは働くということで、自分自身の精神的助けにもなるのです。年齢的なものにも関係してくるかもしれませんが、働いていないということが、自分を苦しめている大きな要素であったりもします。家族と同居していたならば、その思いは、さらに大きくなるかもしれません。働くことが、「お金」のためだけであれば、お金があれば働かなくてもいいし、また、「社会のため」だけであれば、ボランティアでもいいのです。「働く」ということは、これらの目的が相互に絡み合って、その人なりの意味を持ってくるのです。だからまず、自分にとっての、「働く」という意味を考えてみてください。そうすることによって、自分に合った方向性が見えてくると思います。
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「働く」ために、どうのようなこと(能力、習慣)が必要なのですか。
単に「働く」といっても、働く形態、場所、時間、環境によってさまざまですので、簡単に説明することは難しいことです。例えば、福祉施設での作業も働くことですし、アルバイト、パートまたは正社員で勤めることも働くことになります。また、家族が自営業であれば、その仕事を手伝うことも働くことになったり、それに対する報酬(賃金)もさまざまになってきます。ただ、一般的には、「集団で、組織的に、仕事を分担し、一定時間持続的に働く能力が必要」と言われていますが、このような能力があったとしても、就労出来ない人もいましす、自分には、そんな能力がないと思っていたとしても、自分に合った職場を見つけることができたなら、続けることができる人もいます。今までがダメだったから、またダメかもしれないという不安な気持ちがあるかもしれませんが、あきらめないことが大切です。しいて言うならば、「自分を知る」能力が必要になってきます。自分の性格、体調、今までの経験など、自分をよく知って、自分で自分をコントロールできるようになることが大切です。そのためには、相談できる人を見つけて、アドバイスを受けながら挑戦していきましょう。
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精神障がい者が働く時の弱点はなんですか。
人それぞれ弱点は持っており、精神障がい者であるから、特別に何かあるというわけではありません。ただ、ひと言で言うと、「不安定性」なのかもしれません。どうしても、体調に波があり、それが健常者に比べると大きくなってしまうかもしれません。ただ、大切なことは、その時にどうするかということです。事前に、そうならないように予防する、それでもダメな時は、兆候を自分で敏感に感じとって、自分自身でコントロールしていくことが大切になってきます。自分の弱点を知っておくということは、事前にその弱点に対する対策が立てられるということです。そして、どのように対策を立てていくかということに関しては、自分ひとりで考えるのではなく、信頼できる周りの人に積極的に相談していってください。とは言われても抽象的なことばかりで、結局どうしたらいいのかが分からないということになるので、もう少し詳しく説明すると、
1.対人関係、人づきあいが下手になってしまっていることがあります(もともと苦手である)。これは、病気になったことで、自信をなくしてしまっていたり、人の態度がとても気になったりすることで、余計に疲れてしまったり、気まずくなってしまったりしてしまうことがあります。
2.体力が落ちてしまっています。病気になったことで、体を動かさなくなったり、薬の影響ですぐ疲れてしまうということがあります。
3.持続力、持久力が落ちています。これは、体力的なものだけではなく、精神的にも、そうなっています。心と体は常に一緒で、どちらかが健康でどちらかが不健康ということはありません。一方が疲れてしまうと、もう一方も疲れてしまうのです。
これらのことから、自分の弱点は、何であろうかとよく考え、それに対する練習をしていく必要があります。
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働くために、精神障がい者であるということ言わなければいけませんか。
そんなことはありません。精神障がい者であることを言わずに働いている人もたくさんいます。ただ、どちらの方が、自分に合っているかということを考えてみてください。言わずに働くということは、当然それなりの期待をされるわけですので、それなりの厳しさを伴ってきます。障がいを持っているということで、他の人と同じように振舞おうとしても、自分にとっての負担はより大きなものとなってくるかもしれません。昼食後の薬を隠れて飲まないといけなかったり、仕事後の付き合いを断る方法にも苦労するかもしれません。ただ、現実問題として、障がい者であるということを採用前に言ったならば、不採用になる可能性が高くなる場合もあります。それは、雇う立場になって考えると理解できると思うのですが、雇い側が選ぶ権利がある以上、同じ賃金を払うのであれば、どうしても障がい者の優先順位は下がってきます。ここで大切なことは、自分が、言わないでも、働き続けることができるかどうかということです。もし続けられるのであれば、障がい者であることを言う必要はありませんし、言うか言わないかを悩むこともありません。ただ、自分に自信がない人や周囲からの勧めで仕事に挑戦する人、もう少し働く力が必要だけど、まずは挑戦してみるという人などであれば、障がい者であることを言ってから働くことを勧めます。その方が相談できる人も増えますし、なにより自分の心の中に安心ができます。
※法定雇用率:一定以上の従業員がいる事業所は、障がい者をの一定の割合で雇わなければならないという法律上の決まり。もし、その割合が足りなかったら、罰金がありますし、障がい者を雇うことで事業所に助成金も支払われます。
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働き始める前の準備は、何をしたらいいですか。
大切なことは「心の準備」をするということです。そうは言っても、働くことに対して、緊張しすぎると、それがかえってプレッシャーになってしまいますので、「だめだったら、そのときは、その時でいいや。」ぐらいの気持ちがあった方がいいかもしれません。まだ、自分に自信がないのであれば、福祉施設(福祉就労)などから段階的に試していくことも、ひとつの方法です。ただ、誰にでも不安はあって、不安のない人のほうが少ないはずです。まずは試してみるといった気持ちから初めてもよいと思います。
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履歴書を書く時の注意点を教えてください。
一番大切なことは、丁寧に書くということです。鉛筆などのように消えるものではなく、ボールペンやサインペンなどを使って、誤字のないように書きましょう。間違えたら、新しい用紙に書き直す方がいいですが、すぐ間違えてしまうという人は、鉛筆で薄く下書きをしてから、後で鉛筆の下書きを消すなどの工夫をしてみてください。パソコンが使える人であれば、ネットから履歴書のひな形をダウンロードしてきて、そこに書き込んでいく方が楽かもしれません。内容に関しては、周りに信頼して相談できる人がいるのであれば、相談しながら書いていくのもいいと思います。
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履歴書に学歴のどのように書いたらいいのですか。
中学校卒業から書き始めたら十分です。病気のために留年していたとしても、正直に書いておけばいいです。理由は特に書く必要はありませんが、面接の時に聞かれた場合の理由は考えておいた方がいいと思います。また、最終学歴が大学や大学院の場合、会社や仕事の内容によっては、書かない方がいい場合もあります。大学(院)まで卒業しているのに、なぜこの会社にと思われてしまう場合もあるかも知れません。
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履歴書に職歴はどのように書いたらいいのですか。
転職が多かったり、働いていない期間が長かったりした場合、正直にそのまま書いてしまうと、よくない場合があります。下手に書いてしまうと、理由を突っ込んで聞かれたり、障がいのことにまで、話の内容がおよんでくるかもしれません。現実問題として、障がいに対する偏見は残っており、言わなくていいのものであれば、言わない方が、採用されやすくなるかもしれません。ただ、だからといって、全くの嘘を書いてしまうと、何か尋ねられた時に、返答に困ってしまうかもしれませんし、良心的になかなか嘘は書けるものではありません。自分の家が自営業であったら、家業手伝いなどがいいかもしれませんし、女性であれば家事手伝いでも結構だと思います。やりたいことを見つけるためにアルバイトを続けていたということでも構いません。また、転職の問題ですが、基本的には3ヶ月以内で辞めてしまった場合に関しては、暗黙の了解として書く必要はありません。1年未満で辞めてしまったものに関しても、書かない方が賢明かもしれません。ただ、最終職歴だけは、正直に書けるのであれば、書いておいた方が無難です。健康保険の移行の場合に分かってしまうこともありますし、採用者が直接、前の職場に人柄、働きぶりなどを問い合わせたりする場合もあるかもしれません。狭い業界であればあるほど、その傾向は強くなってきますので注意してください。一般には、履歴書に嘘があるからといって、刑法に問われることはありませんが、著しい嘘の場合は、それを理由にして解雇される可能性もあります。ただ、この理由のみでの解雇は不当であるため(実際、きちんと働いて、成果も出ていたら、雇い主にとっても問題はありません)、記述内容に嘘があるからといって、過度に不安になる必要はありません。
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履歴書の資格欄は、どのように書いたらいいのですか。
自分の持っていない資格を書いてしまうことはだめですが、逆に持っている資格を、すべて書いたらよいというものでもありません。仕事内容に全く関係のない資格は書かなくてもいいですし、書いてしまうと、その資格の技術を要求されることになるかも知れませんので、実際に自分が活用できるものだけにしておいた方が無難です。以前は、問題なくできたことでも、障がいを持った以後は、できなくなっていることもありますので注意してください。
働く準備をする制度
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働く準備をする制度には、どんなものがありますか。
障がい福祉サービスとして、
・就労移行支援
・就労定着支援
・就労継続支援A型
・就労継続支援B型
などがあります。また、相談にのってくれる機関として
・障害者就業・生活支援センター
・障害者職業センター
・ハローワークの専門援助部門(障がい者の相談窓口)
・相談支援事業所
などがあります。
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就労移行支援とは、どんなところですか。
個別の支援計画に沿って、他の利用者と一緒に就職に役立つ知識や必要なスキルを学んだり、就職の準備をすることや就労支援員に就職や体調に関する相談することなど、必要なサポートを受けることができます。利用できる方は、企業等への就職を希望する18歳以上65歳未満の障がいや難病のある方となります。利用期間は原則2年間となり、利用料は、前年度の住民税が非課税の方、生活保護の方は無料となります。それ以外の方は1割負担となりますが前年度の所得に応じて上限額が決められています。具体的には
・希望する就職に必要な知識と能力を身につける職業訓練
・履歴書や応募書類の添削、模擬面接などの就職活動サポート
・就職に関する相談や支援
・求職活動に関する支援
・本人の適性に合った職場探しやアドバイス
・企業における職場実習などの機会の提供
・就職後の職場定着のための支援
などの支援を受けることができます。
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就労定着支援とは、どんな支援ですか。
就労移行支援等を利用して一般就労に移行した障がいのある方が雇用された企業などで就労の継続を図るため、関係者との連絡調整、雇用に伴い生じる日常生活又は社会生活を営む上での各般の問題に関する相談による課題把握、指導及び助言その他の必要な支援、その他必要な支援などを行なってくれます。利用期間は3年間で、その後は「障害者就業・生活支援センター」に引き継いでくれます。
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就労継続支援A型と就労継続支援B型の違いはなんですか。
就労継続支援とは、通常の事業所に雇用されることが困難な障がい者に、就労の機会を提供するとともに,生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練を行ってくれます。雇用契約を結び利用するのがA型で、雇用契約を結ばないで利用するのがB型となります。A型に関しては雇用契約を結びますので、その地域の最低賃金が適用されます。
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う~ん。たくさんあって分かりにくいのですが。
就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型
目的 就労に必要な技術を学ぶ 働く場
対象者 一般就労を希望する方 一般就労が困難な方
年齢制限 原則18~65歳未満 年齢制限なし
雇用契約 なし あり なし
利用料 前年度の所得による
賃金 工賃がある場合もある 最低賃金以上の給料 工賃
利用期間 原則2年(最大3年) 定めなし
利用日数 自由選択が多い ほとんど週5日 自由選択が多い
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障害者就業・生活支援センターとは、どんなところですか。
障害者就業・生活支援センターは、障がいのある人の身近な地域において、就業面と生活面の一体的な相談・支援を行う機関です。ですが、実際には就労面での支援がほとんどの所が多いようです。就労を希望する障がいのある人には、就労相談や就職活動のサポート、専門的な就労支援機関の紹介などを行なってくれたりします。また、障がい者雇用の経験が少なかったり、定着に課題があったりする企業側も利用することができます。利用料・相談料は障がいのある人、企業側ともに原則無料ですが、事前に電話予約し、相談する日時が決まったら予約をする必要があります。一般就労につながった方に関しては、就職したばかりのころは就職支援を行った事業所が中心となって定着支援を行いますが、長期間に及ぶ場合などは、障害者就業・生活支援センターが中心となり長く働ける環境づくりを行っていきます。
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障害者職業センターとは、どんなところですか。
障害者職業センターは、ハローワークと協力しながら障害者の就労援助を行っているところで、各都道府県に少なくともひとつあります。主な役割をあげておきます。
1.障がい者の職業能力・適性などの評価(職業適性検査)
2.障がいの種類、程度に応じた職業相談、指導
3.職業準備訓練、職業講習、地域雇用支援ネットワークによる精神障がい者職業自立支援事業
4.ジョブコーチ支援事業
5.就職後のアフターケア
6.事業所(会社)に対して、障がい者を雇い入れた場合、その人に合った部署をどうするかなどの雇用管理や作業施設、職場環境の改善などの総合的な相談、助言
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ハローワークで障がい者求職をするには、どうしたらいいのですか。
まず、専門援助部門へいって、登録する必要があります。障がい者であれば(障がい者手帳があれば)、すぐに登録できるのですが、最終目的の雇用ということになりますと、主治医の意見書(働ける状態であるという意見書)が必要になってきますので、事前に主治医と相談しておく方がいいと思います。実際、窓口では相談にのってくれるのですが、具体的に自分がどのような仕事(時間、場所、内容など)を探しているのかということを整理しておかなければいけません。それには、医療機関、福祉施設職員、相談支援専門員等の人に、一緒についていってもらうのもいい方法だと思います。
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相談支援事業所とは、どんなところですか。
相談支援事業所には、相談支援専門員が常駐しており、障がいを持っている方やその家族の相談にのってくれます。要望をうかがい、各種障がい福祉サービスを紹介し、必要に応じて連絡調整を行ってくれます。サービスの利用計画を作成するのも仕事の一つです。利用するのに利用料はかかりませんが、障がい福祉サービスのひとつとなりますので、市区町村の役所に利用申請をする必要があります。
会社の事業主は従業員を1人でも雇っていれば、原則として労働保険(雇用保険、労災保険)に加入しなければいけないことになっています。失業給付は雇用保険による給付で、労働者が失業した時に、生活を維持し再就職しやすくするための制度です。新しい仕事が見つかるまでの一定期間、生活の保障がされるというものです。
原則として「離職の日以前の2年間」において、「被保険者期間」が「12ヶ月以上ある」ことが必要です。また、本人が積極的に就職しようとする気持ちと、いつでも就職することができる状態(体力、環境など)で、積極的に就職活動を行っているにも関わらす、就職できない時に支払われるものです。手続きはハローワークになります。
1.離職票(2枚あります)
2.雇用保険被保険者証
3.住所、氏名、年齢を確認する書類(住民票、運転免許証、国民健康保険証など)
4.振込み銀行の預金通帳(金融機関の確認印をもらった場合は不要)
5.障がい者手帳(あれば)
1~3は、退職時に会社からもらえるものになります。障がい者手帳があれば、障がい者等の就職困難者として、給付日数が多くなり、3ヶ月の給付制限がなくなりますので、持っているなら忘れずに持っていってください。
・病気やケガのために、すぐには就職できないとき。
・妊娠、出産、育児のために、すぐには就職できないとき。
・定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき。
・結婚により、家事に専念するとき。
・自営業を始めたとき、もしくは、その準備を始めたたとき。
・新しい仕事に就いた、もしくは決まっているとき(アルバイト、パートを含む)。
・学業に専念するとき。
・就職することがほとんど困難な職業や労働条件にこだわり続けるとき。
・雇用保険の被保険者とならないような短時間労働のみを希望するとき。
・会社の役員になったとき。
・嘱託、顧問、相談役になっているとき。
・家業の手伝いをしているとき。
・塾や学校の非常勤講師をしているとき。
・自分名義の店があるとき。
・損害保険などの代理店登録をしているとき。
以上のような時には、失業給付が受けられないことになっているのですが、状態によっては、支給対象となる場合もありますので、自分で判断せずにハローワークで相談してみてください。
1.雇用保険料を払っていた期間が長いほどもらえる期間が長くなすます。
2.一般の離職者よりも、障がい者などの就職困難者か、解雇・倒産などによる離職者の方がもらえる期間が長くなります。
もらえる金額は、離職前の6ヶ月間の給料(賃金)によって変わってくるのですが、だいたい働いていた時の6~8割ぐらいになります。この金額が、所定給付日数分だけもらえることになります。ただ、有効期限は、離職後1年間となりますので、それを過ぎてしまうと、給付日数が残っていたとしても、もらえなくなりますので注意してください。離職票を持ってハローワークに行った日が受給資格決定日となり、その後7日間の待機期間をへて、支給開始となります。また、自己都合で退職した人は、給付制限が3ヶ月あり、これらの期間を含めて1年間となります。障がい者の場合は1年以上雇用保険をかけていたら(働いていたら)、給付日数が45歳未満で300日、45歳以上で360日になります。
受給期間の延長という制度があります。職業に就くことができなくなった状態が引き続き30日以上となったとき、30日目の翌日から早期にしていただくことが原則ですが、延長後の受給期間の最後の日までの間であれば、受給期間延長申請をすることができます。期間は最大4年(1年+延長期間3年)まで延長できますが、病気で休んでいる間は、失業給付金は支給されません。この手続きには、延長理由を証明する書類が必要となってきますが、病気の場合は医師の診断書になります。病気以外でも、妊娠、出産、3歳未満の子供の育児、親族などの介護、事業主の命令で海外出張する配偶者に同行する場合などでも、受給期間の延長ができます。
雇用保険をかけるとなると、雇い主(事業主)も保険料を払わなければいけなくなるので、事業所によったら、雇用保険をかけなくてもよい条件で採用している場合もありますので、採用時に確認しておいた方がいいと思います。基本的には1週間の所定労働時間が20時間未満の場合は、雇用保険をかけなくてもよくなっています。
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「働く」ってことは、どういうこと。
まず「働く」ということが、自分にとって、どういう意味を持つのかを考えてみてください。お金を稼いで、生活費にする。欲しいものを買う。趣味に使う。など、お金を稼ぐということは、いちばんの目的であって、誰でもが持っている欲求だろうと思います。ただ、働くという意味は、お金を稼ぐことでけではありません。お金が十分にあれば、もう働かなくていいですか? 自分で稼いだお金であれば、安心もできるし、自尊心もついてきます。それだけではなく、社会は人が働くことで成り立っています。それぞれの分野で働くことにより、相互に助け合いをしているのです。つまり、働くということは、社会の維持形成に役立っており、自分が社会の中で必要な存在であるという証明となるのです。これは働くということで、自分自身の精神的助けにもなるのです。年齢的なものにも関係してくるかもしれませんが、働いていないということが、自分を苦しめている大きな要素であったりもします。家族と同居していたならば、その思いは、さらに大きくなるかもしれません。働くことが、「お金」のためだけであれば、お金があれば働かなくてもいいし、また、「社会のため」だけであれば、ボランティアでもいいのです。「働く」ということは、これらの目的が相互に絡み合って、その人なりの意味を持ってくるのです。だからまず、自分にとっての、「働く」という意味を考えてみてください。そうすることによって、自分に合った方向性が見えてくると思います。
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「働く」ために、どうのようなこと(能力、習慣)が必要なのですか。
単に「働く」といっても、働く形態、場所、時間、環境によってさまざまですので、簡単に説明することは難しいことです。例えば、福祉施設での作業も働くことですし、アルバイト、パートまたは正社員で勤めることも働くことになります。また、家族が自営業であれば、その仕事を手伝うことも働くことになったり、それに対する報酬(賃金)もさまざまになってきます。ただ、一般的には、「集団で、組織的に、仕事を分担し、一定時間持続的に働く能力が必要」と言われていますが、このような能力があったとしても、就労出来ない人もいましす、自分には、そんな能力がないと思っていたとしても、自分に合った職場を見つけることができたなら、続けることができる人もいます。今までがダメだったから、またダメかもしれないという不安な気持ちがあるかもしれませんが、あきらめないことが大切です。しいて言うならば、「自分を知る」能力が必要になってきます。自分の性格、体調、今までの経験など、自分をよく知って、自分で自分をコントロールできるようになることが大切です。そのためには、相談できる人を見つけて、アドバイスを受けながら挑戦していきましょう。
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精神障がい者が働く時の弱点はなんですか。
人それぞれ弱点は持っており、精神障がい者であるから、特別に何かあるというわけではありません。ただ、ひと言で言うと、「不安定性」なのかもしれません。どうしても、体調に波があり、それが健常者に比べると大きくなってしまうかもしれません。ただ、大切なことは、その時にどうするかということです。事前に、そうならないように予防する、それでもダメな時は、兆候を自分で敏感に感じとって、自分自身でコントロールしていくことが大切になってきます。自分の弱点を知っておくということは、事前にその弱点に対する対策が立てられるということです。そして、どのように対策を立てていくかということに関しては、自分ひとりで考えるのではなく、信頼できる周りの人に積極的に相談していってください。とは言われても抽象的なことばかりで、結局どうしたらいいのかが分からないということになるので、もう少し詳しく説明すると、
1.対人関係、人づきあいが下手になってしまっていることがあります(もともと苦手である)。これは、病気になったことで、自信をなくしてしまっていたり、人の態度がとても気になったりすることで、余計に疲れてしまったり、気まずくなってしまったりしてしまうことがあります。
2.体力が落ちてしまっています。病気になったことで、体を動かさなくなったり、薬の影響ですぐ疲れてしまうということがあります。
3.持続力、持久力が落ちています。これは、体力的なものだけではなく、精神的にも、そうなっています。心と体は常に一緒で、どちらかが健康でどちらかが不健康ということはありません。一方が疲れてしまうと、もう一方も疲れてしまうのです。
これらのことから、自分の弱点は、何であろうかとよく考え、それに対する練習をしていく必要があります。
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働くために、精神障がい者であるということ言わなければいけませんか。
そんなことはありません。精神障がい者であることを言わずに働いている人もたくさんいます。ただ、どちらの方が、自分に合っているかということを考えてみてください。言わずに働くということは、当然それなりの期待をされるわけですので、それなりの厳しさを伴ってきます。障がいを持っているということで、他の人と同じように振舞おうとしても、自分にとっての負担はより大きなものとなってくるかもしれません。昼食後の薬を隠れて飲まないといけなかったり、仕事後の付き合いを断る方法にも苦労するかもしれません。ただ、現実問題として、障がい者であるということを採用前に言ったならば、不採用になる可能性が高くなる場合もあります。それは、雇う立場になって考えると理解できると思うのですが、雇い側が選ぶ権利がある以上、同じ賃金を払うのであれば、どうしても障がい者の優先順位は下がってきます。ここで大切なことは、自分が、言わないでも、働き続けることができるかどうかということです。もし続けられるのであれば、障がい者であることを言う必要はありませんし、言うか言わないかを悩むこともありません。ただ、自分に自信がない人や周囲からの勧めで仕事に挑戦する人、もう少し働く力が必要だけど、まずは挑戦してみるという人などであれば、障がい者であることを言ってから働くことを勧めます。その方が相談できる人も増えますし、なにより自分の心の中に安心ができます。
※法定雇用率:一定以上の従業員がいる事業所は、障がい者をの一定の割合で雇わなければならないという法律上の決まり。もし、その割合が足りなかったら、罰金がありますし、障がい者を雇うことで事業所に助成金も支払われます。
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働き始める前の準備は、何をしたらいいですか。
大切なことは「心の準備」をするということです。そうは言っても、働くことに対して、緊張しすぎると、それがかえってプレッシャーになってしまいますので、「だめだったら、そのときは、その時でいいや。」ぐらいの気持ちがあった方がいいかもしれません。まだ、自分に自信がないのであれば、福祉施設(福祉就労)などから段階的に試していくことも、ひとつの方法です。ただ、誰にでも不安はあって、不安のない人のほうが少ないはずです。まずは試してみるといった気持ちから初めてもよいと思います。
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履歴書を書く時の注意点を教えてください。
一番大切なことは、丁寧に書くということです。鉛筆などのように消えるものではなく、ボールペンやサインペンなどを使って、誤字のないように書きましょう。間違えたら、新しい用紙に書き直す方がいいですが、すぐ間違えてしまうという人は、鉛筆で薄く下書きをしてから、後で鉛筆の下書きを消すなどの工夫をしてみてください。パソコンが使える人であれば、ネットから履歴書のひな形をダウンロードしてきて、そこに書き込んでいく方が楽かもしれません。内容に関しては、周りに信頼して相談できる人がいるのであれば、相談しながら書いていくのもいいと思います。
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履歴書に学歴のどのように書いたらいいのですか。
中学校卒業から書き始めたら十分です。病気のために留年していたとしても、正直に書いておけばいいです。理由は特に書く必要はありませんが、面接の時に聞かれた場合の理由は考えておいた方がいいと思います。また、最終学歴が大学や大学院の場合、会社や仕事の内容によっては、書かない方がいい場合もあります。大学(院)まで卒業しているのに、なぜこの会社にと思われてしまう場合もあるかも知れません。
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履歴書に職歴はどのように書いたらいいのですか。
転職が多かったり、働いていない期間が長かったりした場合、正直にそのまま書いてしまうと、よくない場合があります。下手に書いてしまうと、理由を突っ込んで聞かれたり、障がいのことにまで、話の内容がおよんでくるかもしれません。現実問題として、障がいに対する偏見は残っており、言わなくていいのものであれば、言わない方が、採用されやすくなるかもしれません。ただ、だからといって、全くの嘘を書いてしまうと、何か尋ねられた時に、返答に困ってしまうかもしれませんし、良心的になかなか嘘は書けるものではありません。自分の家が自営業であったら、家業手伝いなどがいいかもしれませんし、女性であれば家事手伝いでも結構だと思います。やりたいことを見つけるためにアルバイトを続けていたということでも構いません。また、転職の問題ですが、基本的には3ヶ月以内で辞めてしまった場合に関しては、暗黙の了解として書く必要はありません。1年未満で辞めてしまったものに関しても、書かない方が賢明かもしれません。ただ、最終職歴だけは、正直に書けるのであれば、書いておいた方が無難です。健康保険の移行の場合に分かってしまうこともありますし、採用者が直接、前の職場に人柄、働きぶりなどを問い合わせたりする場合もあるかもしれません。狭い業界であればあるほど、その傾向は強くなってきますので注意してください。一般には、履歴書に嘘があるからといって、刑法に問われることはありませんが、著しい嘘の場合は、それを理由にして解雇される可能性もあります。ただ、この理由のみでの解雇は不当であるため(実際、きちんと働いて、成果も出ていたら、雇い主にとっても問題はありません)、記述内容に嘘があるからといって、過度に不安になる必要はありません。
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履歴書の資格欄は、どのように書いたらいいのですか。
自分の持っていない資格を書いてしまうことはだめですが、逆に持っている資格を、すべて書いたらよいというものでもありません。仕事内容に全く関係のない資格は書かなくてもいいですし、書いてしまうと、その資格の技術を要求されることになるかも知れませんので、実際に自分が活用できるものだけにしておいた方が無難です。以前は、問題なくできたことでも、障がいを持った以後は、できなくなっていることもありますので注意してください。
働く準備をする制度
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働く準備をする制度には、どんなものがありますか。
障がい福祉サービスとして、
・就労移行支援
・就労定着支援
・就労継続支援A型
・就労継続支援B型
などがあります。また、相談にのってくれる機関として
・障害者就業・生活支援センター
・障害者職業センター
・ハローワークの専門援助部門(障がい者の相談窓口)
・相談支援事業所
などがあります。
-
就労移行支援とは、どんなところですか。
個別の支援計画に沿って、他の利用者と一緒に就職に役立つ知識や必要なスキルを学んだり、就職の準備をすることや就労支援員に就職や体調に関する相談することなど、必要なサポートを受けることができます。利用できる方は、企業等への就職を希望する18歳以上65歳未満の障がいや難病のある方となります。利用期間は原則2年間となり、利用料は、前年度の住民税が非課税の方、生活保護の方は無料となります。それ以外の方は1割負担となりますが前年度の所得に応じて上限額が決められています。具体的には
・希望する就職に必要な知識と能力を身につける職業訓練
・履歴書や応募書類の添削、模擬面接などの就職活動サポート
・就職に関する相談や支援
・求職活動に関する支援
・本人の適性に合った職場探しやアドバイス
・企業における職場実習などの機会の提供
・就職後の職場定着のための支援
などの支援を受けることができます。
-
就労定着支援とは、どんな支援ですか。
就労移行支援等を利用して一般就労に移行した障がいのある方が雇用された企業などで就労の継続を図るため、関係者との連絡調整、雇用に伴い生じる日常生活又は社会生活を営む上での各般の問題に関する相談による課題把握、指導及び助言その他の必要な支援、その他必要な支援などを行なってくれます。利用期間は3年間で、その後は「障害者就業・生活支援センター」に引き継いでくれます。
-
就労継続支援A型と就労継続支援B型の違いはなんですか。
就労継続支援とは、通常の事業所に雇用されることが困難な障がい者に、就労の機会を提供するとともに,生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練を行ってくれます。雇用契約を結び利用するのがA型で、雇用契約を結ばないで利用するのがB型となります。A型に関しては雇用契約を結びますので、その地域の最低賃金が適用されます。
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う~ん。たくさんあって分かりにくいのですが。
就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型
目的 就労に必要な技術を学ぶ 働く場
対象者 一般就労を希望する方 一般就労が困難な方
年齢制限 原則18~65歳未満 年齢制限なし
雇用契約 なし あり なし
利用料 前年度の所得による
賃金 工賃がある場合もある 最低賃金以上の給料 工賃
利用期間 原則2年(最大3年) 定めなし
利用日数 自由選択が多い ほとんど週5日 自由選択が多い
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障害者就業・生活支援センターとは、どんなところですか。
障害者就業・生活支援センターは、障がいのある人の身近な地域において、就業面と生活面の一体的な相談・支援を行う機関です。ですが、実際には就労面での支援がほとんどの所が多いようです。就労を希望する障がいのある人には、就労相談や就職活動のサポート、専門的な就労支援機関の紹介などを行なってくれたりします。また、障がい者雇用の経験が少なかったり、定着に課題があったりする企業側も利用することができます。利用料・相談料は障がいのある人、企業側ともに原則無料ですが、事前に電話予約し、相談する日時が決まったら予約をする必要があります。一般就労につながった方に関しては、就職したばかりのころは就職支援を行った事業所が中心となって定着支援を行いますが、長期間に及ぶ場合などは、障害者就業・生活支援センターが中心となり長く働ける環境づくりを行っていきます。
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障害者職業センターとは、どんなところですか。
障害者職業センターは、ハローワークと協力しながら障害者の就労援助を行っているところで、各都道府県に少なくともひとつあります。主な役割をあげておきます。
1.障がい者の職業能力・適性などの評価(職業適性検査)
2.障がいの種類、程度に応じた職業相談、指導
3.職業準備訓練、職業講習、地域雇用支援ネットワークによる精神障がい者職業自立支援事業
4.ジョブコーチ支援事業
5.就職後のアフターケア
6.事業所(会社)に対して、障がい者を雇い入れた場合、その人に合った部署をどうするかなどの雇用管理や作業施設、職場環境の改善などの総合的な相談、助言
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ハローワークで障がい者求職をするには、どうしたらいいのですか。
まず、専門援助部門へいって、登録する必要があります。障がい者であれば(障がい者手帳があれば)、すぐに登録できるのですが、最終目的の雇用ということになりますと、主治医の意見書(働ける状態であるという意見書)が必要になってきますので、事前に主治医と相談しておく方がいいと思います。実際、窓口では相談にのってくれるのですが、具体的に自分がどのような仕事(時間、場所、内容など)を探しているのかということを整理しておかなければいけません。それには、医療機関、福祉施設職員、相談支援専門員等の人に、一緒についていってもらうのもいい方法だと思います。
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相談支援事業所とは、どんなところですか。
相談支援事業所には、相談支援専門員が常駐しており、障がいを持っている方やその家族の相談にのってくれます。要望をうかがい、各種障がい福祉サービスを紹介し、必要に応じて連絡調整を行ってくれます。サービスの利用計画を作成するのも仕事の一つです。利用するのに利用料はかかりませんが、障がい福祉サービスのひとつとなりますので、市区町村の役所に利用申請をする必要があります。
障がい福祉サービスとして、
・就労移行支援
・就労定着支援
・就労継続支援A型
・就労継続支援B型
などがあります。また、相談にのってくれる機関として
・障害者就業・生活支援センター
・障害者職業センター
・ハローワークの専門援助部門(障がい者の相談窓口)
・相談支援事業所
などがあります。
個別の支援計画に沿って、他の利用者と一緒に就職に役立つ知識や必要なスキルを学んだり、就職の準備をすることや就労支援員に就職や体調に関する相談することなど、必要なサポートを受けることができます。利用できる方は、企業等への就職を希望する18歳以上65歳未満の障がいや難病のある方となります。利用期間は原則2年間となり、利用料は、前年度の住民税が非課税の方、生活保護の方は無料となります。それ以外の方は1割負担となりますが前年度の所得に応じて上限額が決められています。具体的には
・希望する就職に必要な知識と能力を身につける職業訓練
・履歴書や応募書類の添削、模擬面接などの就職活動サポート
・就職に関する相談や支援
・求職活動に関する支援
・本人の適性に合った職場探しやアドバイス
・企業における職場実習などの機会の提供
・就職後の職場定着のための支援
などの支援を受けることができます。
就労移行支援等を利用して一般就労に移行した障がいのある方が雇用された企業などで就労の継続を図るため、関係者との連絡調整、雇用に伴い生じる日常生活又は社会生活を営む上での各般の問題に関する相談による課題把握、指導及び助言その他の必要な支援、その他必要な支援などを行なってくれます。利用期間は3年間で、その後は「障害者就業・生活支援センター」に引き継いでくれます。
就労継続支援とは、通常の事業所に雇用されることが困難な障がい者に、就労の機会を提供するとともに,生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練を行ってくれます。雇用契約を結び利用するのがA型で、雇用契約を結ばないで利用するのがB型となります。A型に関しては雇用契約を結びますので、その地域の最低賃金が適用されます。
就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | |
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目的 | 就労に必要な技術を学ぶ | 働く場 | |
対象者 | 一般就労を希望する方 | 一般就労が困難な方 | |
年齢制限 | 原則18~65歳未満 | 年齢制限なし | |
雇用契約 | なし | あり | なし |
利用料 | 前年度の所得による | ||
賃金 | 工賃がある場合もある | 最低賃金以上の給料 | 工賃 |
利用期間 | 原則2年(最大3年) | 定めなし | |
利用日数 | 自由選択が多い | ほとんど週5日 | 自由選択が多い |
障害者就業・生活支援センターは、障がいのある人の身近な地域において、就業面と生活面の一体的な相談・支援を行う機関です。ですが、実際には就労面での支援がほとんどの所が多いようです。就労を希望する障がいのある人には、就労相談や就職活動のサポート、専門的な就労支援機関の紹介などを行なってくれたりします。また、障がい者雇用の経験が少なかったり、定着に課題があったりする企業側も利用することができます。利用料・相談料は障がいのある人、企業側ともに原則無料ですが、事前に電話予約し、相談する日時が決まったら予約をする必要があります。一般就労につながった方に関しては、就職したばかりのころは就職支援を行った事業所が中心となって定着支援を行いますが、長期間に及ぶ場合などは、障害者就業・生活支援センターが中心となり長く働ける環境づくりを行っていきます。
障害者職業センターは、ハローワークと協力しながら障害者の就労援助を行っているところで、各都道府県に少なくともひとつあります。主な役割をあげておきます。
1.障がい者の職業能力・適性などの評価(職業適性検査)
2.障がいの種類、程度に応じた職業相談、指導
3.職業準備訓練、職業講習、地域雇用支援ネットワークによる精神障がい者職業自立支援事業
4.ジョブコーチ支援事業
5.就職後のアフターケア
6.事業所(会社)に対して、障がい者を雇い入れた場合、その人に合った部署をどうするかなどの雇用管理や作業施設、職場環境の改善などの総合的な相談、助言
まず、専門援助部門へいって、登録する必要があります。障がい者であれば(障がい者手帳があれば)、すぐに登録できるのですが、最終目的の雇用ということになりますと、主治医の意見書(働ける状態であるという意見書)が必要になってきますので、事前に主治医と相談しておく方がいいと思います。実際、窓口では相談にのってくれるのですが、具体的に自分がどのような仕事(時間、場所、内容など)を探しているのかということを整理しておかなければいけません。それには、医療機関、福祉施設職員、相談支援専門員等の人に、一緒についていってもらうのもいい方法だと思います。
相談支援事業所には、相談支援専門員が常駐しており、障がいを持っている方やその家族の相談にのってくれます。要望をうかがい、各種障がい福祉サービスを紹介し、必要に応じて連絡調整を行ってくれます。サービスの利用計画を作成するのも仕事の一つです。利用するのに利用料はかかりませんが、障がい福祉サービスのひとつとなりますので、市区町村の役所に利用申請をする必要があります。